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第九話 真なる武士

二本松から何とか会津若松城へ撤退した紗月たちや青豹隊は来たる次の戦のために準備をしていた。


数日後、紗月は冬十郎と会津城下の様子を歩いて視察していた。


「先日の二本松の戦い、青豹隊はどうだった?」


紗月は青豹隊と関わった冬十郎に話を聞く

突出して孤立した青豹隊を助けて叱責して撤退させたその姿を見ていた紗月は青豹隊に対する冬十郎の評価を聞いてみたかったのである。


「奴らは確かに武士だった。命をかけて、命を捨てて主人を守るのは大切なこと…だが、それは過去の話。今そんなことをすればただの犬死にになるだけ…それが分かっているか分かっていないかで変わってくる。

もし変わらないのならそれまでのこと…変わったのなら強くなるだろう。」


前をしっかり見ながら歩いているがその目は青豹隊の未来を見据えていたようにも見えた。


「珍しいなお前がそんなに誰かのことを考えてるとは。よほど青豹隊のことが気になっているのか?」


江戸で将軍の護衛をやっていた頃合いからの付き合いだからこそ紗月は気付いたのだろう。


「気になっているわけではないが、今後の会津を支えていけるのは青豹隊だけだ」 


「なるほどな。」


紗月はフッと目を閉じながら微笑んだ。

しばらく街を歩いていると青豹隊の道場が見えた

紗月と冬十郎は道場を覗くとそこには

剣術を指導する征二郎の姿とそれを聞き懸命に木刀を振る暁ら隊士の姿があった。


「征二郎、こんな所にいたのか?」


紗月は驚いて道場に入ると征二郎は「止め!」と言って稽古を終える


「おぉお前たち無事でよかった。」

二本松の戦いでは城下を守る立場で戦場へ参加できなかった為紗月達とは合流できなかったのだが

二本松の戦いのあと戻ってきた暁らに人々を守るために強くなりたいと征二郎に願い出たのであった。


「まさかお前が指導者になっているとはな。どうだ?こいつらは」


「前より強くなったような気がするよ。力は勿論だけど心も変わっているようだ。」


「そうか」

冬十郎はフッと笑うと暁が冬十郎の前に来る


「まだ何か言いたいことがあるのか?」

横目で暁を見るといつもなら反論してきた暁だったが突然頭を深く下げる


「今までの我等なら貴方の言葉に食いかかっていたことでしょう…しかし先日の貴方の言葉で目が覚めました…死ぬことが国を守るためではない…生きることが守るためなのだと教わった…だから貴方に感謝しています!」


冬十郎は眼を大きくするもすぐに目を閉じる

変わらなければそこまで…そう考えていた冬十郎だがその言葉は彼らに伝わったのだと思い笑みを浮かべた


「あぁ。」


その光景を紗月は横を向き微笑んでおり

征二郎は優しい笑みを浮かべていた。

隊士たち皆笑っていた。

生きて忠を誓うことが真の武士のあるべき姿なのだと皆が気付かされたのであった。


それからすぐのこと二本松を制圧した新政府軍は母成峠まで進軍して来たと言う知らせを受け紗月たちは再び会津兵や青豹隊たちと共に母成峠へ向かったのである。

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