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招待状―ガイアを求めて―  作者: 川口のミネ


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11 湖畔

11 湖畔

 吸い込まれそうなほどに深い闇とどこまでも透き通る水、そして白い砂浜が眼前に広がっている。

 会議室で見た写真そのままの景色なのに、驚くほどスケールが大きくて圧倒的だ……

「確かエレベーターは左奥だったので進めますね」

 カーゴが再び動き出す。

 少し砂浜寄りを走っているのはノアの興味の影響だろう。

 前方にカーゴを停めても十分な広さのスペースがある。

「ノア、あそこの広いところで停めてくれ、休憩にしよう」

 僕らの時計は既に真夜中を指している。

 周りが暗い分、意識しないと際限なく動いてしまう。

 しかし、休めない状況なら仕方ないが、イレギュラーがあった時に疲労で動けない方が問題だ。

 僕らはカーゴを停めると久しぶりに地面に降り立つことにした。

 外の空気は涼しく不気味なほどの静けさを有している。

 まるで声まで吸い込まれて行くようだ。

「ノア!

 カーゴのバッテリー保護のため、外にある照明は極力落としてくれ!」

「暗くなりますよ?」

 グラントの指示で補助灯以外の照明が落とされた。

 ノアが簡易ウインチ用のブラケットを設置、リナが用意しているレーションと水を降ろす準備を始めている。

「エイドさーん

 下で誘導して下さ〜い」

 ノアから言われウインチブラケットから荷揚げ袋が降ろされ、下で受け取った。

 グラントは、カーゴの後に回ると何やらガタガタ始め、人数分の折りたたみ椅子と電池式のランタンを持ち出してきた。

 準備リストに入っていなかったのに野営用のセットが詰め込まれていたらしい。

 僕らは湖を見ながらカーゴを背にして座り込んでいる。

 地面に直に座ることなく過ごせているのはグラントの機転のお陰だろう。

 大型のランタンの光源は湖に頼りなく吸い込まれていく、その端に僕らの顔が映し出されている。

「不思議な場所ですね」

 リナが小さな声で呟くと言葉は闇に飲み込まれて行った。

「波がないのに砂浜って不思議っすよね〜」

 ノアが食べ終わったのか砂浜に近づいていく。

「待て、触るな!

 飲料不可って言われただろ?

 何か人に害のある物が含まれてる可能性があるだろうが!」

『……あれ?

 ちょっと揺れてます?』

 ノアが立ち止まり周りを気にしている。 

 湖面にさざ波と、緩やかなウネリが起きていた。

「カーゴの中でも感じましたけど、もう慣れちゃいましたね……」

 ノアは相変わらず危機感が足りない……いや僕たちも、既にあまり感じなくなってきているか。

「震源に近づいている気がする。

 早くデータがほしいわね。」

 リナは地震データを自分でも解析の解析したいらしい。

 ノアが思い出したようにまた砂浜を触ろうとしていた。

 グラントが慌てて止めている。

「ノア、それ多分砂じゃなくて塩だよ。」

 僕は口にしていたレーションをペットボトルの水で流し込む。

「リナ、何でわかるの?」

「写真を見た時から気になってたの。この白い部分」

「砂じゃないの?」

「多分違う。均一すぎるし、湖岸に沿って残ってる」

 リナは湖を見ながら話している。

「でね、この白浜見て確信したの。

 あぁこれは塩の結晶だって、

まぁ断定は良くないけど想像ぐらいはできるわよね……」 

「塩の結晶?

 リナの想像なら説得力あるな…… 

 錆止めも完璧ではないし塗装も一部剥げてる……カーゴをこれ以上近づけるのはやめよう」

 グラントの声の感じだと本当は今すぐにでもカーゴを離したいのだろう。

 みんな飯も食べ終えた、ここからは完全に身体を休める時間に当てよう。

 僕は立ち上がると……

 体が重い……疲労?いや

 服が重い、髪も額や頬に張り付いている。

 ……湿っぽい。

 さほど、いや、涼しいくらいで汗などはかいてないのに服が肌に纏わりついてくる。

「うわー、服がヤバっ」

 リナが同じ感想……僕だけじゃなかった。

「そうか…空気が動かないから湿度が異様に高いのね……」

「みんな、今日は野営ではなくカーゴに戻ろう……」

 水辺の近く、気温も穏やか、天候の心配もない……

 地上なら快適な野営地だと思った。

 マットを引いて寝袋で寝るのが正解だと思っていた。

 体を伸ばして寝るのと座席で寝るのでは疲労の回復度合いが全然違うのは皆経験上わかっている。

「えっと、僕はこっちで寝るとかは無しですか?」

 やはりノアが難色を示した。

 今回は操縦席の位置が高い……

 座席から転げれば大惨事になるだろう……

「ノア

 外で寝たら朝には濡れ雑巾みたいになってるぞ?

 オレがカーゴの通路で寝てやるからお前は助手席使え」

 グラントが声をかけた。

「いや、それなら僕が床で寝る!先行くよ!」

 ノアはそそくさとカーゴに戻って行った。

 あとを追うようにグラント、リナと続く……

 振り返ると光が届かないほど広い湖……

 逆に、水はどこまでも透明度が高く見えるはずのない湖底まで覗けている。

 僕は一瞥しカーゴに戻って仮眠をとった。


  



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