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灰と魔法の荒廃戦  作者: 山田浩輔
階級者の唄
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第84話 一級者達

 「とはいえやられたね」

 イータ国はロー国兵士達により前線を押し返していた。シグマ側の兵士も大きく減らされ、さらにもう少しで援軍がさらに増えると撤退は必須であった。


 

 「ディバドの早期撃墜から悪くはねえよ。特級者を倒したとなればシグマの脅威性は更に深まったはずだ。一度撤収する、構わないな?」

 「そうだね? じゃあ一旦逃げよっか?」


 






 そうしてシグマ国は撤退の準備をし始めるとすぐに逃げ始めた。

 そして撤退と同時に、到着する部隊の車両から出てきた銀髪で前髪を下ろしている赤のハイネックの服を着たカプティブの優男はそれを見て冷笑する。

 「やっべー、遅れたわ。ごっめん、あ。俺ロメス、よろしく〜」



 「報告...!! 不動卿が撃破されました...!!」

 兵士の一人が言ったその報告で皆が固まる。

 「嘘だろ...?」

 不動卿が負けた。その事実は簡単だがバカでもわかる。エックスなどの特級者によって倒されたのであればまだわかる。しかし相手は一級者のメアリー。そうなると一つの事実が見えてくる。


 シグマ国には特級者が実質的に二人いる。



 「ゼータの階級表では一級者じゃなかったのか!?」

 「いやそもそも敵の魔法は[鉄生成]ではないのか!? その程度の魔法で....」

 「それよりもシグマを敵に回しても良いのか...!? このままでは国が...」

 司令官や参謀たちは一同焦り出している。怒号や悲鳴のように鳴り響く話し合いを見ていると、ロメスは言う。

 「大丈夫だって、だって考えてみてってさ。卿のおかげで敵が引いたってことは相当痛手を負っている筈だよ?」

 「そんなリスクが高いことができるのか...!? やられたのは特級者なんだぞ!」

 ロメスのお気楽な言葉に一同は反発するがロメスは言う。

 「いやいや、俺らってそのメアリーを殺すために組まされてんでしょ? じゃあやるしかないでしょ」

 「.....できるのか?」

 「そもそも俺らはそれぞれ国から選出された一級者同士で組んでるし余裕じゃないの? てかメアリーって女の子だよね。可愛いかったら嫁にしよっと」

 








 *****




 メアリーを後方にした車両の列は硬質土の道を進み続けていた。シグマ国の場所を特定させないため、車両は分散するように班を組んでいた。


 車両の後部座席に座るメアリーはため息をつく。

 「はあ....すっごく疲れた〜、私は先輩に会いたいの! こんなことしてる暇———」

 

 その瞬間だった。車が衝突するような音と窓ガラスの割れる音が鳴り響き、同時に車両は大きく揺れる。

 「な———!?」

 その原因を見たのは運転をしていた兵士であった。


 フロントにいたのは4つ足をついてこちらを冷徹な眼で見る茶髪の男であった。

 フロント部分は大きく凹み、ひしゃげていて、その男は手榴弾を手に取ると車両に投げ入れると車両から飛び降り、同時に車両は爆破する。





 走りながら轟音と燃え上がる車両を見て男は息を吐くが、その時、背後から声をかけられる。


 「君一体何かな?」

 それはメアリーの声であった。おそらくだが手榴弾を投げられた瞬間、いや、フロントに飛び乗った時の音が鳴った瞬間に[解放]して飛び降りたのだ。


 男は即座に振り向くとメアリーのナイフの一撃を避けると拳を振るう。だがその一撃を避けると同時に銃弾を男の頭部に撃ち込むと、男は大きく後ろに飛ばされ、そのまま倒れる。



 メアリーはすぐに状況を確認しようとあたりを見渡すと、次々と車両が壊されていることに気づく。


 メアリーが動こうと考えたその時、3人の男が現れる。

 

 「うっわ可愛い子! 殺すの勿体なくね!? うわ! 殺しちゃうの可哀想!」

 ロメス・C・テレストは軽口を叩くが黒髪で髪かがりをつけた長髪の男であるベッツ・テンシャスはため息をつく。

 「...はぁ....ロメス、私情は捨ててください.......残念でしたね? せめて楽に殺してあげますよ、メアリー・C・ニーシェント」

 

 その様子を見て橙色の髪をした40代くらいの男フィング・スパロは二人に気を引き締めるように声をかける。

 「敵は一級者とはいえ、油断はするなよ」

 「へいへーい大丈夫だって........って、ミック? 死んだの?」

 

 メアリーが頭部を撃った男が倒れてるのを見てロメスがそう言うと、茶髪の男、ミック・ガスターは立ち上がる。


 「......上手くいかないね...でもダメージは受けてない......」

  ミックは銃弾を受けた筈なのに気にする様子はなく、それでもメアリーはニコニコと笑いながら歩いて4人に近づき始める。



 「あー、そっかそっか、君たちは私を殺しに来た人たちなのかな?」

 

 「ああ! 今諦めるなら苦しまずに死ねるかも、俺の女にしてやったもいいぜ?」

 ロメスはそう満面の笑みで言うとメアリーは笑って振る。

 「ごめんね? 私一途だからさ? 下品な人とは付き合えないんだ〜?」

 「は? まあいいけど」


 メアリーが[注視]をすると全員が魔法を持っていることを確認する。辺りに味方はいない。武器は拳銃とナイフ、そして[変装面]や手榴弾がある。この状況は狙っていたのだろう。メアリーは拳銃を即座に構えるとその瞬間、ミックが3人の前に出ると仁王立ちし、銃弾がミックに命中すると弾かれる。


 そしてそれと同時に残りの3人は煙幕弾を同時に取り出すと、それをメアリーに向かって投げ、辺りは煙幕に包まれる。


 メアリーを殺すために用意された武闘派一級者4人の結集。メアリーはその状況でなお煙幕に包まれながら笑うのであった。




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