第17話 リナとセドリックとお兄様の部屋
しかし、俺を取り込もうとは、面白いことを考えるよなリナ・ポートフェンも……と、セドリックは思いながら歩いて行く。
ただな、交渉って言うのは交換条件がいるんだぜ。
そっちから近付いてきたんだ、せいぜい利用させて貰うよ。
そう思いながら、セドリックは2年の教室に戻って行った。
それから、セドリックとは付かず離れずの交流をしていた。
本音を明かさないのはお互い様だけど、味方かどうか分からない相手に話も出来ない。だけどさすがに、この状況はまずいとリナは思う。
だいたい、この学校は監視が多すぎる。内緒話も出来ない。
そろそろ何とかしないと、『リナ・ポートフェンは第二王子派に取り込まれた』という風に噂されてしまうだろう。
セドリックの狙いはそれなんだろうけど……。
(しまったなぁ。どこかで、引き際を考えないといけないかも知れない)
リナはそんなことを考えながら、学校の図書室でレポートの資料になる本を探していた。
そうしていたら、アルフレッドがリナの側にやってきた。
「勉強の息抜きに僕の部屋に来るかい。実家から良い茶葉が送ってきたんだ。『シャングリア』のクッキーもあるよ」
アルフレッドはにこにこ笑って、リナに来るよねって言ってる。
(なんで女の子の間で、最近人気上昇中のお店を知ってるんだ、兄よ。ていうか、そんなのに釣られるように見えるのか……釣られるけど)
原則、男子寮は女人禁制だ。逆もそうだが。
ただ、原則……と言うからには、当然例外もある。
兄妹や婚約者だ。それでも、夕食の時間までという制約はあるけど。
「まぁ。お兄様のところに? それは是非伺いたいわ」
不自然にならないように会話し、アルフレッドの後に付いていく。
(……最近、セドリックがつきまとってるし、話聞きたいんだろうな)
初めて男子寮に入ったけれど、造りは女子寮と変わらない。
アルフレッドが寮の自室の扉を開けてくれる。
部屋の中も女子寮と変わらない。あたりまえか。
中にはうちの護衛兼使用人が数人とテーブルの横の椅子にセドリックが無表情に座っている。
兄が使用人たちに何か耳打ちしていた。そのうち、使用人たちは部屋を出て行ってしまった。
それを待っていたかのように、セドリックはリナを見てふにゃとした顔になる。
「リナちゃん。助けてよぉ~。アルフレッドが怖いよう」
(いや、全くそんなこと思ってないでしょ)
「この部屋の周りはうちの使用人たちがいるから、ここで何を話そうと、何をしようと一切漏れない。セドリック。うちの妹にチョッカイをかけるのは、いい加減やめてもらえないか」
(訂正……兄が、怖いです。殺気、ダダ漏れです)
アルフレッドも、セドリックと渡り合えるだけあって、敵になったら充分怖いんだと思った。




