第44話 ここにきて、アラン王子殿下?
久しぶりに教室に来た気がする。
社交シーズンもそろそろ終わるので、少しずつ授業も始まりつつあり、宿題になっていた課題やレポートもほとんど仕上がっている。
リナは、人も疎らな教室内で考え事をしていた。
社交シーズンが終わるって事は、王宮での仕事がある人以外は領地に帰るってこと。
リナの父やルイスも、領地に帰っていくだろう。
それもあって、女性たちは実家にいるのかしら、家族に会えなくなるから。
(本当にボーッとしてる。こんな事考えるつもりじゃ無かったのに)
不意にリナの首に、ネックレスとして収まっているリーン・ポートが熱くなる。
「リナ。人がまばらな教室でぼーっとしてると危ないよ」
「アラン様?」
リナは、ビックリしていた。いきなり声をかけられたのもそうだけど、それが、アランだったから。
アランは前の席の椅子に横向きに座って、こちらを向く。
リナは、思わずジークフリートの方を確認したけど、知らん顔されただけだった。
「困ったなぁ~って思ってる? せっかくセドリックとも会わず、王太子派の夜会に出てたのにって」
アランはクスクス笑いながら言う。
相変わらず、何を考えているのかわからない。
「別に、困りませんよ」
ゲームと比べるのはもう止めてたはずなのだけど……。
親しくなっていない頃から、距離感が近い。
何度勘違いして、親密度を見たことか……。
親密度0%の時からこの距離感だもんなぁ。
いや……ゲームは置いといて。
「本当に?」
アランの派閥はともかく。本人は王太子派なんだよね。
しかも、ジークフリートと裏でつながってる……って事は、ねぇ。
「ああ……婚活の支障にはなるかもです」
「え~。必要ないじゃん。セドリックのところに来りゃ良いのに」
(いや、その発言本人の許可すら取ってないでしょ)
「アラン様、ダメですよ。他人の人生勝手に決めるような発言。後でセドリック様に叱ってもらいます」
「え? うそ」
「……で、何かご用ですか?」
リナは、早く本題に入って欲しかった。まだ、心に余裕がある状態ではない。
「うん。バランス取ろうと思って。ここにいるだけの用事だよ」
嘘だけど……とアランは心の中で付け加えた。
「アラン様。ものは相談なのですが……」
内緒話なので、リナはアランに顔を近づけて小声で話す。
ジークフリートに聞かれたくない。
「なになに」
アランも面白そうに乗ってきてくれた。
リナは、ある夜会の招待状をもらっていた。子爵家には滅多に来ないところから。
(アランに断られたら、諦めよう)




