第31話 リネハン伯爵家の夜会 屋敷からの脱出
廊下を走っていると、まずいことに騒ぎを聞きつけたのか兵士がやってきていた。
行けるところまで行こうと廊下を走る。何とか1階に降りなきゃ合流できない。
バラバラと兵士が集まってきて、リナたちは足を止めざるをえなかった。
止まった弾みでランプも落としてしまった。中の油に引火したけど、所詮は石造りの建物。
廊下では燃える物も無いので、油が尽きたら火は消えるだろう。
時間との勝負。
(まだだ、もう少し)
エイリーンには、先程と同じ指示を出している。
リナはもう一つの袋から、こっそりある物を取り出していた。
そうして、足を止めているうちに、完全に兵士たちに取り囲まれる。
リナは、取り出した塊を火の中に投げ入れて、エイリーンの布の中に入れてもらってきつく目を閉じた。
瞬間、閃光を放つ。
マグネシウム。火の中に入れると、直視不可な閃光を放つ。
ただ、有効範囲が狭いので、なるべく兵士を集める必要があったのだ。
すぐ前にいた兵士に体当たりするように押しのけ走る。その拍子に服に括り付けていたハバネロ+αの袋が外れ中身が舞う。
(やばっ)
慌ててエイリーンの手を引っ張って私の前に出した。
案の定、粉じん爆発は起きた。
小規模なので殺傷能力は無かったと信じたいけど、元々の埃に加えての……である。少し飛ばされた。
頑張って庇ったので、エイリーンは無傷だ。リナは少し擦り傷を負った。
小規模でも爆発に巻きこまれて、擦り傷程度で済んでるので御の字だと思う。お陰で階段のところまで来れた。
階段を覗き込むと、下に人影が見える。
「アル兄様」
アルフレッドがパッと振り返る。手には剣を持っていた。
「リナ。探したぞ」
リナたちは、下に降りていった。
(もう安心)
アルフレッドはリナに手を伸ばそうとして、エイリーンに気づく。
「そちらは……」
「アル兄様、彼女をお願いします」
それだけで察してくれる。エイリーンに礼を執り。
「こちらへ」と促す。エイリーンも素直に従った。
アルフレッドがすれ違いざまに、リナに言う。
「近衛騎士団が来ている」
後はエイリーンを誘導して行ってしまった。




