第八話 二本松の戦い
遂に会津の城下に新政府軍が攻め込んできた。
数は少数だが持っているのは最新兵器ばかり
しかし紗月たちにも銃を扱う部隊を揃えている
今度こそは勝利してこの会津を守ると心に決めたのであった。
いよいよ二本松の戦いが始まる
紗月たちは鉄砲隊を配備して来たる新政府軍を打ち倒すために待ち構えてると突然暁が率いる青豹隊が合図を待たずに突撃を始める。
青豹隊が突撃したことがきっかけで統率が取れなくなった中、戦が始まった。
「あのバカが!!」
冬十郎は舌打ちをして刀を抜き
「俺はあのバカ共を抑えてくる!」
そう言って冬十郎は前線に出ていった。
「仕方ない…青豹隊を援護しろ!!鉄砲隊!放て!!」
紗月の合図で鉄砲隊は銃を放つ
火縄銃では無いため装填までの時間がかかることは無いため横一列に並ばせ射撃する
目の前の新政府軍は撃ち倒せてはいるものの肝心の青豹隊は囲まれて孤立していた
「くそっ…囲まれた…怯むな!おしかえせ!!」
暁は兵士に一喝すると斬りかかってきた新政府軍の一人を押し返そうとするも更に囲まれ窮地に立たされる
「ぐっ…なぜだ…なぜ青豹隊が押し負けるのだ!!」
暁の言葉は悲痛な叫びとなって漏れた
いつものように力で押し勝ち叩き斬る。
それが青豹隊のやり方であった。
しかし近代戦闘が進んでいる今の世でそのような戦法は全くといって通用しないのである。
暁は襲いかかってきた敵兵を斬ろうとするも
その敵兵はあろうことか自分の味方を盾にした。
卑劣なやり方と思えてもこれは稽古で無ければ試合でもない。
問答無用の命の取り合いである。
盾にした仲間を突き飛ばして油断していた暁に斬りかかろうとするもその動きは突然止まる。
「がはっ!?」
口から血を吐きズルリと倒れたその兵の後ろには冬十郎の姿があった。
「お…お前…」
暁が言い終わる前に冬十郎は暁の着物の胸ぐらを掴む
「この大馬鹿野郎ッ!周りが見えねぇのか!!」
珍しく乱暴な口調で怒鳴る冬十郎
暁のことが気に入らないからではなく、本当に心配していたからこそ心から出た言葉であった。
「主のために命を捨てる覚悟で戦ってなにが悪い…」
暁はすぐに眉をつり上げて冬十郎に反論する。
「命を捨ててまで主を守り抜くのは悪いことじゃねぇよ…でもな…戦争ってのは盤上の遊びじゃねぇんだよ!!」
冬十郎は胸ぐらを掴んだまま揺する
「貴様…言わせておけば…」
暁は自分たち青豹隊の理念を蹴落とされた気がした。
「死ねば満足か?死なば誉れか?」
「はぁ?なにを言っているんだ?我等は主のために死を持って支えてきたのだ。それが誉れと言わずしてなんとする!!」
冬十郎の言葉に自分は正しいと主張する暁に冬十郎は言った。
「死んでどうなるってんだ?死んだら誰かが救われるのか?そんな古臭い主従ごっこの時代じゃねぇんだよ。死んで忠誠を誓うくらいなら行きて主を支える方がよっぽど立派だぜ」
冬十郎はさらに言葉を続けた。
「闇雲につっこむだけではただの犬死にになる。例え死ぬなら命の捨て所を誤るな」
その言葉は冬十郎自身が一番よく分かっていた。
かつては自分たちもただ闇雲に戦っていた。
だからこそ暁ら青豹隊にはそんなことはさせたくなかったのだ。
「命の捨て所…」
「撤退だ。お前の指示なら青豹隊の連中も聞くだろう」
「…分かった…撤退だッ!!」
暁は青豹隊を連れ撤退する
撤退の最中チラリと後ろを見ると
冬十郎が暁らを逃がすために時間を稼いでいた
「もし…命を捨てるなら…」
言葉を途中で止めて前を振り向き戦場を脱した。
二本松の戦いは青豹隊及び紗月たちの敗北に終わった。
冬十郎は無事に青豹隊が撤退したのを見届けると自身も急いで戦場を後にして仲間の待つ会津若松城へ退いたのであった。




