第15話 デビュタントでの噂 アラン王子の部屋にて
なんだか、変な噂が流れてきている。
デビュタントの謁見の間で、国王陛下に所望された令嬢がいる……という、異例中の異例の変な噂。
セドリックは、実家の父親から来た手紙を持って、アランの部屋を訪ねていた。
「あの噂の令嬢。リナ・ポートフェンらしいね。ただ、父親の方も呼び出されているから……夜伽じゃないみたいだけど」
アランがセドリックに噂の真相を聞き出そうとして、話をふっていた。
「リナはかなり抵抗したみたいだな。あの王様から『無礼な態度でも許す』って、言質とったらしいぜ」
セドリックの方も、隠すつもりは無いようで普通に会話してくる。
「すごいな。それで?」
「クラレンス・ポートフェンも来るというというのを聞くまで、謁見の間を動かなかったらしい」
「……いや。それ、本当に15歳の女の子なの?」
アランは、信じられない思いでセドリックの話を聞いていた。
セドリックは、持っていた手紙をアランに渡す。受け取った手紙を、アランはその場で開けて読んだ。
そこには、クランベリー公爵の直筆で、謁見の間でのあらましと、リナ・ポートフェンを我が陣営に引き込むようとの指示が書かれていた。
「これ……セドリックがリナを取り込むって事? 政略結婚の相手として」
「まぁ、そうなるな。別に政略結婚自体は良いけど……多分、他の……例えば、ホールデン侯爵家とかアボット侯爵家からも、出てきそうだよな」
各陣営トップが、リナ・ポートフェンの事を、余所の陣営に取られたらまずいことになると、認識したらしい。
取り込むのに、政略結婚が手っ取り早いとは言え、アルフレッドには使えなかった手だ。こっちの思惑はともかく、惚れてもらわないと話にならない。
アルフレッドは、恋愛感情で判断を誤るような真似はしないだろうから。
「まぁ、そうだよな。ホールデンは、ちゃっかり、僕の妹とも縁談組んだしね」
王族との婚約は解消できないから、クラスメイトのレイモンドは兄のサイラスへの橋渡し役か。
「どちらにしろ、国王に取り込まれた以上、僕とジークは手が出せなくなったから」
少し嬉しそうに言うアランを、セドリックは恨めしそうに見ていた。




