五話目
これにてやっとプロローグが終わりまです
最初のプロローグはなんだ。そう言いたそうにしてますね
あれは前菜です。物語の最初です。
今回のは序章という意味合いです。
「……お母さん」
私はお母さんに話しかける。
自分から誰かに話しかけれるのは、お母さんとお父さん。
そして──幼馴染の月兎くんの三人だけ。
「どうしたの?」
「……明日、夏祭りに行くの。それで、えっと……」
「ああ、なるほど。浴衣を着て、月兎くんを驚かせたいのね」
私の母親をしているだけはあり、言いたいことを理解してくれた。
夏祭りのことを、月兎くんに話したら、すぐに返事をもらえたのが嬉しくて。
「……うん」
「それじゃあ、とびっきり可愛い浴衣を探しましょうか」
「……うんっ」
私の名前は文香。
弱気で自分に自信がなく、どこにでもいるような女の子。
そして、幼馴染の男の子と夏祭りを楽しみにしている女の子。
☆☆☆☆
一学期が終わり、夏休みに入った僕たち。
ここからは、一ヶ月以上の休みがある僕たち。
予定なんてないけど、とりあえず今は、文香と遊びに行く夏休みがある。
楽しみにしている僕はもちろんいるけれど、僕の中には文香がいる。
文香が楽しくないと、僕は心の底から楽しめない。
「よし、今夜は文香と楽しもう」
というか、文香が自分から言うことも珍しい。
何か心変わりすることあったんだろうか。
前から、自分の性格に悩んでるところあるし、あまり変に思わないでいてほしい。
ありのままの文香が、僕は好きだけど。
「それじゃあ母さん、行ってくるね」
「行ってらっしゃい」
母さんから少しだけお金ももらった。
これで文香と一緒にご飯が食べられる。
家を出て、文香の家で待機。
もうそろそろ来るはず。
「っ!」
玄関が開いた。
そして、出て来たのは一人の女の子。
花柄の浴衣を着た文香だった。
「あれ、それ……」
「……今日のために、お母さんが用意してくれたんだ」
「そうなんだ。よかったね文香」
「…………うん」
そして、僕たちは仲良く手を繋いでお祭り会場までやってくる。
そこには、いろんな人たちがいて。
そこには、様々なお店が並んでいて。
僕と文香は、気分が一気に上がった。
「とりあえず、どうせお祭りに来たんだし、何か食べようよ」
「……うんっ」
近くにあったたこ焼きのお店に行く。
「たこ焼きひとつ!」
「おう。威勢がいいな坊主! ほれ、美味いたこ焼きだ」
代金とたこ焼きを交換する。
そして、文香のところに戻ってきた。
「それじゃあ、食べよっか」
「……その前に、お金……」
「いいよ気にしなくて」
「……でも」
「そりより、早く食べようよ」
器を開けると、たこ焼きの匂いがきた。
「美味しいそうだね」
「……うん」
「文香から先に食べていいよ」
「え、でも……」
どうしてここまで遠慮するのかわからない。
仕方ないので、爪楊枝でたこ焼きを一つ掬い、息をかけて少しだけ冷ます。
それを、文香の口に。
「はい、あーん」
「……あ、あーん」
文香がやっとたこ焼きを食べてくれた。
というか、なんでたこ焼き食べるだけで、こんなに時間がかかるんだろう。
「もう一個」
半分と少しを文香に食べさせ、残りの分を食べる。
文香に食べさせるのに時間がかかったから、たこ焼きも冷めていて普通に食べれた。
「……私、半分以上食べちゃったよ?」
「いいよ気にしなくて。僕がやったんだから」
それに、文香は遠慮してあまり食べないだろうし。
ここはやっぱり、僕がやるべきだ。
「それじゃあ、次は射的しようよ射的。狙うぜお宝」
「……なにそれ」
文香は笑っていたので、良しとする。
ちなみに、結果は全敗。
文香は小さな小物入れを手に入れていた。
「それ、使うことある?」
「……使うかはわからないけど、部屋に置いてもいいかなって」
「それならそれでいいんだけどさ」
ていうかあの射的、絶対おかしいよ。
流行りのゲーム機を狙って当てたのに、全然揺れなかった。
他にも、色々とお店を見ていく。
そこには、わたあめを売っているところがあった。
「文香、わたあめだよわたあめ! 買おう」
「……なんでそんなにテンション上がるのかわからない……」
わたあめを一つ購入し、一口だけ食べてから、文香に渡す。
「ほら。文香、甘いもの好きでしょ」
「……いいの?」
「いいのも何も、文香に食べさせるために買ったから」
「……ありがとう」
僕が言うと、文香はお礼を言って受け取った。
でもあれだね。
なんだかんだ、文香って食べるんだね。
たこ焼きを食べて、射的をした後、焼きそばを食べさせたのに。
今からわたあめも食べるらしい。
……食べさせてるの僕だけどさ。
「…………」
今は、美味しそうに食べてる文香を待つことに。
次は何しようかと周りを見ていたら、電柱にポスターを発見。
読んでみると、
「文香、お祭りをある程度やった後、花火もやるんだって」
「……すごいね。気合が入ってる」
まあそのほうが、参加者である僕たちの方も嬉しい。
わたあめを食べ終えた文香を連れて、祭りを回っていく。
道中、金魚掬いなどをやり、文香も十分に楽しんだと思う。
そして、放送が辺りに響く。
『あと二十分で、花火を開始します』
賑やかだったお祭りが、さらに賑やかとなった。
そんな中、色々なものを売っているお店を発見。
「おや僕、迷子になった?」
「ううん。ただ、おじいちゃんが何売ってるか気になって」
「おお、そうかそうか。好きなだけゆっくりと見ていくがいい」
おじいちゃんの許可ももらい、一つひとつ見ていたら、一つの物を見つけた。
「それ、欲しいのかい?」
「うん、これ買うよ」
「そいかい。ありがとう」
僕はお金を払い、文香のところへ。
「……何か買ったの?」
「なんでもないよ。それより、花火の見える場所にいこっか」
「……うん」
ここら辺はお店や大人がいて、子供である僕たちからしたら、邪魔でしょうがない。
というわけで、文香の手を繋ぎ、花火の見える場所に移動することに。
☆☆☆☆
ここならいいかな。
「ここで見ようか」
「……うん」
場所は近所の公園。
滑り台に登り、花火が来るのを待つ。
ここには、僕と文香しかいない。
二人きりだ。
お互いに何も喋らないでいると、空に大きな音が響いた。
「……綺麗」
「うん、そうだね」
花火、初めて見た。
それと同じくとして、文香の方を向く。
「……どうしたの?」
こちらを横目に見てくる文香。
僕は口を開く。
「僕たちって、幼馴染じゃん」
「……うん、そうだね」
「やっぱり、幼馴染と言えばの定番があると思うんだ」
僕はポケットから、さっきおじいちゃんから買ったものを、文香の右手の薬指にはめ込む。
なんの抵抗もなく、指輪は綺麗に入っていった。
「……え? こ、これって」
「僕たちが大きくなったら、文香をお嫁さんにしたいんだ。なってくれる?」
「…………なる。なるよ。絶対に」
「よかった。僕はこの日の約束を、絶対に忘れない」
「……私も、絶対に忘れない」
「とりあえず、十年後にまた言うよ」
「……ねえ、月兎くん」
「ん? どうかした?」
急に変な顔になった文香。
もしかして、二十年後とかの方がいいんだろうか。
「十年後だと、まだ月兎くんが結婚できる年齢じゃないし、結婚するなら左手だよ?」
「…………え、そうなの!?」
知らなかった。
なんていうか、僕たちらしいと思った。
────
これは、俺たち二人の物語。
誰もがする恋の病にかかった、男女の話。
この夏祭りから、俺たちの人生が始まるのを、この時はまだ知らなかったんだ。
昔話をさせてほしい。
少し、話せば長い昔話を。
一人の男が、幼馴染に恋をする物語だ。
これを聞けば、誰もが共感する話。
今なら確信を持って言える。
君は丨もう一度《再び》、幼馴染に──恋をする
感想で知ったんですけど、自分の妻を『嫁』と言わないですね
びっくりしました。
子供の配偶者に対して使うようです。
つまり今回は『およめさんになってくれる?』ではなく『おつまさんになってくれる?』が正しいだと思います。
ちょっと言いづらい




