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灰と魔法の荒廃戦  作者: 山田浩輔
階級者の唄
87/100

第87話 退場

 「早く.....諦めたらどうよ!」

 ロメスは格闘戦をしながらメアリーに言うとメアリーは微笑んで言う。

 「降参しても意味ないよね? 生かすわけがない」

 「ああそうだよ...! さっさと死んでくれねえかな!!」

 ロメスの蹴りがメアリーの顔面にぶつかり、メアリーは受け身に失敗して大きく吹き飛ぶ。

 それは[解放]の終了と同時であった。



 吹き飛んだ身体に[刃鎖]がぶつかると肉がさらに削れる。致命傷には至ってないもののすでに血に塗れていた。



 

 空中から地にメアリーが落ちるその時、ベッツはあるものを見て顔が真っ青になり叫ぶ。



 「フェル、エックス視認!!全員撤退!!」


 

 それは大量の蛆虫、そしてシグマ国の特級者、[蝿の王]エックスの姿で、エックスはその状況を見て悪意に満ちた表情で嗤う。


 「あ〜あぁ、まだ生きてたんだぁ〜あ? しょうがないなあ〜ぁ」

 エックスは蛆虫の大群を率いて走り出す。カプティブ並みの速度で動くのを見て3人は困惑する。

 「動きが速い....! 身体能力の向上はないはず...!?」

 「それよりも撤退だ! ロメスもすぐに離れろ!!」

 

 

 「そう....したいんだけどね...!」

 メアリーはロメスに接近してナイフでの攻撃を続けていた。エックスの名前で怯んだその一瞬で[解放]をした。このまま接近戦をして隙を与える気がないようで、ロメスは無事に脱出する方法を何通りも思考するが、思考を止めて言葉が浮かぶ。

 『あ、これ無理だわ』



 そう思考した瞬間、ロメスの左腕が飛ぶ。メアリーのナイフで切断された。しかしその瞬間、メアリーの左目に向かって振られたナイフの一撃が命中する。


 ま、無事に脱出するのは無理だから腕を犠牲にして隙をつくるしかないね。あとは———


 一瞬怯んだメアリーを見てロメスは全速力で走ると叫ぶ。

 「ベッツ! フィング! このまま援護を!!」

 「「了解....!!」」


 二人は[刃鎖]と[手音弾]で援護射撃をし、その間にミックは車両にエンジンをかけると言う。

 「....いつでも...出れる.....!」

 ミックは車両を発進する構えを取るが、その時気づく。

 なんで.....来たのかわかった.........あの閃光手榴弾.......あれはロメスの耳を壊す為じゃない.......味方を......呼び寄せる為........異常事態を知らせるための.......信号........





 ロメスはベッツとフィングを追い越して車両に飛び乗ると、それを見た二人も車両に体を向けて走ろうとしたその瞬間、銃声が響く。


 「が......ぁ......!!!?」

 

 「ダメだよ? 油断したらさ」

 それは最初に吹き飛ばされた拳銃による射撃であった。メアリーが撃ったその銃弾がフィングに命中したのだ。


 「.....ベッツ.....っ!」

 自身の胸から流れる血を見たフィングは[手音弾]の魔法であるリストバンドを取るとベッツに投げ渡す。

 「回収した....! 殿頼むよ...!」

 その魔法を確認したベッツはフィングに指示すると首を縦に振る。

 「了....解........っ!」


 

 

 フィングは拳銃を手に取るとエックス達に撃ち始め、車両は走り出す。


 メアリーは蛆虫の壁で守られて当たるとは思えない。エックスの進行をわずかにでも遅らせる為に撃つが当たらず、弾倉に最後の一発が残ると自身に銃口を向ける。

 

 拷問にかけられれば何を話すか自分でも予測できないからな...それに自白させる魔法や記憶を覗く魔法があってもおかしくはない、ここは...

 「先に退場させてもらうぞ...」

 そう一言言ってフィングは引き金を引き、銃弾は自身を殺す。




 エックスは車両に追いつくことはできず、しばらく追いかけたが立ち止まる。

 「はああ......こんな奴らに負けたの〜ぉ?」

 「さすがに....疲れたね........」

 余裕そうに言うエックスに対してメアリーは苦笑いでそのまま、横になるのであった。



 シグマ国の車両が到着すると、兵士達がメアリーを車両に運ぶのを見ていると、その時、エックスは飛んでくる銃弾に即座に気づくと腕と指を動かし蛆虫達がメアリー達を守るように壁を作る。


 「あーぁあ? きちゃったぁ? あたしが倒さないとな〜あ?」

 「このまま一度離脱する...!」

 シグマ兵士はそう言うと車を即座に発進させる。



 エックスは車が発進していくのを見ると、一つ、ため息をつくのであった。

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