第2話 始まりの朝 決意
(もしかしたら現実世界の私、ゲーム機持ったまま死んでたりする? いや……疲れていた。確かに疲れてはいた。でも、過労死するほどでは……)
「リナ様。お休みとはいえ、部屋着にくらい着替えて下さいませ」
マリアに促されて、着替えさせて貰って、鏡の前に座る。
やっぱり、ゲーム内のアバターが映っている。里奈が好んで使っていたアバター。
15歳というには幼い顔、髪ははちみつ色で長く少しウェーブがかかっている。
背は少し低め、身体つきは華奢ですぐに壊れそうだ。目はクリッとして可愛く。はっきり言って美少女。
マリアは、髪の毛を梳いてくれる。少し髪をすくって、リボンを付けてくれた。
休日のスタイルだ。
「あの……私は、リナ・ポートフェン、子爵家の令嬢だよね」
ゲームの説明書に書いているまんまの事を訊いてみた。
もっとも、リナの部分は自分の本名……イケメンキャラ達に私の名前を呼んで欲しくて、付けた部分。
「そうですけど……。大丈夫ですか?」
何度も何度も、ゲームやっていて基本情報は入っている。大好きなゲームだ。
「大……丈夫じゃ……ないかも」
頭を抱えたくなる。現実はストレスだらけだったけど、イヤだったわけじゃない。それなりに充実してた。
「リナ様?」
「ごめんなさいね。やっぱり大丈夫よ。昨日ははしゃぎすぎて疲れたみたい」
鏡の中のリナ・ポートフェン子爵令嬢は笑っている。
この世界のリナは親兄弟に甘やかされたお嬢様だけど、吉岡里奈は違う。
研究職から営業にまわされたときも、トップを走り続けて可愛げがないと陰口をたたかれたときも、平気な顔をしていた。
もう、泣いて可愛い歳でもなかったから。大丈夫。
(ーって昨日、私何やらかした? 婚約者のいる王太子殿下のパートナーになってなかったか?)
これが現実だとして、ゲーム通りに進めてたらアッという間に人生詰む。
だって、考えてもみて欲しい。
王太子殿下と第二王子。
どっちと結ばれても、数年後、結婚し国王、王妃となって国を平和に保ちました。って……しかも、子爵令嬢が。怖くない?
タイトル通りシンデレラ成功物語なのだから、ゲームとしては面白い。プライドの高い悪役令嬢を蹴落として、自分がのし上がるのだもの。
けれども、現実だったらこれって、王家のお家騒動に巻き込まれてるのではないの?
「…………」
よし、ノーマルエンドを目指そう。
確か、王都よりはるか離れた片田舎の領地に、今在学中の兄アルフレッド・ポートフェンと共に帰れるルートがあったはず。
明日の初めての学園生活の為の準備をしながら、リナは硬く心に決めるのだった。




