第95話 辞令後の異動 頼み事は、サイラスの部下のうちに
セドリックは、騎士団の自分の部隊の部屋で異動の為の片付けをした後、サイラスに異動の挨拶に向かった。
「セドリック・クランベリーです。失礼します」
団長の執務室に入ると、椅子に座って机に足を組んだまま乗せて、くつろいでるサイラスがいた。
入ってくるのがリナだったら、絶対見せないような、だらしなさだ。
「よう。近衛騎士副団長殿。栄転おめでとう!」
サイラスは、よっ!って、感じで言ってくる。
「明日からですよ。まだ、貴方の部下です」
サイラスの部下でいる内に話を付けないと、俺はこいつに勝てないとセドリックは痛感してる。
何も無い状態でもキツいのだ、それなのにリナをサイラスの下に残していかないといけない。
サイラスはというと、セドリックのいつにない態度に警戒すべきか考えていた。
部下としてのセドリックは、自分の命令にも従順で優秀だったからなのだが。
目の前のセドリックは、まだ自分はサイラスの部下だと言ってる。
「なんだ? 即座に、部下じゃ無いって言ってくると思ったのに」
「ホールデン騎士団長。リナ・ポートフェンをあなたの部下として保護して下さい。お願いします」
セドリックは、おもいっきり頭を下げた。
「ポートフェン司令官は、俺の上司になるのだか?」
は~ん、そういうことか、とサイラスは思う。
俺の部下の内なら……と、立場を逆手に取ったな。
「部下のお前が頭下げたって、何の価値も無いだろ? セドリック・クランベリー第5部隊長殿」
(お前に甘い顔出来るほど、俺も余裕があるわけじゃないんでね)
セドリックは溜息をつく。やっぱりダメだったか……と。
さて、どうしよう。クリフォードの時のように、判断を全面的に委ねるわけにはいかない。こいつも過激派のトップと同等だ。
「さて、挨拶がすんだなら下がって良いぞ。今日までお疲れさん。明日から近衛騎士団でがんばれよ」
セドリックは、サイラスの前で跪いていた。
「団長……いえ、サイラス・ホールデン伯爵。どうすれば、願いを聞き届けてもらえますか?」
跪いた状態で、サイラスを見上げている。
サイラスは、少し考えて。
「リナ・ポートフェンはもう自宅か?」
「はい。自宅屋敷に送り届けてから、こちらに来ました」
「じゃ、お前の指示で無く、リナが俺の部下として明日やってきたら、部下として保護する。連絡取った形跡があれば、この話は無しだ」
セドリックが驚いた顔をしているが、サイラスはリナで無くとも部下は保護してる。
だからこそ、セドリックもサイラスの部下の内に話を付けにきたのだろう。
「そういうことで、下がって良いぞ」
「ありがとうございます、団長。お世話になりました」
セドリックは、サイラスの部下としての挨拶をして下がって行った。




