第97話 同音異義語
2人が土煙に入ったその瞬間、ラントは妨害しようと即座にワイヤーを彼らの足元にかけるが、それをガーランドが反応する。
「バース、足元にワイヤー」
「了解!」
バースは即座に[硬布]を布に戻し走ろうとするが、ラントはその隙を逃さずナイフを振るうが、ガーランドはそれを見てラントの腕を掴むと振り落とし、その瞬間に拳銃を撃つ。
「ぐ……あ………!」
ラントの首元に銃弾が命中しラントはそのまま崩れ落ちる。だがその瞬間、土煙の中から大鎌を振りかぶった状態でメロが現れる。
バースはそれに即座に反応するとナイフで大鎌を防ぐとそのまま大鎌を側方から蹴り、メロの体勢を崩す。そのままトドメを刺そうとナイフをメロに向けるが、振りかぶる前に[刃鎖]が間に飛び込み、バースたちは後方へ跳び、その鎖を回避する。
土煙は煙幕とは違い中距離でも場所が把握しやすい。この乱戦状態は今の所デルタが損害を一方的に負っている。兵士たちの死体がそこらに転がる中でそのような状況でもベッツはその中でも思考を続けている。
でもそれは同時にチャンスでもあります…彼らには逃走する手段がない。車両は一台のみ、今の所報告もないですし、ですが欲張りはしない。油断せず確実に損害を減らします.....!テルロは音弾で煙の排除をしているため、時間をかければいける。問題はあの手榴弾能力....制御系だけでなく生成系の可能性もある。いや、むしろ手榴弾の大きさが使い分けなく全て同じなのを見るにそう考える方が妥当である可能性もある。
だったらこっちがやるべきことは....
「全員北と南へ分散!テルロは目の前の爆煙に集中的に対処をしてください!」
「了解!」
単純な話だ、奇襲からすでに10分は経過している。日の出による影の長い時間帯は30分ほど、つまりもうすぐ最初の爆発の煙の影の伸びはなくなり、脅威は目の前の爆煙に限定される…そもそも影の伸びはあくまで東から西への太陽光、つまり横方向であれば問題はない。
だけど、ただやるだけじゃないです…!ようやく制約が見えてきた。最初は影が固定されてないといけない可能性を考えましたが煙は常に流動的に動く以上は違う。輪郭把握ではない。コントラストも考えましたがそれなら夜にハイビームにようなものでも照らすことでも移動可能だったのにしなかったとなる、エウレカの制約はおそらく、”陰“ではなく“影”に限定されると考えられる…!
“陰”は光が直接当たらず暗くなってる空間そのものであり…一方で“影”は物体により映し出される黒い像のこと、おそらく夜は地上自体に光が当たらないため影ではないから移動ができない、つまり理論上は日食が起きている間であれば地球上を好きなように移動できるとも考えられる。そのためエウレカはむしろ、土煙が上がってる真下、地面と煙が接触してる部分は[影移動]ができない…!!
そうなると位置はなんとなくだが特定できる…目の前で上がった爆風の東側にできている影の中ということです…!つまり光で照らしてしまえば…!
ベッツは爆煙の位置の東方向に向かうと、塹壕に隠れたまま閃光手榴弾のピンを抜き、放り投げる。
だがほぼ同時にエウレカが姿を表したかと思うと煙幕弾のピンを抜き、互いの爆弾が対立するように発動する。
光る瞬間にベッツは塹壕から位置を捕捉しようとするも、その煙幕を見て気づく。
「黒い煙幕…やられた…!」
煙幕を出すことでむしろ閃光手榴弾の光で影を作る道具としての利用をしましたか....広がる形状からおそらく逃げた方向は東側ですし、おそらく影空間は最低でもエウレカが入れる大きさは必要、逃げるとすればおそらくこの黒い煙幕でできた影を移動した先といったところでしょうか....
影自体を踏むことは警戒しなくていい、おそらく生物、または自分が持つもの以外のものは影の中に入れられない.....兵士の道具や薬莢が吸い込まれる様子はなく、そもそも最初の奇襲で車両ごと影から現れなかった辺り、そこらも当たり前程度には制約はあるんですかね.....
ベッツはそう警戒するがその時。即座にもう一つの可能性が頭によぎり、背後をすぐに振り向く。するとそこにはすでに銃を向け、引き金を引く直前のエウレカがいた。
そうだよ。ちゃんと気づく辺り流石は一級者だね。簡単な話、閃光弾が光る時、影はそれを中心に大きく伸びる。つまりそこらの死体から出る影を伝えば背後だって取れるから。
エウレカはそのまま射撃し、ベッツは咄嗟に塹壕に倒れ込むように落ち、回避しようとするも肩に銃弾を受けて塹壕内に倒れる。
これはまずいですね....早く....挽回しなければ....




