第101話 アボット侯爵からの呼び出し 宰相様への報告
アボット侯爵からの呼び出しの次の日、騎士団の訓練所にいたら、宰相がやってきて執務室に連れて行かれた。
慣れって怖いなぁってリナは思っていた。
紅茶飲みながら、クッキーつまんでソファーで寛いでる。
「って感じで、しばらくは黙認してくれると思います」
「それは、よかった。アボット侯に呼び出されてお小言だけですむなんて本当によかったですよ」
「そうなんですか?」
「暇じゃ無いですからね。宰相時代よりはマシでしょうけど。まぁあの方は、誰にとっても、煙たい方です。でも、ああいった場合は私やホールデン侯を伴って行って下さい。推薦人なのですから……」
「迷惑だと思って……。すみません」
それで、アボット侯爵が宰相の事とか言っていたのかとリナは思うけど。
(やばい。最初から頭の中にありませんでした)
「こういうことを迷惑だと感じるのなら、頼まれたからといって推薦人になったりしませんよ。これは、ホールデン侯も同じだと思いますよ。実際、その日のうちに、お詫びと忠告を兼ねて、アボット侯に会いに行ってますからね」
「忠告?」
「派閥が違いますからね。自分を通して抗議をしてくれと言う忠告だと思いますよ。逆の立場なら私もそうします」
「そう……なんですか」
「自分の派閥の子どもくらい守るでしょう」
そうか、そういう認識なんだとリナは思う。今、誰がどう見ても第二王子派に居るんだったと。
「推薦人。サイラスがねじ込むきっかけを、リナ様が与えたんだったですよね」
(あ……あの件、ちゃんと謝ってないや)
「すみません。セドリック様にも怒られました。取り込まれるつもりなのかって」
ふう~って感じで宰相が聞いてくる。
「油断しちゃいますか? サイラス相手だと」
「はい」
「リナ様に対して、良いお兄さん演じているんでしょうね」
「そう……ですね」
(サイラスの優しさは……演技なのだろうか。だとしたら……少し寂しい)
「あの二人は似てますからね、戦略が。セドリックには手に取るようにわかるんでしょう。サイラスの思惑が」
「戦略ですか」
「相手にあわせて油断させ。誘導して自分が思っている結果を出させる。もしくは状況を利用して結果を出す」
「セドリックとの事でも、思い当たることあるんじゃ無いですか?」
(あ……)
「あります」
考えてみたらそうだ、心当たりがありまくる。リナは困惑した。
「彼の愛情を疑わないでやって下さいね。傍目から見ても、貴女の事大切にしているの分かりますから」
(あ……いや……えっと。それに似たことをサイラスにも言われた)
「サイラスは今は利害の一致で、セドリックからの頼みを聞いているに過ぎません。あまり信用しないで下さいね」
「はぁ」
「納得してないようですね」
「すみません」
「これ以上は、私の仕事では無いので言いませんけどね」




