第65話 実験報告
最近はずっと注射が続いている。だが別に痛くもないし、むしろ頑張ってる感じがするので自己肯定感が上がってた。
「ふふーん♪ふふーん♪」
「楽しそうですね、何かあったんですか?」
自由時間にファリンが嬉しそうに鼻歌を歌っていて、メアリーが聞いてみる。するとファリンは自信満々に言う。
「フフン!実はね!私ってすごいんだよ!なんとね.....って!?」
ファリンはその時、ダストとは内緒にするという約束を思い出して口を閉じると、笑い出す。
「あははははは!!!!なんかそんな気がするから!!!!!!」
「そうですかぁ?まあいいですけどね〜」
ファリンの挙動不審にメアリーは特に何も思わずいると、クリスが教室に入ってくる。
「お兄様おかえりなさい...!」
「うん、ただいま」
「ファリンちゃんは今日は機嫌がとても良いみたいですよ〜?」
「あはは!私超元気!」
「ふーん、そうなんだね。楽しいなら何よりだよ」
クリスは微笑んでそう言うとファリンはクリスの頭を掴むとぶんぶん振る。
「お兄ちゃんはいつも透かしてー!」
「そんなことはないよ、多分」
「なんかお兄ちゃん最近変だよー!」
ファリンの言葉に反応したクリスはその言葉について聞く。
「うーん、そうかな?」
「うん! お兄ちゃん前は優しかったのに最近は扱いが雑! おかしい!」
「いやお兄様...全然優しい気が...」
「前はもっと優しかった!!」
「そう....かなあ....?」
クリスは困惑してそう返すことしかできなかった。
〜研究室〜
「最大限まで上がりきらないよ。どうしてかな?」
レイズは困惑しながら白マウスを見つめ、その様子を見たダストは実験記録を見て言う。
「うーん....今のところ投与してる内の9割以上は適合できず死んじゃいますね....やっぱり生物としてそもそも違うから....? もう少し調べる必要があると思いますね...」
「純粋に身体能力が上がりすぎて制御ができていないんだよ。投与してすぐは身体能力が高いけどから徐々に身体能力が下がっていってすぐ死んでしまうからね?」
レイズは冷笑しながらダストにいうとダストは頭を抱える。
「そうですね....実験期間は決まってるし....早くするように圧が掛かってるから急がないと....身体能力を上げる条件付けでもしてみますか?」
「そうだね....人間だったらもっと簡単にできるけどマウスに学習させるのは大変だよ?」
「やるしかないですね....それに手術成功率は最低でも9割はほしいですかね...」
そうして数ヶ月が経過する頃に、とうとう研究の成果が見える。
「2度目の身体能力向上後も死んでないね....? ほら、動きは鈍くなってるけど....でも生きてるよ? これで合計10体も成功だね」
レイズは興奮しながら言い、ダストも生きている白ネズミを見て喜ぶ。
「本当ですね....! ようやく最低条件はクリアしましたね.....! 報告をして大丈夫ですよね?」
「うん、とりあえずね?」
ダストはすぐに受話器を手に取り、政府局に連絡をする。
しかし、報告をしていく中で、ダストの表情はだんだんと曇り始め、それを見たレイズは気になりつつも黙って様子を見て、受話器を下ろしたのを見てレイズは聞く。
「どうしたの?随分と浮かない顔になったけど」
「.....れ......って....」
「え...? なんて?」
ダストの小さく呟いた言葉が聞き取れず、ダストに聞き返すと、ダストはしばらく沈黙してから、口を開く。
「人間での実験を.....すぐに行えと......」
「.....本当に?」
レイズはその言葉に少し思考すると首を傾げる。
「いやまあ人間にできる段階ではあるけど、でもまだ完全じゃないしねえ。どうする?やるの?」
レイズの言葉にダストは取り乱しながら、だが少し荒ぶった声を上げる。
「やるわけないでしょう!? 生存率がそもそも低いような実験なんですよ....!」
「いやまあ子供の数を考えれば十分できるけど...他の保護区からも...」
「そう言う問題じゃありません....!そんなことをしたら子供が何人死ぬかわかったものじゃありません...! そんな危険なことはできないです...!」
ダストの顔には苛立ちが見えた。そしてそれを見たレイズは頭を掻き、諭すように言う。
「この実験はそもそも人体実験、それはわかってるよね? だったらこれくらいは当たり前だよ?」
「そんなのわかってます....! わかってます....っでも....子供は....未来の宝でしょう.....? 無意味に犠牲になんてできない....!」
「そっか、君はそう考えるんだね。君の意見も尊重したいけど。いざという時は覚悟を決めなよ」
「.....私は....あの子達を死なせたりしない....このまま実験をするくらいなら....データを全て削除してでも.....守る.......」
取り乱すダストにレイズは呆れながらも、どうするべきかと思考するのであった。




