第22話 リナの思惑とセドリックの困惑
リナは、連日図書室通いしてるなぁと思いつつ。
語学のレポートをするための本を探していた。
エイリーンは、今日は来てない。自室でレポートをまとめると言っていた。
「リナちゃ~ん? ちょっといいかなぁ~」
いつの間にか、後ろにセドリックが来てる。気配を感じなかった。
後ろを振り向くと、セドリックの迫力の有る笑顔が……。
思わずリナは、本能的に逃げようとしてしまった。
それをずるずると引きずるように、図書室の隅に連れ込む。
「今回の件、俺たちに任せてくれるんじゃなかったけ。なんか、話が違うんだけど。なんでリナちゃんが動いてるの?」
セドリックは笑顔だ。笑顔だけど、目が笑ってない。
話が違うも何も、リナは任せるとは1度も言ってない。協力を仰いだだけだ。
「ナンノコトデショウ」
リナは説得できる気がしなくて、明後日の方向を向いた。
「ふ~ん。そういう態度なんだ」
壁ドン的な体制になっている。
「今、レポートで忙しいんです。セドリック様」
「……なんで、俺たちに丸投げしてくれないかなぁ~」
「レポートを?」
「よし。君のお兄様に、進言してこよう」
パッと身体を離し、寮の方に行こうとする。
(いや、色々言葉使い間違ってるよ)
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
リナは、必死でセドリックの上着の裾を掴んでた。
(絶対、無いこと無いこと……有ること無いことの間違いじゃ無い……言われる。超過保護なんです、うちの家族)
「ふ~ん、で?」
リナの方を向いて、訊いてくる。
「いや……ちょっと……ここでは…………」
「放課後、兄の部屋で」、と言って別れた。どうせ、アルフレッドの耳にも入ってる。
放課後、学園の許可を取って男子寮に入る。
リナが部屋に入ると、アルフレッドとセドリックが待っていた。
「それで、なんでエイリーンに近付いたんだ?」
リナは困っていた。ゲームの話はできない。
悪役令嬢として動かれたら困る……なんて。
現実のエイリーンは、とてもそんなことをするような女性には思えない。
「ジークフリート様と連絡を取るときに、エイリーン様を通した方が変な噂が立たなくて良いと思ったんです」
だからリナは、もう一つの方の理由を言った。
「ジークフリート様は男の方ですし、この間までよく……その、話しかけられていたので」
(口説かれてたとは、言えない。アル兄の前では絶対)
セドリックはともかく、アルフレッドも「ああ」って感じで納得してる。
「なぜか、ジークフリート様の派閥から敵認定されつつあるみたいですし……」
リナは、何も知らないって感じで言ってみた。半分はセドリックの所為なのだけど。
「「えっ?」」
「ジークフリート様から直接忠告されたから、間違いないと思います」
兄がセドリックを睨んでる。
「え? もしかして俺のせい?」
「リナ。ジークフリート様と、どこで話したの?」
アルフレッドはセドリックを無視して訊いてくる。
「寮の……私のお部屋で……ですけど?」
「あのバカ王子、何やってくれてんだ」
セドリックがぼやく。横でアルフレッドが殺気立ってる、怖い。
「忠告しに来たんだと思いますけど……」
「まぁ、そうだろうけどよ。エイリーンにはこれ以上近付かない方がいいぞ」
「……わざわざ、ジークフリート様が無視してるからですか? でも、まわりに聞かせるようにセドリック様の話を振ってきたのは、エイリーン様ですよ。ですから私、アラン様に気に入られてるって返したのですが」
「あ~。なるほど、それで……」
「それで?」
セドリックは、私の方をチラッと見て、何か言いかけて黙った。




