第46話 セドリックとリナのケンカ
リナがアランと一緒に早々に夜会から引き上げてきたら、何と学園の入り口でセドリックが待っていた。
アランは意に介さず、馬車からリナをエスコートして降ろしている。
「アラン~。誰がリナちゃんを、ホールデンの夜会に連れて行けって、言ったかなぁ~」
(セドリック、マジで怒ってる)
「とりあえず、寮の僕の部屋でに行こうか。リナもそれで良い? 僕の部屋だったら、特例で入れるからね」
「はい。アラン様」
三人でアランの部屋に行く。
「ご……ごめんなさい。私が連れて行ってって言ったから」
言い訳しようとする、リナをアランは手で制した。
「リナのせいじゃないよ。ちょっと自分の目で確認したかった事があって、丁度良かったんだから……」
「確認したかった事って?」
「クラレンス・ポートフェンとの確執だよ。僕たちが生まれる前、前世代時代のホールデンって王太子派だったよね」
「ああ」
そういえばそうだったなってセドリックが呟く。
「まだ、尾を引いてるのかなって」
「で?」
アランは、リナの方をチラッと見て。
「尾を引いてるどころか……まだ」
「分かった。皆まで言うな」
リナに聞かせたくないのか、セドリックはアランを止めた。
(まだ、恨まれている)
今日のホールデン侯爵家の夜会で、自分の目でそれを確認して来いって意味だったのかな。
現国王の就任時のゴタゴタの真相は王宮の人間でも数人しか知らないはず。
でも、分かっていて処刑台に上がった一族がいたって事は、全く漏れなかったわけでは無いってことなんだろうけど。
どっちにしろ、ホールデンが当時宰相にでもなってない限り、真相は知らないはず。
中途半端に噂でも流れた?
リナが考え込んでいる間中、セドリックはリナを観察してた。
「……で、リナちゃんは何か知ってるよね。俺らが知らないこと」
「知りませんよ」
セドリックの前でうっかり考え込んでしまったリナは慌てて否定する。
「リナちゃん」
セドリックが、強い口調で言う。少し怖い雰囲気を出している。
(でも、言えない。リーン・ポートの話になるから)
「セドリック様だって、私に自分が知ってること言わないじゃない」
ついリナは、セドリックにタメ口をきいてしまった。
情報が足りないからリナが動いてしまうことを、セドリックは理解していなかった。
そもそも、セドリックはリナが動く事を想定していない。
リナが受けてきた国王陛下の命令も、自分が引き受けるつもりでいたから。
「俺がリナちゃんに言わないのと、リナちゃんが俺に言わないのは違うだろう?」
違わない……と、リナは思う。情報を渡してくれないと私も動けない……と。
「私も、仕事として引き受けてる以上、守秘義務があるのですが」
前世の仕事モードで言ったら、セドリックがひるんだ。
「もし、全てを話さないと守れないというのでしたら、守ってもらわなくても結構です」
リナは、二人に礼を執り、部屋を後にした。
「セドリック。リナが受けてる仕事って何?」
アランが珍しく真剣な顔で聞いてきた。
「言えません」
だから、セドリックも臣下として受け答えをする。
「命令でも?」
「申し訳ございません。命令違反で罰せられても言えません」
セドリックはアランに対して礼を執ってる。
アランは、埒が明かないと思い、リナを追うべく部屋を出て行った。




