第14話 デビュタント 国王陛下の依頼
王室の現状が語られた後、父は自ら執務室を出て行った。
父がいては、不味い事があるらしい。
宰相は国王の机の横にいる。
「リナ・ポートフェン。こちらへ」
リナは、呼ばれるまま、国王陛下の机の前に行った。
国王陛下の右手をかざされた。その手のひらから、金の粉がファッと舞う。
その粉は、リナの首に纏わり付いたかと思うと、金の鎖に長方形の小さな金の板が付いたネックレスになる。
板の方を手に取ってみると、何やら魔方陣のようなものが付いている。
彫ってあるのでは無い。金の中に浮かび上がっているっていう感じなのだ。
「古代の魔法物でな。それは、持ち主を選ぶのだ」
「何か魔法を使えるようになるとかですか?」
リナは、ちょっと期待を込めて訊いてみた。
「……いや。そういった話は、聞いたこと無いな」
(期待させといて、まさかの魔法無し。困ったときの換金アイテム?)
「売らないように」
国王は、リナをジト目で見る。なんで分かったのだろう? とリナは思う。
「持ち主を選ぶと言ったであろう。それはもう、死ぬまでそなたから離れぬからな。それの保持者は、この私や王族と同等かそれ以上の立場と権利が与えられる。この王宮内の全て、王の執務室ですら入り放題だ。どうだ、嬉しいだろう」
「返品したいです」
(面倒くさい、そんな立場……)
「まぁまぁ、魔法が使えるかもしれないし」
今度は、リナが国王をジト目で見る。
「前例無いって言いませんでした?」
国王は軽く咳払いして。
「もし選ばれなかったら、ここに来させることも無かったのだがな。そなたが謁見の間に入ってきた途端、右手が熱くなったのだ」
それで、リナを人払いの出来る自分の執務室に、来るように促したのだそうだ。
「リナ・ポートフェン」
国王は態度を改めて、リナに問いかける。
リナの方も、雰囲気が変わったのを感じて、背筋を伸ばした。
「そなたに『学園に在籍している間の王太子と第二王子の安全確保』を依頼したい。依頼なので、拒否権は有る」
「依頼……ですか。命令では無く」
「命令は拒否権が無いからな。なあに、簡単なお仕事だよ。誰でも出来る」
リナは、国王が言った事を反芻する。
『学園に在籍してる間』『王子たちの安全確保』
(これは……)
リナは、少し考え込む。
「国王陛下。依頼を受けるにあたって、こちらからも3つ条件を出して良いですか?」
宰相が、リナを睨む。だけど、目の前の国王が手を挙げて宰相を制した。
「かまわんよ」
国王は、リナが依頼の真意に気付いたのだと思い、快く引き受けた。
少し打ち合わせをして、3つの条件を、公文書にしてもらうことができた。
リナは、依頼を命令として受けた。
国王の執務室を出ると、父が待っていてくれた。
その父と帰途につきながら思う。
現実だと思うから距離を取っているけど、元々、攻略キャラもお助けキャラも大好きだ。大好きだから、何度も、もう完全にゲーム内容を覚えてしまうほどやりこんだんだ。
その子達がゲームのキャラでは無く実在していて、大変な目に遭うというのなら助けたいじゃないですか。




