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第二話 動乱の始まり

王政復古の大号令が起こり不満を遂に爆発させた幕府側(旧幕府軍)は遂に慶応四年(1868年)1月3日京都郊外の鳥羽・伏見で明治新政府軍と激突した。

これにより時代を変える大きな戦である戊辰戦争が始まった。


紗月と冬十郎は鳥羽・伏見の戦いが始まる数日前に京都に入り旧幕府軍側に着いた


紗月はこの戦いで指揮を執る長曾根征二郎ながそねせいじろうに挨拶をする


「お初にお目にかかります。江戸から参りました紫藤紗月と申します!」


紗月征二郎の前で膝をつき頭を下げる

一つ一つ武士としての作法が光っている


「そこまで堅苦しくしなくても良い」


征二郎は紗月の作法を見て苦笑いする


「江戸からはるばる来てくれて嬉しいよ。これからよろしく頼むよ」


征二郎は紗月に笑顔で答える


「はっ!!」


紗月はしっかりと答えた


「紗月ここにいたのか。征二郎殿と挨拶は済んだようだな」


紗月の後から冬十郎がやってきた。


「来たか我が友、冬十郎よ」

「まさかお前が大将になるとはな。」

「全くだ」


冬十郎と征二郎は古くからの親友で

冬十郎が紗月出会う前は二人で行動していたという


「冬十郎と征二郎殿は友人だったのか…」


事実を知った紗月は驚いた。自分の相棒とこの戦いで大将を務める男がまさか友人同士だったことに


「紗月、俺のことは呼び捨てで構わんよ今日から紗月と俺は友だからな」


征二郎は紗月に言った


「そうか なら分かった。よろしく頼むぞ征二郎」

紗月は珍しくフッと笑い言った。


それから日が経ち現在

遂にこの鳥羽・伏見で旧幕府軍が攻撃を開始して戦いの幕が上がった。


「行くぞ!」


征二郎のたった一言の号令で旧幕府軍全隊が動き出す


冬十郎「俺は市街地の制圧に向かう!」


「頼んだぞ冬十郎」


冬十郎は征二郎に言うと颯爽と市街地へ駆けて行く。


「私は砲撃を止めるため、龍雲寺攻略の部隊に加わるとしよう」

紗月は額に白い布を巻きながら言った


「分かった気をつけろよ」

「あぁ。」

「俺も出れれば良かったが…」


征二郎は共に戦場に出られないことを悔やんでいる


「お前はこの軍を指揮する立場なんだ。ここでどっしりと構えて指揮を執れ。それはお前にしか出来んことだ」


紗月は征二郎の肩を叩くと部隊にと合流して龍雲寺へ向かっていった。


「皆、頼んだぞ!さぁ!前線を押し返せ!!」


征二郎の号令で旧幕府軍のおぉっ!!という声が大きくなっていく

しかし新政府軍が持つのは最新兵器の銃と大砲

なかなか思うように進めないでいる



市街地


一方市街地の制圧に出た冬十郎は新政府軍の持つ鉄砲に苦戦していた。

土嚢に隠れ隙を見つける


「命中精度が恐ろしいほどに高いな…これでは思うように進めん…」


そんな時伝令がやってくる

「報告、背後からも新政府軍が迫ってきてます!」


「なにっ!?」

冬十郎は目を大きくして大きい声で言った


「このままでは挟み撃ちに…」


「くっ…一度撤退だ!!」


冬十郎が率いる軍は急いで市街地から抜ける



龍雲寺


龍雲寺へ砲撃止めに加わった紗月も苦戦していた

目の前の大砲で多くの兵士が吹き飛ばされていった


「あの威力ただ者ではない…だが弾込めに時間がかかる…」


部隊の指揮官が合図を出すと紗月は飛び出して斬り込むが鉄砲隊に阻まれる


「くそっ!!」


目の前で一人また一人と撃たれて死んでく。


そして次の大砲が近くで発射されて大きな土煙を上げて着弾

多くの兵士が吹き飛び、紗月もまたその衝撃で吹き飛ばされた


「がぁっ!!!」


幸い軽い怪我で済んだもののまともに食らっていたら体がバラバラになっていたはずだ


「く…くそ…」


指揮官の撤退と言う合図を聞き悔しさで顔をゆがめる紗月


「くそ…くそったれが…」


打ち付けられた痛みをこらえながら撤退する



旧幕府軍本陣

征二郎の前に先に冬十郎が到着した


「冬十郎!無事か!!」


冬十郎の姿を見た征二郎は駆け寄る


「何とかな…だが思うように進めなかった…すまん…」


冬十郎は頭を下げるが征二郎は頭を上げさせる


「謝る必要はないお前はよくやった。」


冬十郎の肩に優しく手を置く征二郎


「征二郎、紗月はまだ来てないか?」


その言葉を聞いた征二郎は笑顔を失う


「まだ来てない…紗月…無事だろうか…」


「そうか…」


二人が紗月の帰りを不安に思っている


「今…戻ったぞ…」


冬十郎の後から傷だらけの紗月が体を引きずって戻ってきた


「「紗月ッ!?」」


冬十郎と征二郎は急いで駆け寄る


「大丈夫か?しっかりしろ!!」


冬十郎は紗月の体を支え征二郎は急いで椅子を持ってくる


「紗月、無理するなゆっくりこれに座れ」


征二郎は紗月を椅子に座らせるように促す


「すまん…砲撃を止めるどころか…食らってしまった…」


力なく言葉を放つ紗月に征二郎は肩を優しく叩く


「お前が無事ならなによりだ」


「あぁ。生きているだけで十分だ」


冬十郎は紗月の体を支えて椅子に座らせた


「これからどうする?」


「これ以上戦うのは無理だからな…大阪へ行こう。将軍様もそこにいる。」


征二郎は傷ついた紗月を見てこれ以上戦うことは無理だと悟り撤退を指示した


「そうだな。大阪へ向かえば体勢も立て直せるか…紗月もそれで良いか?」


「あぁ…問題ない…」


「よし大阪へ行こう。紗月は怪我人だから担架に乗せて運ぼう」


冬十郎は人が一人横になれる板を用意して紗月をそこに寝かせる


「ゆっくりでいいからな。」


征二郎と冬十郎は紗月を寝かせてゆっくり運ぶ


こうして無事鳥羽・伏見を抜けて大阪城へとやってきたのだが、ここで衝撃的なことを知らされる


「将軍がいないだと!?」


征二郎は同じ旧幕府軍の仲間から聞かされて驚いた


なんでも将軍は密かに大阪城を脱して江戸に逃げたという


「ちっ…戦が怖くて尻尾巻いて逃げだしやがったって訳か…俺達はなんのために戦ってんだ…」


冬十郎は壁を殴って怒りを露わにする


「なら…私たちも江戸に戻るとしよう…」


ゆっくり紗月が起き上がり言った

征二郎と冬十郎はその姿に驚き止めようとする


「心配は要らん…痛みも引いたし血も止まってる」


「そ、そうか…」


「それより…いつまでもここにいるわけにも行くまい。江戸に出立しよう」


紗月の言葉に二人もうなずく


「そうだな。幕府の軍艦がある。それに乗って江戸に戻ろう」


征二郎は紗月と冬十郎を軍艦に案内する


幕府の軍艦が動き出し大阪城が遠くなっていく

京都の街が燃えているのも見える

自分たちがさっきまでそこで戦っていたんだと思っていた

この先更に戦いは激しくなるだろう

三人はより気持ちを固めるのであった。

次に来る戦いに備えて


第二話 完

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