4章 準備完了
冒険者としての支度を進めて生きたいですね。
陳列はジャンルや職業等で別れており、とても見やすくなっていた。
ひと通り見てみてると金額も様々で、1000エル位から100万エル以上の物まであった。
これだけ高額なのは余程凄い加護や付与がされているのだろうか、明らかに雰囲気の違う品物である事が素人でもわかる。
「これカッコいいな」
リュウが手に取ったのは魔法付与がされており、 力を込めると中央にある縫い目が淡い青に光るマントだった。
しかし、ただ光るだけのマントである。
「光るだけならいらないよ」
ナオにあっさり却下された。
「とりあえずでTシャツとカーゴパンツに魔力を高めるローブで俺は決めるよ」
ナオは普段からあっと言う間に買い物が終わる。
リュウは服選びに悩んでいる。
「んー……そしたらこのちょっと勇者っぽいマントもセットの服にしようかな」
「ペコさんまとめてお会計お願いします」
リュウとナオは持っていた物を全てカウンターへ置いた。
「ありがとうございます!」
「40000エルになります」
「着替えて行きますか?」
「うん!」
「おう!」
2人はペコの問い掛けに合わせて返事をした。
「近くに武器売ってる所はある?」
先に着替えを終えたリュウが質問する。
「武器屋でしたら、3軒隣に色々揃った店がありますよ」
ペコがオススメを紹介してくれた。
「ありがとう!」
「また服を買う時はここに寄らせてもらうね」
着替えを終えたナオはペコに声を掛け、リュウと店を出て。すぐに近くの武器屋へ入った。
「おぉーこっちも凄いな」
武器屋に入るなりリュウのテンションも上がる。
「ホントだ!俺が使えそうな魔法の杖みたいなのもたくさんあるな」
ナオも同じく、色々な商品にテンションが上がった。
「いらっしゃい」
穏やかなそうの初老の店主が対応をしてくれた。
「どうぞゆっくりお選び下さい」
「ありがとうございます」
「まずはリュウの武器を一緒にみてみようぜ」
ナオはちゃんと実用性のある武器をリュウに持たせたいと思い、一緒に選ぶ事にした。
カッコいい刻印や光る物をリュウが選びがちなのでそれを阻止する為だ。
「……こっ、この剣が……オレを……呼んでいる」
右手を顔にあて苦しそうなフリをしている。
黒い刀身に根元から剣先までルーン文字の様な刻印がされていて、文字が怪しく光っている。
その男心をくすぐる見た目にリュウはすっかり気に入っており、指の隙間からチラチラとナオの様子を伺っていた。
何かに気が付いたナオは言った。
「これ……安すぎない?」
見た目に反して、2500エルはどう考えても安い。
ナオは店主に声を掛けた。
「これってなんでこんなにも安いんですか?」
店主が近くに来て教えてくれた。
「これは最近流行ってる、子供向けのおもちゃですからね」
「良ければお子さんにおひとついかがでしょうか?」
――スッと変な演技をリュウはやめた。
「…………ふーん」
それを見たナオはニヤニヤしながら
「リュウさん、そんなに呼んでるならこれにしようか?さすが見る目が違うね!」
リュウは悔しそうにしていた。
「ちっ、いらねーよ」
「代わりにこっちの細身の剣にしようかな」
おもちゃは諦めて、しっかりとした作りの剣に切り替えた様だ。
「それなら良いかもね、俺はこれにするよ!安いし凄く固硬くて丈夫」
ナオは細いアルミの様な素材で軽く、先に魔法石がワンポイントで付いている杖にした。
「2つで20000エルになります」
「どうもありがとうございました。」
店主とのやり取りを済ませて2人は店を出で、そのまま宿屋へ向かった。
ナオは残金を確認しながらリュウと相談した。
「残り20000で宿屋を考えると残りは8000だから、ご飯どうしよっか?」
それを聞いたリュウは
「明日から新しい服に武器で頑張るから、うまい飯とうまいが酒飲みたいな」
「まぁ2日間頑張ったし、やっちゃいますかー!」
ナオもノリノリでそれに応えた。
しかし他のお店が分からない為、昨日行ったお店に再度訪問しリュウはお酒を、ナオは食事を手持ちギリギリまで楽しんだ。
2人のお腹は大満足!
それなりの疲労もたまっている2人は宿屋へそのまま向かい、扉を開けた。
宿に入るとサチが迎えてくれた。
「お疲れ様!今日も来てくれたね」
「服も買って、宿泊できる位は稼げたみたいで良かった」
今日も来てくれた事を素直に喜んでくれた。
「なんとかだけど、どうにかなったよ!」
「いつまでもあの服装でいたくなかったし」
2日目にして着替えが出来たのは大きな変化だったのと、作業服は捨てないで帰る時にまた着る予定らしい。
「あとはさ……明日にでもお風呂入れたら嬉しいな」
リュウはお風呂に入りたいと心の底から願っている。
「公衆浴場なら近くにあるから、明日も稼いで行って来たら良いよ」
汗だく2日目の男2人をサチは嫌がる事も無く浴場の場所を教えてくれた。
「マジか、明日も稼いでお風呂入ってから来るね」
「んじゃ、おやすみ!また明日」
リュウは明日もやる気満々で昨晩と同じ部屋へ向かって行った。
「俺も今日はさすがに体力使い果たしたから寝るよ」
「いつも快く迎えてくれてありがとう」
昼は壮絶な戦いを繰り広げたのもあり、ナオも疲労はピークに達している。
「はーい、お疲れさまでした」
「今度余裕がある時はどんな1日だったか、お話聞かせてね」
サチは2人がどんな生活をしているのか聞くのが楽しみな様子だった。
「うん、わかった」
「おやすみ」
ナオはサチと軽く挨拶をかわして部屋へ向かった。
翌朝2人はほとんど同時に起きてきた。
今日もギルドの依頼を受ける事になっていたので支度を整え集合した。
「いってらっしゃい」
サチの威勢の良さに2人はしっかりと目が覚めた。
「いってきます!」
2人合わせて気合の入った笑顔でサチに挨拶をし、宿を出る。
宿を出た2人は再度ギルドへと向かった。
――リュウはギルドの扉を勢い良く開ける――
「ミィ、おはよう」
ほかにもギルド職員がいるがリュウはもはや気にも留めずにミィのもとへ向かう。
「リュウさん、ナオさんおはようございます」
「今日も依頼ですか?」
ミィは相変わらずの明るさで2人を迎える。
それを見たリュウはキリッと雰囲気を変えた。
「今日は昨日よりハードなの頼むよ」
BARで強目のお酒を頼む位の流れで依頼を頼んでいる……
「それでしたらコチラのゴブリン討伐はいかがでしょうか?」
前回よりも難易度が高く感じる依頼を提示された。
「んじゃ、これ受けるね」
その提示にリュウはあっさり引き受けた。
「んっ?……おいおい、大丈夫かよ」
内容も大して確認しないで引き受けてしまっている事にナオは驚き、不安を感じていた。
「大丈夫だって」
「これだけの装備も整えてるし、むしろ余裕だな」
リュウの自信はどこから湧いてくるのかは謎な部分がある。
「そこまで言うなら、この依頼引き受けるよ」
「んで、内容は?」
リュウの勢いに完全にナオはのまれた。
「ありがとうございます!」
「今回は山の麓に出来たゴブリンの小さな村の排除となります」
「何も被害が無ければこちらから行動する事も無いんですが、通る人々や近隣の村や町を襲う被害が多数報告されてます」
ミィから依頼内容を教えてもらった2人は顔を合わせて少し微妙な顔をした。
「大丈夫かな」
ナオはまだ少し不安。
「任せろ!」
リュウはとても余裕だ。
ミィは不思議そうに2人を見つめながら
「それでは……いってらっしゃい」
あっさり送り出してくれた。
「おう」
「いってきます」
2人は勇ましくギルドを出た。
大まかな地図を見ながら指定された山の麓に向かうとそこにはゴブリンの群れがおり、村として構築された場所があった。
2人は木陰に隠れて様子を見た。
「凄いたくさんいるけど」
不安的中と言わんばかりの数にナオはリュウを見る。
「まぁ大丈夫だって」
リュウはまだまだ余裕だ。
その時、背後に2体のゴブリンが迫って来ており今まさにコチラに剣を振り降ろす所だった。
どうなると思いますか?




