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灰と魔法の荒廃戦  作者: 山田浩輔
階級者の唄
78/100

第78話 イータ国戦

 数ヶ月後。



 〜イータ国地上〜


 「.....損害が大きすぎんだろ....まだやんのか...?」

 最前線にてイータ国所属の一級者、[磁力付与]の魔法使い、ナイト・オリジアスは言った。



 少人数からの侵略から始まったそれはまるで雪崩のように巨大な軍勢になっていた。


 灰兵は特殊金属装甲に身を包み、銃弾が効かない。機関銃を連射すれば防御力を上回れるが....


 遮蔽物に隠れられる以上、爆発物で倒す必要があるのだが守備走が地雷を次々と破壊していき効果が薄い。兵士一人一人に装甲があるため守備走は盾を持たず軽量で、まさにゴリアテの姿で地雷を次々と破壊して走行するため進行が異常に早い。


 近接に持ち込まれれば勝てないだけでなく、イータにはカプティブがいない。手榴弾でも...限界がある。


 そう思考していたその瞬間、灰兵数人がナイトのいる塹壕に襲いかかる。


 「少しは休ませろや....!!」


 ナイトは灰兵たちの斬撃を即座に躱わすと二人の灰兵に距離を詰める。両手でそれぞれ灰兵の胸に触れてS極を付与すると、今度は左手を地につけるとS極を付与する。するとその瞬間、それぞれ灰兵は斜め空へと吹き飛ぶ。


 そしてその瞬間、地面のS極を解除するともう一人の灰兵にN極を付与する。


 「ぐ....っぁぁあああああ!!」

 地上にいたN極付与された灰兵は上へと飛び、空中にいたS極付与された灰兵同士が衝突する。




 ナイトの制御系魔法である[磁力付与]


 これは正確には磁力ではなく吸引と反発の刻印を付与できる魔法である。そのため金属を引き寄せる性質はない。


 同じ刻印同士は弾かれ、違う刻印だと互いに引き寄せるといった代物で、付与するためには直接手で触れる必要がある。




 確かに灰兵の装甲は硬いがな。しかし中身は所詮人間だ。だったら衝撃で殺せばいいんだ。


 最初に地面と反発して二人は空中に投げ出されると、その二人は同じ極同士で分かれるように飛ぶ。


 そして最後の一人にN極をつければ互いに引き寄せられ、衝突し合い落下する。


 灰兵は硬いが、同じ硬いものをぶつけてしまえば関係ねえ。



 さっきからこの方法で敵を倒しているが.....俺以外はやはり倒せるやつがいねえ。


 三級者は7人、二級者は2人殺された。


 情報によるとメアリーがこの戦闘には参加している。[鉄生成]で壁を作っては接近して倒し続けている。



 エックスの情報はないことから安心していい。やつは蛆虫を”生成“できるわけじゃない。あくまで移動には準備がいる。その準備の様子がないことからも警戒はしなくていいはずだ....少なくとも....今はな....


 俺がやるべきなのは他国からの援軍が来るまでこの場を凌ぐこと....それが俺の果たすべき責務だ......




 ナイトは無線機を取り出すと指示をする。

 「こちらFE、プラン4を開始する、準備をしろ。アウト」




 


 


 メアリーは大量の円錐型の剣山を出力しながら突撃していた。


 円錐の一つ一つは隙間だらけだ。しかし剣山となれば話は別で、正面から見れば剣山は重なることで、メアリーは遮蔽物を潜るだけだがイータから見れば場所もわからず撃っても防がれる環境が出来上がっている。


  メアリー、そして数人の灰兵は剣山から塹壕に飛び出すと、塹壕内にいたイータ兵士たちはメアリーを見てすぐに銃口を向ける。


 メアリーは拳銃を持って兵士を一人を撃ち抜くと[鉄生成]で壁を作り撃たれた銃弾を防御して、そのままもう一人をナイフで刺し殺す。だがその瞬間、鉄剣山の中から兵士が飛び出すとメアリーの背後から銃口を向ける。


 鉄剣山で見えないのはそっちも同じ....!


 であれば剣山にあえて隠れて死角を突く....!!


 



 

 メアリーの背後を取った兵士二人は引き金を引こうとするのだが、その視界は180°回転する。



 「ダメだよ? ちゃんと確認しないとさ?」

 



 シグマ側の高い丘から望遠鏡で覗くエクレクスは無線機で続けて言う。

 「今ので全員ぶっ殺せたぜ? もう剣山に隠れてるやつはいねえ。とりまこれでいいんじゃ——」

 しかしエクレクスは直後に見たそれに驚き、すぐに叫ぶ。

 「正面から高速接近っ....!!」

 メアリーは無線から聞こえたその言葉を聞いて正面を見たその瞬間、そこにいたのは鉄の壁を飛び越え、剣を振りかぶった状態でメアリーに突撃するナイトであった。



 ナイトの剣戟をメアリーは銃身で防ぐと灰兵の元に即座に向かうと、灰兵たちの斬撃を避けながら、一気にS極を付与し、灰兵は互いに反発しあい、四方へと飛ぶ。それを見たメアリーは即座に思考し始める。



 ああ? そっかそっか? どうやって一瞬で距離を詰めたのかと思ったら、おそらくこの”反発“力で飛んできたんだね〜? でも直接触れる必要がある....それも“手”で触れる必要があるみたいだねー? だってわざわざ“手”を使えば武器が使えなくなるから普通は足とか使えばいいんだもんね?触れたもの同士が反発するわけだけど、生物だけ?それともいろんな物質につけることができるのかなあ?


 

 この子は正面で銃を撃たせて壁で防御することで前方を見えないようにした上で背後からの奇襲でさらに注意を奪ってさらに正面への注意を減らすつもりでやったんだろうね?




 そしてその瞬間、イータ側は機関銃で吹き飛ばされた灰兵に向かって連射し始める。

 そしてナイトも思考し始める。


 攻撃は防がれたが灰兵は飛ばしてやったぜ....? それに[鉄生成]の制約もわかった... こいつの制約は細かい生成物が作れない、そしてもう一つ、出力量にも限界があるんだ。灰兵は銃弾1発程度なら効かないが、機関銃を完全に防ぐことはできない。であれば戦場全体に剣山を生やすことで銃弾が使えず接近戦しかできない状況を作るのがベストなはずだぜ。だがな.....それができないということは出力限界、もしくは体力などを消費するタイプの魔法ってわけだ.....!!



 つまりこの盤面は戦うことで[鉄生成]をとにかく使用させる...! そうしてる間は灰兵の侵入を大きく減らせるってわけだ.....!!!

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