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灰と魔法の荒廃戦  作者: 山田浩輔
階級者の唄
85/100

第85話 煙の中

 煙幕に包まれた戦場でメアリーは周囲の観察をしていた。

 広い荒野で多少丘で銃弾は防げるけど逃げるのは難しいかな。とりあえず煙幕を変化させる”制御系“の魔法はなさそうだね?一体どんなことをしてくるのかな?



 メアリーがそう思考していたその時、背後から走る足音が聞こえ振り向くとロメスがメアリーに突撃するのを見てメアリーはナイフを振り、カウンターを狙う。


 


 ロメスのナイフがメアリーの腕を僅かに掠って血が流れ、ロメスが距離を取ろうと踏み込むのを見て銃を撃つが、煙の中ではその姿が上手く捉えられず、銃弾が地面に当たる音だけが響く。


 目の前まで来ればロメスの姿を捉えられるが1mも離れれば全く見えなくなってしまう。




 そしてその瞬間、ロメスはさらに飛び込むと、メアリーの首を狙ってナイフで突く。

 メアリーはその攻撃を紙一重で避け、蹴りを放つがロメスは一撃を避ける。だがその避けた一瞬の隙でメアリーは銃を撃とうと構えるがその瞬間、風切り音が一瞬鳴ったかと思うと、何かがメアリーに衝突して拳銃はその衝撃で吹き飛ぶ。


 メアリーは一瞬硬直し、ロメスはその隙を逃さすにナイフで攻撃と同時に拳と蹴りを打ち込むと、メアリーはナイフは完全に避けつつ打撃は身体をしならせて跳ぶことで衝撃を減らす。しかし同時にジャラジャラと鎖と音が鳴り響いたかと思うと、メアリーに僅かに当たったかと思うと、メアリーの足の肉が削り取られる。




 今回の作戦は単純っちゃ単純、煙で視界を塞いだ戦場で空気の動きや音で空間把握ができる“強化系”[超感覚]を持つカプティブの俺が接近戦をする。


 挿絵(By みてみん)


 その上でベッツが持つ、鎖を即座に刃で変換できる“道具系”[刃鎖]とフィングが持つ、指で鳴らした音を衝撃波にして撃ち出せる”制御系“[手音弾]による援護。銃は使わない。同士討ちを避けるためだ。


 [超感覚]で把握してから避けれるほどの弾速な上に当たっても致命傷には至らない。援護射撃としては十分な効果がある。そのためどこにいるか、当たる可能性は考えず、まばらに連射して自由を奪う。

 


 ロメスはメアリーが落とした拳銃を煙の外へ投げ捨てるとさらにメアリーに接近して格闘戦を挑む。


 攻防は互いに同格。正確に言えば肉体はロメスが少し上、技術ではメアリーはずっと上。だがこの有利な状況ではロメスに圧倒的な分がある。メアリーはナイフの一撃を避けながら援護射撃も避けるにも限界があり、メアリーには打撃と斬撃が蓄積していた。



 確かに厄介だね? 流石にここまで不利じゃ勝てる気がしないや。だったらさ、この状況を打開すればいいよね?

  

 メアリーは腰につけた手榴弾を取り出すとピンを抜き落とす。これは煙幕を吹き飛ばすための手榴弾。それを見たロメスは手榴弾をすぐに拾うと遠くへと投げる。


 しかしその隙をメアリーは逃さない、一瞬注意が手榴弾に向いたことでメアリーには逃げる隙が生まれた。煙から出るために全速力で走るが、ロメスが叫ぶ。

 「テンセカン...13時の方向!!」

 メアリーが煙を抜け出そうとしたその瞬間、ミックが飛び出すとメアリーを蹴り飛ばし、煙の中に押し戻す。


 メアリーはその衝撃で痛みが走る。ミックの魔法は”強化系“[硬化]。全身を硬化することができ攻防が一体となる魔法である。

 倒れるメアリーにロメスはナイフを振り下ろすと、メアリーはギリギリでそのナイフの一撃を避けるとロメスに蹴りを放つ。だがその攻撃は空を切る。


 そっか?私が出ようとすれば出る方向を教えちゃうわけね? でも残念。ちょうどいい魔法があるんだ〜?


 メアリーは[変装面]を取り出すと装着してロメスの顔になる。



 「テンセカン!13時の方向!」

 [変装面]は声まで真似る、たしかに見事な連携だ。しかし連携を逆手に取ってしまえば関係ない。

 メアリーがそう叫んで先ほどとは違う方向に走る。それを感じ取ったロメスは叫ぶ。


 「リアン! 6時の方向!!」

 「騙されるな! テンセカン、13時の方向!」

 メアリーはそう叫び煙幕を出ようとするが、ミックはメアリーの目の前に現れると再び蹴り飛ばして煙幕の中にメアリーは逆戻りする。


 「にゃはは....そう簡単に騙せないようだね?」

 合言葉により連携をとっている....どの魔法を持っていても連携を崩さないためのものね?だったら私はその法則性をさっさと出せばいいんだよ。テンセカン、リアン.....名前ではない...そうなると何かの文字だったり——





 ———そう思ってるんだろ?メアリー、お前は合言葉があって、それが合ってないと連携を崩せない。そこまでは予想する。法則性を導き出そうとするんだろうけど違うんだなこれが。この合言葉に法則性はない。とりあえず適当な言葉を言ってから指示するだけだが、頭がいいほどそんな単純で頭が悪いことに気づけないっしょ?同じ言葉を使うならそれは偽物だとすぐにわかる。常に適当な言葉を先に言うのが正解なんだけどな。


 [変装面]が厄介なのは知っている。シグマが情報戦で常に強かった理由だ。顔を変えるだけなら変装は見破れるが、声も変わるため変装として強い。それを利用したつもりなんだろうが、こっちは最初から[変装面]が来ても[鉄生成]が来てもいいように想定して作戦組んでんだよ。


 お前はとっくに詰んでいる。階級者を舐めすぎだぜ?

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