第61話 あの子との出会い
基本的には一般教養を学びつつ生活をする場でしかない、地下は学校に近い構造をしていて、食事もバランスが取れていて娯楽は少ないが生活する上で困ることはない。ただ.....時々、悲鳴が建物中で響く。
「いや!!!いやあああ!!やだああああ!!」
そう、定期検診である。採血の時間になると子供の悲鳴が常に響く。ファリンも例外ではなく、泣き叫ぶとだいたいクリスが慰めることになる。
「大丈夫? もう終わったから落ち着いて」
「痛いぃ....!」
クリスはファリンの頭を撫でながら、通路を歩いていると、教室の前で子供の声が聞こえ、その時、窓から見えたのは何かを投げ合う数人の男の子達と、それを追いかける女の子であった。
「返してください〜ぃ!」
「へへ、ここまでとりにこいよ〜!」
女の子は泣きじゃくりながらいうが、男の子達は笑いながら止めようとしない。それを見たファリンは一目散にその現場に飛び込むと投げ合っていたものをキャッチする。
「何やってるの、弱いものいじめじゃない!?」
ファリンはそう堂々と言うと男の子は不機嫌そうに言う。
「おい何すんだよ! 遊んでるだけだろ!」
「ヒィ....お兄ちゃん助けて....」
ファリンは凄んだ男の子に萎縮し、クリスの後ろに隠れる。それを見てクリスは困惑する。
「え、なんで...? えっと...僕は別に関係....」
クリスは弁明しようとするも、外から聞こえる音を聞いて言う。
「あのさ。事情はあまりわかってないけど、その子は泣いてるし、あんまりやりすぎない方がいいんじゃないかな?」
「なんだトォ!」
男の子はクリスの言葉に激情して顔を殴りつけるとクリスはその場にへたり込む。するとその時、教室の扉が開く。
「ゲッ.....先生....!」
「ちょっとちょっと...! ケンカ? ケンカなの?だめだよ...ぉ!」
それはダストの姿であった。足音からして大人だったのでどうにかなると踏んだクリスであったが思った通りに進んで安心するとゆっくり立ち上がる。
「痛い.....」
クリスはダストに聞こえるくらいの声で呟くと、男の子達は弁明し始める。
「いや...!こいつが!」
「話は後で聞きますから....それよりクリスくん...!大丈夫かな...!」
ダストはクリスの方を見て心配そうに言うとクリスは首を縦に振る。
「一応保健室に行った方がいいかもしれませんね、行ける?」
「うん、なんとか」
そうして男の子達はダストに連れて行かれる形で教室を出ていくと、ファリンは女の子に取られていたものを渡す。
それは小さな犬のぬいぐるみで、それを受け取った女の子がお礼を言う。
「あのあの....ありがとうございます! 助けてくれて...!」
「いいよいいよ! それ大事なの?」
「はい.....お母さんが昔買ってくれたもので....」
「そっか...とりあえずよかった」
女の子の年齢はおそらくファリンと同じくらいで、クリスの二つ下の9歳だろう。そんなことを思っていると女の子はクリスにも頭を下げる。
「申し訳ないです....私のせいで....!」
随分とオドオドしてる少女でそれに対してクリスは微笑んで答える。
「大丈夫、気にしないでいいよ」
少女はその言葉を聞くと、少し悩むそぶりを見せてクリスに聞く。
「あの....あの....お名前って....」
「ああ、うん。僕の名前はクリス・フラクトリア、こっちは妹のファリンね」
「そうなんですね.....あ、名前言わないといけませんね...! 私の名前は...メアリー........メアリー・ニーシェント...です!」
「メアリーちゃんね、仲良くしよ? いざという時は助け合おうね!」
ファリンはメアリーの手を握ってそういうとメアリーも少し嬉しそうに笑うのであった。




