第89話 猟犬追い
口から血が垂れると共に、胸部や腹部からの大量出血に気づく。
心臓、腎臓、肺に銃弾が命中し、体温は急激に低下し始めて意識は朦朧とする。力なく倒れそうになったその瞬間、メスマーは[起動紐]を車外に投げ捨てると同時に、ピンが抜ける音が連続で響く。
「な....!?」
シグマ兵士は恐怖した。メスマーは車両内に力なく倒れ、その服の下に巻きつけられた大量の手榴弾。
「グレネ———っ!!?」
その瞬間、車両が大破した。車両にいた者全ては爆発と熱で焼き焦げる。
連続する爆発音と共に車両は木っ端微塵になり、炎に包まれた。
皆がメアリーを倒したか確認しようと車両に近づく。しかしすぐに結果に気づくことになる。
それは、下半身が完全に吹き飛ばされたメアリーの姿であった。
クリスはその光景を見て、そこで初めて、冷や汗を垂らしながらも安堵する。
「ようやく......」
「クリス...!どうなったんだ....! 状況は......!?」
遅れて現場に到着したウォルトも、メアリーの死体を見ると聞く。
「こいつが....メアリーか.....?」
「.....うん、そうだね———」
クリスはその瞬間に恐怖する。それはベッツも同じようで、すでにメアリーの元に走って駆け寄っていた。
ベッツは即座に[刃鎖]を使いメアリーの首を半分ほど抉り取る。その瞬間、メアリーの顔が溶け始め、そこには知らない兵士の顔があった。
「総員捜索体制....! メアリーはまだ生きている....!すぐに見つけ出せ....!!!」
ベッツはそう叫ぶと皆が探し始める。
[変装面]だ。仲間の一人がメアリーの顔に変装して、死んだふりをして時間を稼いだ。爆破で[変装面]は壊れた......こんな単純なことにどうして気づけなかった...?いやそれよりもだ。この状況で見つけられなければ.....また悲劇は繰り返される。爆破直前に脱出されたのか....?場所を早く....見つけ出さないと.....
現場にいた3人は一斉にメアリーを捜索した。しかし、その姿を見つけることはできずに終わった。[起動紐]はなんとか回収でき、そのことからメアリーは逃げることを優先したと予想できる。
戦闘の成果はメアリーに眼球の負傷。[変装面]の破壊の二つ。しかし損害は非常に大きく、その戦況を聞いた国は、シグマをあと少しで打倒できると考える国と、シグマ側につくべきであると結論づける国と、二つに分かれるのであった。




