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第六話 最新兵器

白河口の戦いで大怪我を負った紗月、冬十郎、征二郎は会津へ向かおうとするも意識を失って倒れてしまう。

次に彼女たちが目を覚ましたときは見知らぬ部屋の天井だった。


「ここは…」

紗月が目を覚ますとちょうど宿の仲居が部屋に入ってきた。

「お目覚めになられましたか?お体はもう大丈夫ですか?」

仲居は手に持っていたお湯と手ぬぐいをそばに置き

紗月達の様子を伺う。


「ここは何処だ…」


「ここは会津の宿場町、会津屋です。」


紗月は部屋を見回した


仲居は紗月達が運ばれてきた経緯を語った

なんでも紗月達が倒れてからすぐに会津屋に卸に来ている行商人が通りかかった際に傷だらけの紗月達を助けこの会津屋へ運んできたのだという。

色んなお客様を見てきたが死にかけたお客様は始めてだと仲居は語った。


「そうか…世話になった…」

「いえ、ご無事で何よりです。では私はこれで」

用を済ました仲居は部屋を去って行く


紗月は額に巻かれていた包帯を触りながら俯く

「無様なものだな…紫藤家の武士たるもの…」

ギリッと歯を食いしばる。そんな時征二郎が目を覚ました。


「起きてたのか紗月…」

征二郎はゆっくり体を起こす。まだ少し痛みがあるのか顔をしかめる。


「征二郎、無理をするな。お前も体を強く打ってるんだ」


あの時征二郎はフランキ砲の砲撃で吹き飛ばされた時後ろにあった木に体を強く打ち付けたのであった。


「大丈夫だ。骨は折れてはいない…それよりお前は大丈夫なのか?」


「心配はいらん。ただ石で切っただけだ。それよりも冬十郎はどうなんだ?」


冬十郎は爆風で飛んできた木片が左肩に突き刺さったのである。

かなり深く刺さったらしく治療も困難だったそうだが一命は取り留めたという。


「かなり深刻だったようだが峠は越えたよ」

「そうか…ならよかった。」


紗月は安心した表情をする。

相棒である冬十郎を失いたくないと言う気持ちが強かったのである。


しばらくして冬十郎が目を覚ます

冬十郎は部屋を見回したあと紗月と征二郎を見る


「お前たち、生きていたか…」

「それはこちらの台詞だたわけ。」


紗月は安心した顔をして冬十郎に言った。

程なくして布団から出て身支度を整えて女将と仲居に世話になったと告げて宿を出る

会津の町はまだ戦火にはなっていなかった。

紗月たちは何処か落ち着けるところを探し居酒屋を見つけ中へ入る。

座敷に座り三人は新政府軍の兵器について話を始めた。


「鳥羽伏見の戦いの時から思っていたが、新政府軍の銃は恐ろしく射程も集弾性も高い…」


冬十郎は鳥羽伏見の戦いを思い出した

市街地を制圧しに出た冬十郎は目の前の鉄砲隊の放つ銃弾の雨に苦戦を強いられていた。


「あんなものに高いところから狙われてしまえばひとたまりも無いな…」


征二郎はその状況を想定した瞬間血の気が引いたような顔をした。

たしかに高台に陣取られて集中砲火を浴びれば、百発百中までは行かなくとも高確率で当たり続けるだろう

もしそうなったら全滅は確実だろうと三人は思った。


「鉄砲のみならずあの大砲も厄介だ。鉄砲に比べて弾込めに時間がかかるものの一撃であれだけの威力。

かつての大筒と同等…いやそれ以上やもしれん…」


紗月は龍雲寺に斬り込んだときを思い出す

鉄砲隊はおらず龍雲寺の門の前に大砲がいくつか配備されていた。

発射装填を順番に繰り返すことで隙が生じることは無かったという。


「おまけにあの藤五郎の持つフランキ砲…本来大筒というのはその場所に固定して撃つものでかなりの大きさだった。だがそれを小型化して携行できるようにしたのがあのフランキ砲だ。ポルトガルは恐ろしいものを考えたものだ」


冬十郎はあの藤五郎が持っていたフランキ砲を思い出す

今の大砲は本体に車輪が付いて運びやすくなっている。

その改良の原点は恐らくフランキ砲が元祖なのでは無いかと思う。


「もはや突撃するだけでは勝てぬか…」


刀や槍の時代はもう終わった…紗月達はその現実に直面していたのであった。


「旧幕府軍の主力は武器や戦いの近代化を図っている。俺達も加わって近代戦闘を学ぶ必要がありそうだ」


征二郎は旧幕府軍の本隊に加わるべきだと言った。

その言葉に紗月と冬十郎も賛同する


武士の魂である刀は捨てずに新たな戦い方を覚えることが今の自分達に必要だと思ったからである。

紗月たちは話が終わると、居酒屋を出て主力部隊がいる会津若松城へと進路を進めたのであった。


第六話 完

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