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5章 やっとこの時が

 ゴブリンの攻撃をリュウは軽くかわし、そのまま持っている剣で2体の腕と首を斬った。


 それを見ていたナオは自然と声が出た。

「うぉ!すげーな」


 リュウはフッと自慢げにポーズを決めた。

「どーよ?すげーだろ」

「んで、ナオ!俺に強化魔法かけてくれ」


「えっ?……おう」

 ナオは言われるがままリュウに向かって強化魔法を掛けた。


「これって凄いよな、無敵になった気がする」

 身体強化されたリュウはさらに自信に満ちあふれており、ストンストンとその場で何度か体の具合を確かめる動作をした。


「今強化してどうす……」

「あっ!おい!」

 ナオがまだ話してる途中でリュウは、ものすごいスピードでゴブリンの村へ走り込んで行ってしまったのだ。


「あいつ何やってんだ!」

 ナオがリュウを追い掛けるが、全然追い付けないどころかさらに離されて行く。


 村へ突っ込んで行ったリュウは

「つぇいや!」

「しゃーら」

「とぅぅや」

 次々とゴブリンを斬り倒していた。


 ほとんどを倒してしまったリュウはナオの所へと歩きながら戻ってきた。

「すこーし本気出したらこれだよ、こーれ」


 さすがにナオも驚いた。

「さすがリュウさん!カッコいい」

「もうほとんど終わったんじゃない」


 リュウは剣を肩に乗せながら目を細めて

「余裕だな」

「異世界で最強的なヤツだよ」


 余裕をかましまくってると村の中心からまだ数十体のゴブリンが出て来た。

 それを見ていたナオが言った。

「そうしましたら、チェンジしよっか」

「俺も試したい事がある」


 軽く手を上げたリュウと入れ替わりナオが前に出る。


「グギギギギ」

「ガァ゙ァ゙ァ゙ァ゙」

 ゴブリン達は怒り、集まって今にもコチラに向かって来そうな雰囲気だ。


「はぁぁぁっと」

 ナオが杖に力を込めると、杖先の魔石に炎がまとわりつく。


 ――それをゴブリンの集団へ飛ばす――

 

 スーっと音がする速度でゴブリン達の所へ炎が着弾すると、胸を突き抜ける様な低い爆発音と共に火柱が立つ、距離があるにも関わらず熱気と衝撃波が2人の元へ届く。


 ゴブリンが居た場所には何も残っていない……


「へー……ナオもずけーな」

「いつ覚えたのコレ?」

 さすがにリュウも驚く。


「まだあの範囲位だけど、攻撃魔法位少しは使えないとね」

「オレなんかよりリュウのが相当凄いぞ」

「魔法は昨日サチがくれた魔法書読んだら出来た」

 ナオは昨晩サチに魔法書をもらい熟読し会得していたのである。


「だけどさ、リュウのあれはなんだよ」

「強すぎるよ」

「昔ながらの突っ込みがオレにはたまらないけど」

 ナオはリュウのあの動きに興味を持っていた。


「レベルアップがあるのかわからないけど、昨日とは違う自信と動きが出来るって確信があった」

「今もさらに強くなった感覚があるから、戦いを重ねればもっと強くなるかもな」

 何とも言えない感覚をリュウらしい言葉で説明してくれた。


「うっ……リュウさん……ごめん」

 ナオはゴブリン村を探索しようとしてリュウに謝った。


「えっ?なになに?」


「いやー……真ん中の色々ありそうなテントも燃え尽きて何も残ってないや」

 笑いながらも気まずそうにナオは話している。


「まぁいいだろ、小さいテントみたいなのはそこそこ残ってるし軽く見て帰ろうぜ」

 リュウは大して気にもしてなかった。


 リュウが数カ所まわってナオに

「意外とエルが置いてあったよ、コイツら町で買い物なんて出来ないだろ」


 不思議そうなリュウにナオは

「多分、略奪した物の中にエルがあったんじゃないかな」

「歴史的遺物以外はもらって良いって話だから貰える物はもらって行こうか」


 それにはリュウも納得し、2人で探索を手早く済ませて元ゴブリン村を後にした。


「よーし!30000エル見つけたな」

 ナオとリュウはニヤニヤしながらギルドへ向かいながら今回の依頼の事を振り返っていた。


「今日って報酬どれ位になるのかな」

 リュウの表情からこの後の展開が読めたナオ。


「この規模の依頼ならそれなりにもらえそうだな」

「今考えてるのは……アレだろ?」

 ナオはニヤッとしながら言った。


「今日は報酬次第だけど、前回のリベンジしたい」

 リュウの意思は強そうだ。


「そうだな、俺もやってみたいのあったからとりあえずで今日は風呂に行ってから飯と宿代金残して勝負に行こう」

 ナオもやる気に満ちあふれていた。


 そうこうしている内にギルドに到着する。

 距離があったのですっかり辺りは暗くなっており夜らしい町の景色に変わっている。

 2人はギルドの扉を開け、中へ入る。


「お疲れ様でした」

「無事に戻られて何よりです!」

 ミィが出迎えてくれた。


「やっぱり楽勝だったよ」

 リュウは依頼報告をして、強さのアピールをミィにしている。


「良かったです、確認の為の鳥を飛ばすので少しだけお待ち下さい」

 遠方で確認する物が無い場合は、ギルドの鳥を飛ばして確認をするらしい。

 さすがに空を飛ぶのであっと言う間に鳥が帰ってきて、ミィへ報告をしている。


「おぉ!依頼完璧に完了されてますね」

「今回の報酬は30万エルになります」

 3日目にしてギルドからの大金をガサッと握り2人は顔を合わせてニヤリと微笑んだ。


「ナオ、とりあえず飯と風呂行こう」

「ミィまたね!」

 リュウはナオを急かす。


 ギルドの外に出た2人は簡易的に食事が出来そうな外の屋台で売られている串焼き等を適当に食べながら、浴場へむかう。


 浴場へ到着し、異世界で初めてのお風呂はどんな所なのか期待に胸が膨らむ。

 前払いをしていざお風呂場へ……


「なんかさ、この広さは貴族になったみたいな気持ちにさせてくれるよな」

 リュウは清潔で広いお風呂に大満足。


「あーわかるよ、全く人と近くない広過ぎるのがたまらない」

 ナオも久しぶりのお風呂に大満足だった。


「オレはさ、前回のリベンジだから同じブレイブマンを倍のレートでやる」

「それで……ナオは何するの?」

 リュウは前回の負けを倍レートで取り戻す戦略だ!


「んっ?オレはカードだよ」

「オレが好きなテキサスホールデムと同じ事やってるテーブルがあったからさ」


 テキサスホールデムはプレイヤーが2枚とコミュニティカードと呼ばれる全プレイヤー共通となる5枚のカードを合わせてポーカーの役を作るゲームだ。

 以前からナオはこの類のゲームが得意である。


「あー、なんかゲームの中でそれやってるの覚えてるよ」

 オンラインが主流となる前は2人揃って良くゲームをしていたのでリュウは覚えていた。


「それじゃお互いやる事も決まったし、行きますか!」

 リュウはザバっと立ち上がり、それに合わせてナオも風呂を出た。


 外出た2人はカジノへ向かう道中酒場の多い通りを歩くのだが、そこでルイを見つけた。


「ルイ、今日もこの辺りで客引きしてるの?」

 リュウはルイを見るなり声を掛けた。


「あっ!リュウさんとナオさん」

「そろそろかなとは思ってました」

 ニコニコと2人と話す。


「今日は行こうと思ってて、そしたらちょうどルイ見つけた」

 ナオもすっかり仲良く話す。


 そのまま話しながらカジノへ3人で歩いて向かいあっと言う間に、あの大きな扉の前に到着した。


 2回目という事もあって違和感なく扉を通り抜けて行った2人。


 中の交換所の前でナオがリュウに言った。

「残り29万エルあるから、キレイに半分ずつ分けちゃおうぜ」


 それを聞いたリュウは

「悪く無い話しだ!オレは賛成!」


 こうして2人は全財産を分け、さらに二手に別れそれぞれの戦いへ向かった。


 2人は交換所でありったけのエルをチップに交換しナオはテキサスホールデムへ、リュウはブレイブマンへ向かう!


 ナオはサラッと高額ベットのテーブルへ、リュウもわからないフリをして前回の4倍のレートへ向かう。


 そして2人はついにスタート位置についた……

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