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灰と魔法の荒廃戦  作者: 山田浩輔
第一局
93/100

第93話 歪み

 「メアリー、調子はどうだ?」

 シグマ国の病室でエクレクスが横になるメアリーに聞くとメアリーは笑って応える。

 「すごく順調ではあるね、もう治っちゃったかも?」

 「....どうだか、確かにカプティブは普通の人間より回復は早いが.......流石に今回の負傷は大きすぎる。戦線からは一時離脱だ」

 「えー?」

 エクレクスの言葉にメアリーは残念がっていると病室の扉が開き、軍人が彼を呼ぶのをみてエクレクスは立ち上がる。


 「まあそういうわけだ、俺は失礼するぜ」

 「はいさよならー」

 メアリーはどうでもいいと言わんばかりに手を振ると、エクレクスは出ていく。



 


 現時点で判明してる敵対国はデルタ....イプシロン、アルファ....ロー....ファイあたりか.....厄介なのはラクトミルといったとこか、灰兵は銃弾はある程度防げるがミサイルでは倒されてしまう。そのために対策が必要なわけだな....



 エクレクスはため息をつくと額に手を当てて考える。ラムダ、ニュー、ユプシロンといった国との作戦会議があったのだが、なかなか曲者がいた。




 *****




 


 


 会議室




 

 「おっそ、いやまじで俺待たせてんだからもっと早くこいよ。だるいし。まじで」

 

 そう1人だけテーブルに足を乗せた態度の悪い赤髪で紫の瞳をもつその男の名はレッド。ユプシロン国所属の参謀である。


 あくまで同盟といっても交渉為、このような場合毅然とした態度が求められるのだが、威圧のつもりなんかまるでわからないがただ行儀の悪い者としか捉えられない。

 

 エクレクスは少し言葉に詰まりそうになるものの、落ち着いて口を開く。

 「....待たせて申し訳ありませんが、時間通りです」

 「ふーん、でも俺を待たせたことは認めたじゃん」

 レッドは勝ち誇った顔でそう言うが、エクレクスはそれを無視して席に座ると、レッドはその態度が気に食わず、舌打ちをする。



 「まあいいよ気にしないから俺」

 明らかに敵意剥き出しのレッドにエクレクスはドン引きしつつも話を続ける。

 「それで今回の会議についてだが——」

 「じゃあ俺が全部指揮取るわ。任せろって」

 

 一瞬で場は凍りついた。あまりにも無礼だったというのもあるが、それ以上に腹の探り合いを無視した行為は交渉においては悪手。それを平然と取る人間が指揮を取るなど普通に考えればあり得ない。


 そしてこのように味方は厄介だ。自分の行動を客観視できずさらに自己中となればなにをしでかすかわからない。


 エクレクスは一瞬言葉に迷うが息を吐くと落ち着いて口を開く。

 「そうですね、会議の結果によってはそれも検討すべきでしょう。ユプシロンからの意見はしっかりとこの耳に残しました」

 

 レッドはその言葉を聞き、フンと鼻で笑う。もちろん了承したわけではない。ただの意見として流したにすぎないのだが。


 重要なのは崩壊させないこと。特級者エックスを保有するシグマがこの会議においては実質決定権を持つ、だからこそまとめる責任がより強いのだ。













 〜デルタ国〜


 「まさか私がこの戦いに参加するとは思ってませんでしたね....」

 そうディアが呟くとキー国所属の一級者のラグーン・フォリックは笑う。

 「ははは、この僕がいるからには安心しなよ! エレガントに戦うのが僕の主流であるからね?」

 黒髪でシルクハットにスーツの格好をした青年はカッコつけながらディアに手を差し出すと、その瞬間に手から造花が一輪現れる。


 「......これ魔法ですか?」

 ディアがキョトンとした顔でそう聞くとラグーンはニコニコと微笑むと首を横に振り、頭に被っていたシルクハットを手に取る。

 「残念だけど違うのさ? 僕の魔法はこの[収納帽子]、この帽子の穴を通るならどんなものでも無限に収納ができる、実に面白いだろう?」

 「じゃあ花を出したのは....」

 「ああ、これはただのマジックだよ。実にエレガントな技だと思わないか?」

 「あ!じゃあ今度はご飯出して欲しいです! 肉!」

 「.......ふふ、おまかせあれ?」

 そう言ってラグーンが収納帽子から取り出したのは戦闘用保存食であり、ディアはそれをみた時めっちゃガッカリした。



 そんなことを微笑ましく話している間にも、シグマ側の魔の手はゆっくりと伸び始めているのであった。

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