第13話 デビュタント イングラデシア王室の現状
ゲーム的発言は置いておくとして。
「私はなぜ呼ばれたのでしょう? 国王陛下」
居住まいを正し、本題に入ろうとした。
「リナには関係無いことだよ。はやくお暇した方が良い」
父が焦って、リナを急かす。だけど、今までの内容から、父を呼び寄せるエサになったわけでは無いらしいことは分かった。
宰相が言っていた相談とやらがあるのなら、訊いておきたい。
「まずは、王室の現状を説明しておきたい」
国王陛下がおもむろに言う。
そうして、宰相が説明に入った。
この国、イングラデシア王国の王位継承はしっかりと確立されている。
大昔、王位継承時に国を二分する内乱が起きた。それに乗じて他国が攻め入って来て、国内は壊滅状態になる。なんとか敵国の侵略は喰いとめたが、復興は難航し国家としての数十年を無駄にしてしまっていた。
その反省を込めて王位継承の詳細は法律として明文化された。
まず、国王は、正妻である王妃と複数人の側室を持つことが許される。
政治的なトップは王妃様だが、王位継承権、相続に関することは、同列に扱う。
これによって王位継承権は、母親の身分に左右されず、王子が産まれた順番となる。
王太子が王位を継いだと同時に、王位継承権は次世代に移行する。
そして次世代間で、例え政権争いが起きたとしても、国王陛下やその側近は手出しが出来無い。全て次世代によっての解決を余儀なくされる。
現国王による国政に影響が出ないようにするためである。
今の王太子、ジークフリートは側室の子である。第二王子アランは王妃の子だ。
ほんの数ヶ月早く、ジークフリートが産まれたばかりに、王妃の子どもは、王太子になれなかった。
いくら法律で決まっていようとも、これでは王妃の実家の派閥は面白くない。
第二王子派が皆そうではないが、王太子暗殺を画策する一派もいるという。
もう一つは、それの原因となった問題で父が王宮を去るきっかけになったもの。
現国王は、王位継承権でいうと第三位だった。
だから、自分には王位なんてまわってこないと思って、ノンビリしていた。
当時の王太子は優秀で思いやりがあり、第二王子も王太子を慕ってるように見えたからだ。それに、今と違って当時の王太子は王妃の子だった。
文句の付けようのない状態だったのだ。
それでも、不穏分子はいるわけで……。
当時のお家騒動の顛末の詳細は関係無いので割愛するとして。
結果だけ言うと、即位直前の王太子を暗殺しようとした騎士団の攻防で、第二王子が王太子を庇い、二人とも亡くなってしまった。
こういった経緯で、第三王子……現国王にお鉢が回ってきた。
本来なら、王太子時代に婚姻を結んで、王妃となる女性との間に子を生しているはずだったが、元々の王太子と違って生まれながらの婚約者も無く、年が若かったこともあり、婚約者すら決まって無かった。
それで、今の現状である。
まぁ、現王太子の暗殺うんたらはともかく、他は別に秘密でも何でも無い。
そもそも、ここ20年くらいの話だ。王宮勤務者を中心に、当時を知る人は多い。
当時、リナの父親は、と言うと、宮廷魔道士として働いてた。
魔道士と言っても特別の力があるわけでは無い。遙か昔は魔法なんて物もあったようだが……今は、天体の計算をしたり、星回りを読んだりして、政変の時期や政治的なアドバイスをするにとどまっている。
役職名は、魔法時代の名残だそうだ。
先ほどの、騒動の余波で多くの宮廷魔道士が去って行った。
父もそのうちの1人だったらしい。年数が経った今では、王宮側のたっての願いで、そのほとんどが役職に戻っているという。
父が戻らない理由は語られなかった。




