第47話 王子たちの現状把握
アランは、セドリックを一人部屋に残し、廊下でリナに声を掛ける。
「リナ」
「アラン様。先程は、見苦しいところをお見せしてしまって、すみませんでした」
リナはぺこんと頭を下げている。
「ああ。それは良いんだ。女子寮まで送るよ。女の子一人だと危ないしね」
「ありがとうございます」
ああ、そういえば忘れてたって感じでリナが言う。
「今日は夜会に付き合って頂いて、ありがとうございました」
今度はちゃんと、令嬢の礼を執ってお礼を言った。
「ああ。でも、ホールデン侯爵家には近付かない方がいいよ」
「はい。アラン様に断られたら諦めるつもりでした」
「そうなの?」
(それは、意外)
「ホールデン侯爵様より身分が上で、ご一緒して貰っても危なくない方は、アラン様しか思いつきませんでしたので」
「ああ。なるほどね」
(何も考えてないわけでは無いか。そうだな、でないとリネハン伯の家から無傷でエイリーンを救い出すことも出来無い)
「ねぇ。リナの受けてる仕事って国王の依頼だよね。なに?」
アランは、先程のセドリックの態度から、あたりを付けて言う。
「アラン様?」
「命令したくないんだ」
お願いしているうちに言ってとアランは言う。
アランが手を繋いでくる。
(私って、手を繋がないと危なっかしく見えるのかなぁ。うん。私もこんな事で、アランに命令させたくないよ)
「国王様からの依頼は、『学園在籍中の王太子と第二王子の安全確保』という簡単なお仕事ですわ」
だから、リナはニッコリ笑ってアランに答えた。
繋がれているアランの手に、力が入った気がする。
(アランにも、意味わかっちゃったかな。気にしないで欲しいけど)
アランには、セドリックがあんなに怒っていた意味が分かってしまった。
少しでも隠し事されたら、リナを守り切れない。
この子は、僕たちのせいで危ないと解っていたホールデン侯爵家の夜会にも行ったんだ。
僕のせいで、無駄足にさせたのかも知れない。
「……そう。女の子に守られるなんて、恥ずかしいな」
そうして手を繋いで歩いてうるちに、女子寮に着いた。
「アラン様。ありがとうございました」
「うん。今日はゆっくりお休み」
リナが女子寮に入っていくのを見送ってから、踵を返し、男子寮のジークの部屋を目指した。
ノックもせず、ジークフリートの部屋を開ける。
「なにごと? アラン」
ジークフリートは机に向かって、何か書き物をしているようだった。
「人払いして貰える?」
アランのただ事ならない様子に、使用人に目配せして人払いをさせる。
ほどなくして、人の気配が完全に消えた。
「それで?」
ジークフリートはアランに先を促す。
「ジークは知ってた? リナが国王から『学園在籍中の王太子と第二王子の安全確保』と言う依頼を受けてるって」
ジークフリートは持っていたペンを取り落とす。
「な……んで? ちょっと待って、なんで……そんな」
「今日もホールデン侯爵家の夜会に、僕とだけど行ってた。危険を承知の上で」
「なんで連れて行ったんだよ。そんなところに……」
「僕と行くのが一番安全だって、リナが。僕の派閥だし……。でも、知らなかったから。すぐに帰ってきてしまったんだ。知ってたら僕が探ったのに、リナの知りたいこと」
「……それで、逃げないって言ったんだ。お家騒動に関わるって」
(冗談じゃ無い、なんで、リナが僕たちの犠牲にならないといけないんだ)




