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第96話 辞令後の異動 サイラスの部下扱いで忠告されました

 リナは次の日、自分の執務室の整理をすました後、サイラスの大部屋の方の執務室に来ていた。


「団長。おはようございます」

 リナの様子は普通だ。普通に他の隊長とも話している。

「今日の訓練はどこの部隊ですか?」

「今日は、第2部隊と第3部隊だな……って、リナ嬢、昨日辞令式出てなかった?」

 フィルの疑問はもっともだと、サイラスは思う。

 今日もリナは新人騎士として訓練に参加する気だ。


「へ? ああ。出ましたよ」

「正式に司令官になったって聞いたけど……」

「仕事出来ない子が、何、変な肩書き付けてんだって感じですよね」

 ぶっ……くくくっ。

 いや………笑っちゃいかん。いかんけど、この場にいた皆笑ってしまった。

 オルグレン隊長なんかは、紅茶吹いてそこら辺が酷いことになっている。

 リナは、ギャグ言った覚えは無いんですけど……と言って、紅茶拭くの手伝ってるけど。


 昨日今日と、双方に監視付けてたが、連絡を取った形跡はない。

 まぁ、あの条件でセドリックが連絡取るはず無い、とは思ったけどな。

(俺にとって部下は保護対象者……セドリックに頼まれるまでもない。

 そういう事だ)





 リナは訓練場で剣の訓練に参加していた。

 剣は軽量にして特注したものに変えて貰った。

 セドリックが注文を出してたらしい。

 ちなみに、殺傷能力も軽減されてる。

 やっぱり普通のだとリナの身体が振り回されてるようで、周りが怖がる……らしい。

(なんで? 私、そんなに危なそう? 周りで訓練できない?)


「もう、怪我させたくないからなぁ」

 フィルは、そんなこと言ってた。

 訓練しながら、他の騎士とも雑談する。

 なんか、前の事件の作戦はどうだったとか、最近の小競り合いがどうだとか。

 団長が、何か言ってくれたのかな?

 部隊ごとに、色々雑談に混ぜて話してくれるので、色々勉強になってた。

 最近は、持ってきたお菓子とかも食べてくれるようになったしね。


「ところでリナ嬢は、剣の訓練にかまけてて良いのかな?」

 訓練場にきていたサイラスから、リナはそんな風に声をかけられた。

(ん?)

「特に、やること無いですし。皆さんの話は勉強になりますよ?」

「ふ~ん。以前、クリフォードに出来無いところ庇って貰ってたダンス、出来るようになったんだ」

「へ?」


「未来の公爵夫人が出来無いなんて、許されないよ? 社交界で何と言われることやら……」

(マジですか)

「セドリックが恥をかくどころか、公爵家がいい笑いものになる」

「え……と、団長?」

「あいつさぁ。あんた守るためだったら本当、何でもやるよな。俺に頭下げてきたんだぜ。心底イヤだったろうに……敵方の俺に借りまで作って。多分、クリフォードのところにも行ってるぜ」

(セドリックが?)


「半分は俺の所為せいだけど。いい加減自覚持ってくれ。宰相とうちの親父の推薦で司令官になって、セドリックの婚約者だろ? 今のあんたは、王太子派、第二王子派の両方の庇護を受けてるように見えるんだぜ。悪い言い方すれば、子(・)爵(・)令(・)嬢(・)風(・)情(・)のリナ嬢が……だからな。貴族社会だったら、羨望より嫉妬の対象だろうが」

「そう……なんだ」

「あいつに、あそこまでさせてるんだ。自分のすべきこと、分かるよな。夜会で俺らが張り付いてても、ダンスや礼儀作法のフォローは出来無いからな」

 リナの頭をぽんぽんってして、団長は行ってしまった。


 ……世界を超えても、苦手分野を放っておくとロクな事にならないらしい。

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