第3話 学園初日
学園生活、初日。
朝、私はこの学園の制服であるシンプルだけどワンピースとドレスの中間のようなモスグリーンの服を着せて貰っていた。ちなみに男性の制服は、同じ色のブレザーである。
貴族令嬢の服は制服とはいえ一人で着られる仕様には、なっていないらしい。
メイド服は、一人で着られそうだけど。
マリアは庶民の出なので、食事等を運んだり、主人の雑用以外で、この部屋を出ることは出来ない。この部屋と、続きの間の侍女や使用人用の部屋が生活圏内だ。
万が一、準王族扱いの公爵家や王族の方々の前に出てしまったら、不敬罪に問われてしまう。
侍女や使用人には、学園のルールは適用されない。身分差はきっちりある。
リナは一人で教室に向かった。
(なんだか、懐かしい。高校の時までの教室のよう。作りは豪華だけど)
教室内に入ると、まだ人がまばらに居るという感じだった。
前の方の席に、ジークフリートと第二王子のアランがいる。少し離れて乙女ゲームの悪役令嬢エイリーン・マクレガー。
あとは、夜会で会ったかも知れない。もしくはゲームしてたときの記憶だか分からない人たち。
リナが自分の席に荷物を置いていると、ジークフリートがリナのそばにさりげなくやって来ていた。
「リナ嬢、入学式の夜会ではパートナーになってくれてありがとう。私のために美しく装ってくれて……。ステキな夜会だったね」
キラキラとした惜しみない笑顔。リナの手を取り手の甲に口付けようとする。
その手をスルッと外しリナはにこやかな笑顔をジークフリートに向けた。
当のジークフリートは、外された手を見ていたのだけど。
「本当に、ジークフリート様のエスコートを頂き、夢のような一時を過ごさせて頂きました。生涯の良い思い出になりますわ。ありがとうございました」
スカートを少し持ち上げ、令嬢としての礼を執る。
このクラスは、男性の方が女性より2歳ばかり年上だ。
身分と言うより、年上の男性への敬意だと言えば、言い訳も立つだろう。
ジークフリートの方は、リナに露骨に距離を置かれたことに気付いたようだ。
表面は穏やかだが、一言二言、言葉を交わすと、早々に自分の席に戻って行った。
しつこくして、嫌われでもしたら元も子もない、と思ったのだろう。




