第67話 卒業
「えっと....」
「今日からダスト先生の代わりに研究をする者です。よろしく」
研究室にいたのは見たことのない数人の研究員の男だった。無表情で威圧感があるように感じる。奥にはレイズがおり、マウスを観察している。ファリンはほとんどレイズとは話したことはない。ダストと研究室にいる人程度にしか認識していないから。
「ここに寝なさい」
「は......はい...」
研究員は手術台に横になるように指示するとファリンは言うことに従い恐る恐る手術台に乗ると、研究員たちはすぐに手術の準備に取り掛かる。
「えっと...何するん...ですか....」
「それは機密情報で教えることはできない」
研究員の一人がそう言うと、すぐに麻酔を入れられて、ファリンは意識がゆっくり落ち始める。
先生は.....眠る時によく.....いろんな話をしてくれて———
そんなことを思いつつ、ファリンの意識は完全に落ちた。
「ん........ぇ」
ファリンが目覚めた時、そこは寮室のベッドの上だった。横をみると点滴が落ちていて、手術をしたことをゆっくりと記憶に現れ始める。
「ん.......ぐ.....!?」
ファリンはベッドから起き上がろうとした。だがその時、全身に激しい激痛がして立ち上がれない、冷や汗が流れ、息は荒れる。
「お兄.......ちゃん....」
その一言が口から自然に出た。
「最近ずっとファリンの体調が悪いね.....」
「そうですね....大丈夫ですかね....ファリンちゃん....内緒って言って教えてくれないし....」
クリスとメアリーはなかなか授業に出れないファリンのことを心配していた。
そして点呼の時間が終わると、最近はよくこの時間が出る。
「今日、レンくんがここを卒業します! ほら、挨拶しなさい?」
「はっはい...! みなさん!ようやく僕は生活できる新たな場で生きます....!みなさんと過ごせて楽しかったです...! ありがとうございました!」
ここの事務員の一人が点呼後に声をかけ、里親に行く子供が次々と卒業していく。今週でもう6人だ。
「最近は卒業が多いね」
「そうですね....きっと福祉制度が建て直され始めたんだと思いますよ?」
メアリーはそう言うがクリスは思考して、なんとなくだが、違和感を感じた。
「実験失敗、被験体死亡を確認」
手術台でその言葉が冷酷に述べられた。
現時点で成功は無し、しかしマウスの実験から予測できる範囲で、失敗ではない。まだ数はいる。そんな中で、一人の新たな被験体候補が決まる。
おそらく最も適合率が高い。それはファリンの血縁である[クリス・フラクトリア]だ。




