本領発揮
戦闘も徐々に増えてくる展開もありますのでご期待下さい!
合流したナオはリュウに聞いた。
「どうだったの?」
聞かれたリュウの肩がピクっとした。
「あー……聞かなくてもわかるよね?」
さらっと外へ向かい歩き始めたリュウをナオは追い掛け、2人で賭場を後にした。
外に出た2人はさすがに空腹で、ナオは
「そこの店で何でも良いから食べよう!」
宿屋の隣にある食堂風のお店に入る。
幸いにも、1品が500エル程なので、注文出来る限りの物を頼んだ。
食べながら、ナオはさっきの店の話しをリュウにした。
「あそこの店……かなり広くて奥まで見てきたけど、狼みたいな動物だか魔物のレースとかまであったよ!」
「それと換金所で景品と交換も出来るみたいで、武器とか魔法の本も置いってあった」
それを聞いたリュウは
「世界規模って言ってたから、他の地域の店にもしかしたら元の世界に帰れる景品とかあるかもね」
とても可能性の高い話しだった。
「少しずつにはなるけど、攻略を進めて行って他の地域も見に行きたいよな」
スープを飲みながらナオは語った。
「とりあえずで今日はどうにか宿屋には泊まれそうだから行こうか!」
ナオの声掛けにリュウはパンを口に押し込み、席を立った。
再び宿屋を訪れると昼間の女性がいた
「遅かったね」
「てっきりギャンブルで有り金使い果たして、うちには来ないのかと思ったよ」
相変わらずのテンションで笑いながら話しかけて来た。
「行くには行ったけど、ここに泊まれる資金は残しておいたよ」
ナオはそう言うと、カウンターに12000エルを置いた。
それを受け取ると
「部屋は2階の空いてる部屋を好きに使って良いからね」
「そうそう、私はサチ」
「2人はなんて言うの?」
色々教えてもらっていたが、自己紹介もまだだったのだ。
「俺はナオ、んでこの連れがリュウだよ」
「これから何度もお世話になると思うから宜しくね!」
ナオが挨拶を済ませる。
「……ふーん、どっから来たかも良く分からないけど宜しくね!」
サチはナオをジッと見ながら話していた。
「今日はも早々に休ませてもらうね」
リュウは足早に部屋へ、向かった。
「それじゃまた明日」
2人に声を掛けて、ナオも色んな疲労から部屋へと向かった。
普段から早起きのナオはこの世界でも起きるのは早かった。
「おはよ!早いね」
サチも起きており、宿屋の仕事を早朝から行っていた。
「あぁ、サチおはよう!」
「ちょっと散歩に出てくる」
ナオはリュウより先に起きて、町を探索するのをじつは楽しみにしていた。
実際探索に出てみると、狭い町では無いものの30分も歩くと一回り出来てしまった。
良くあるゲームの中の町の様でほとんどの物が揃っている。
浴場や道具屋に服屋と教会、ギルドに魔道具のお店まであった。
そんな散歩をしていて、ナオはたくさんの考えが浮かんだ……
「今日もギルドの依頼を受けて、服買おう……」
まだ町へ来て2日目という事もあるが、未だにこの作業服が珍しい様で目線が気になる。
そんな事を考えながら宿屋へ戻り、既に支度を終えているリュウと合流した。
「サチ、また宿泊代があれば泊まりにくるから」
「来ない日はお金が無いか、どっかでフラフラしてると思ってて」
笑いながらナオはサチへお礼を兼ねて挨拶を済ませる。
「また、来てね!2人の話し聞くの楽しみにしてるから」
サチも気持ち良く送り出してくれた。
宿屋を後にした2人はギルドへ向かいながら、今後賭場の事はカジノと呼ぶ事と、まずは服を買いつつ余裕があれば武器も揃えて行こうと決めた。
ギルドへ到着すると、2人は壁の依頼書を眺める。
そこへミィが来て声を掛けて来た。
「おはようございます!今日はどんな依頼を受けてくれますか?」
「ちなみにオススメは角ウサギの討伐で、最近町の周辺にやたらと生息が確認されていて……ちょーっと困ってます」
それを聞いたリュウが前に出た。
「困ってるなら俺らが行くから安心して」
どんな相手かもわからないのに決めてしまった。
それを聞いたミィは喜んでおり、それを見たリュウは満面の笑みだった。
角ウサギに関してミィが詳細を伝える。
「ウサギなだけあってスピードが早く、角をこちらに向けて突進してくるので気を付けて下さい」
「角はそこまで硬くなくて、急所となっているので角を掴んで折ると倒せます」
特徴と倒し方まで丁寧に教えてくれた。
「ところで角ウサギを倒した証明はどうしたら良いかな?角も本体も持ってきたら良いかな?あんまり数が多かったら俺達じゃ運ぶのも無理そうだって思ってさ」
ナオは現実的な部分が気になった。
「その通りで、角ウサギの角も本体も素材や食材として人気なので合わせて買い取りもしますので、是非お持ち下さい」
「今回は群れの討伐なので、特別にマジックバッグを貸し出しますね!」
「これは魔力が必要なので魔道士のナオさんが使って下さい」
ギルドからはそこまで難しい依頼ではない事を教えられつつも、2人は報酬に期待を込めて依頼を引き受けた!
「それじゃ、早速行ってくるよ」
リュウはミィにそう伝え、2人はギルドを後にした。
2人は道中、報酬でどんな服を買うか、武器はこんなのが良いとか相談しながら向かった。
町を出て間も無い内に角ウサギを見つける。
「早速でたな」
リュウが見つけた後にナオも気が付いた。
「群れの所まで後をつけていくか」
ナオの作戦で2人は角ウサギの後を追う。
一定の距離で追い掛けると、少し開けた場所に目つきの悪い角ウサギが群れをなしている。
その数およそ20はいるだろうか……
「どうする?」
リュウは戦略をナオに相談する。
「んー……少しバラけてくれると助かるけど」
「ちょっと群れの奥に石投げてみようか」
ナオは群れの奥にある木に向けて石を投げると運よく木に当たる。
それに気が付いた半分以上がそちらへ向かった。
「……行くか」
緊張感を保ちつつ、ナオがリュウに声を掛けた。
「よし!」
素早いリュウが飛び出し、1体の角ウサギの角を掴みへし折った!
「ナオ、意外とイケるぞ」
リュウの声を聞いたナオも飛び出し奇襲を掛け、2体の角を掴み勢いまかせに振り回し角を折った!
「マジだ!これならイケるな」
安心したナオだったが離れていた群れがこちらへ戻って来ており、残りも全てこちらを向いて威嚇している。
「おおっと……ナオ、これはちょっとヤバくないかい」
「全部まとめてこっちきそうだよ」
角ウサギは残った群れで総攻撃を今にも仕掛けて来そうな雰囲気を出している。
「かわしながら角掴んで数減らして行けそう?」
ナオがリュウへ言おうとした途端、2人めがけて襲いかかってきた。
「ヤバイ!」
2人は声は自然と揃い、身構えた。
直線的の動きもあって、どうにかかわすがさすがに限界があるだろう数が襲ってくる。
リュウへ数体が同時に向かった!
間一髪で避けるが、後ろに倒れてしまう。
さらに角ウサギが集団でリュウに角を向けて突進してきたのだった。
「……くっそ」
これだけの数の角が刺さるとなるとただ事では済まないのは分かりきっているが、すぐには動ける状況ではなかった。
リュウは覚悟を決めた……
その時ナオも同じく数体を相手にギリギリの戦いをしている、ゴリ押しタイプのナオはリュウよりもダメージと傷が多い。
ナオにも角ウサギが群れで向かってくる!
どうにか角は避けられたが数体の体当たりで後ろへ飛ばされ、ダメージを受け限界に近い。
リュウを見ると危機一髪で今にもたくさんの角で刺されてしまいそうな瞬間だった。
「うおぁぁぁぁぁ!」
ナオはリュウの方へありったけの力を振り絞り向かったが、どうにも間に合わない……
――その時――
ナオの体が白く光る。
手を伸ばした腕からその白い光がリュウまで届き、体を覆った。
リュウの体を光が包み込む。
その瞬間、ギリギリの所でリュウは角ウサギの攻撃をかわした!
まるでダメージなど無いと思わせる様な身のこなしを見せる。
「おい、これって魔法だよな?」
「すげー体が軽いし力が湧いてくる」
「魔法発動しちゃってるじゃん」
リュウにステータスアップのバフが掛かった様で、さっきまでとは別人の動きを見せる。
それを見たナオは思った事を口にした。
「体が軽くなるとなんでボクサーみたいな動きしようとするの?」
「とにかく俺も体が軽くて、凄い力だ……」
ステータスアップした2人は途端に会話する程の余裕が生まれた。
リュウは近くにあった棒を拾い、剣の様に使い攻撃をする。
「っしゃあ!」
素早く振られた棒は角を簡単に折った。
そのまま軽快なステップで間合いを詰めて何体も倒して行く。
そしてナオは魔道士の欠片もない戦いをしていた。
ステータスが上がり、角ウサギの動きも見切れているのか、突進してくるウサギを拳で叩き落とす。
その衝撃で角も砕けてしまっている……
2人は最後の1体を乾杯するかの如く、ぶつけ合い全滅させる事が出来たのだ。
戦闘が終わり落ち着いたリュウ。
「いやー……色々とヤバかったしギリギリだったし、俺は強かった!」
「実際凄い良い動きしてたし、マジの戦士だったね」
「俺は何となくだけど、今の魔法の感覚が掴めた感じするけど今日はもう出来る気がしないや」
「倒したのと、素材このバッグに入れちゃって帰ろっか」
ナオは魔法の感覚を掴めた様だったが、まだ魔力不足のせいか連続使用は出来ないみたいだ。
2人は必要な物を忘れずに拾い、帰路へ向かう。
戦闘が終わってからリュウは何か考えている様子だった。
「どうかした?なんか思いついちゃった?」
ナオは安堵から笑いながら話し掛ける。
「さっき戦ってなんだけど……剣も欲しいな」
リュウは戦士なので、もちろん武器は必須であった。
「今回の報酬で買えそうなら買いたい!」
もうそのつもりで言っている。
「いいよー」
「早目に武器は必要だろうなって思ってたし、戦士だから」
カッコいいだけで高い剣を選ばなければ良いなとナオは思いながらも、ギルドへ向かった。
「お疲れ様でした!」
ギルドへ到着するとミィが声を掛けてくれた。
「今回は俺達にはちょっと大変だったよ」
さすがのボロボロ具合いにリュウはカッコもつかないと思い、素直に話した。
「それじゃこのバッグごと渡すから査定お願いね」
ナオはマジックバッグをそのまま返した。
「ではお預かりします」
「査定はすぐに済みますのでお待ち下さいね」
リュウは気になっていた事を聞いた。
「この査定って誰かが鑑定みたいな感じで見てるの?この前もだけどあっと言う間に終わってたよね」
ミィは少し得意気な顔をして答えた。
「それはですね、あそこにある青く光る穴に査定したい物を入れるとギルドのシステムで査定をしてくれるんです」
「さて、査定も済みましたよ」
「今回の報酬は80000エルになります」
「うんうん、これなら色々買い揃えられそう」
報酬にナオは満足した。
「ありがとう!それじゃまた明日くるよ」
ナオは足早にギルドを後にしようとする。
「ちょっと早いって……」
「もう少しミィと話しさせてくれ」
リュウはもっとミィと話したい。
「店も閉まっちゃうかもしれないから、そんなにゆっくり出来ないからな」
ナオはロビーの椅子に座ってのんびりとリュウを、待った。
程なくしてリュウが戻ると、ナオは何も言わずに2人でギルドを出た。
「まずは、この目立つ作業服とおさらばしようか」
「服屋は朝散歩した時に見つけてある」
ナオは昔からこういうところはぬかりがない。
「俺は戦士と言うか、勇者みたいな服にするから」
「それか全身黒のスーツみたいな服が良いな」
なんだか独特なこだわりがあるリュウ。
「この世界の服装って何となくイメージ通りだよな、宿屋のサチもギルドのミィもそれっぽい服着てるし」
この世界の人達の服装はナオのイメージ通りだった様で少し嬉しそう。
「おっ!あそこだ」
あっと言う間に服屋へ到着する。
店内に入ると数人の客がいる程度で混雑はしていなかった。
「いらっしゃいませ」
っと聞こえはしたが見当たらない……
「こっちこっち〜」
声がする下を見ると、とても小さな犬の獣人の店員がいた。
元の世界で言うとチワワだろうと、2人は声に出さずとも感じている雰囲気だった。
それに気が付いたナオは
「ごめん」
「大丈夫です、良くありますので……」
「僕はこの店の店主でペコと言います」
ちょっとふてくされた様子もあったがすぐに自己紹介してくれた。
「俺はリュウ、こっちはナオ」
「宜しく!」
「なんかとにかくカッコいい服が欲しいんだけど色々見て良いかな?」
リュウは早くカッコいい服を見たい。
「もちろんです」
「それなりには商品も取り揃えてますので、きっと気に入る物が見つかります」
「付与が付いた物もありますので、気になる物があれば聞いて下さい」
ペコは丁寧に説明してくれた。
そして2人が店内を眺めると、想像以上の商品の多さに期待が膨らんだ。
まだまだ始まりです!
楽しみにしてもらえたら嬉しいです!




