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灰と魔法の荒廃戦  作者: 山田浩輔
過去の世界戦争
69/78

第69話 後輩

 「....ここは.....」

 真っ白な天井がそこにはあった。初めてみる空間に困惑していると、一人の男が声をかける。

 「お目覚めのようだな、クリス・フラクトリア」

 「あ....あなたは....」

 軍服に軍帽をつけた男を見てクリスが問うと、男は答える。


 「俺の名はリーナ・カルソルム。これから君の上官となる。よろしくな」

 「えっと....はい.....」

 混乱する頭でなんとか返事をするとクリスは聞く。

 「ここは何処...ですか.....」

 「ここは軍事基地の医療室だ。君にはある手術を施した。そのため今は脳が混乱している」

 


 リーナ大佐の話を要約するのであれば、軍の規則にこれからは従うこと、手術により身体能力が大きく向上していること、そして定期的な検診が必要であることを伝えられた。


 「では、これで俺の話は終わりだ」

 「はい....ありがとうございます....」

 クリスはそう言うとリーナ大佐は指差して言う。

 「それから敬礼だ、忘れるなよ」

 「は....はい....」

 









 そこから軍での生活は始まった、訓練が毎日のように続く。身体今までよりずっと軽く、筋力も大きく向上していた。さらに八芒星を地面に書くことで身体能力を数倍に引き上げることを知った。だがこの方法には問題が一つあり、使えば肉体が大きく疲労し痛みが襲う。身体が囚われるように重くなる[カプティブ現象]には注意するようにと。そしてもう一つ、手術の影響か、クリスは顔面の感覚を失っていた。食事をすると口についてることに気づけずよく笑われた。

 

 孤児院に一度戻った時、ファリンやメアリーは驚いていた。僕の見た目の変化に、そしてその時にリーナ大佐に初めて伝えられた。軍人になる人間のうち一部はファリンの細胞を取り込む手術を受けているのだと。だが今のところ、軍人になる子はいないと聞いて少し寂しく...だけど安心した。


 

 *****


 訓練が始まって1年ほど経った時、ある人が軍に入る。

 「....メアリー?」

 「...お....お兄様...!?」

 それはメアリーであった。髪は銀髪で紫の瞳孔になっていることから同じ手術を受けたのだろう。クリスが静かに驚いているとメアリーはクリスに寄ると手を両手で包むように持つ。

 「お久しぶりです...!お兄様...! 本当に.....お久しぶりです...!」

 メアリーは涙ぐみながら、だけど満面の笑みでそう言った。そしてクリスはそれを見てどう反応すればいいかが思いつかず、困っているとメアリーは笑う。

 「相変わらずですね、困ると黙っちゃう所....」

 「うん.....そう....かもね...」

 クリスはその時、気づかなかった。顔の感覚がなかったからなのか、だけどメアリーは気づいてた。クリスは穏やかな顔で笑っていたことに。


 「おいおいクリス、お前の彼女かよ? お熱いねえ?」

 クリスの先輩がその様子を見て冷やかすとメアリーは赤面して手を離す。

 「ご...ご...!ごめんなさい私っ!!」

 メアリーは手で顔を覆って隠すと周りがニヤニヤとし始める。

 「メアリーは僕がいた保護区で一緒だったんだ、妹と仲が良くてね。先輩が思ってるような関係じゃないと思いますよ」

 「へえ?でも[お・に・い・さ・ま]だってよ?」

 「あはは......それはまあ.....うん....」

 クリスは苦笑いで言うがそれを聞いたメアリーは首をブンブンと振ると言う。

 「わ...わかりましたよ...!私も先輩って呼びます!! クリス先輩...!私頑張ります....!」

 メアリーはそう言って握り拳を作って宣言する。

 「うん....そうだね.....ファリンに久しぶりに....会いに行かないとね」



 それを皮切りに、改造手術を受けた人間が軍へ入隊し始めていくのであった。








 


 「クリス・フラクトリアの手術前の細胞を利用することで、手術の成功率が1%から15%まで上昇した....か」

 「はい、ただし、クリスほどの身体能力を持った個体は生まれず....おそらくは細胞の適合率の問題かと」

 リーナ大佐は報告を受けてほくそ笑む。

 「このままいけば....この国は最強の部隊を結成できる、そうすれば....戦場に革命が起きるだろうな?」

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