第98話 マーティンソン公爵夫人シェリル様のお茶会
社交シーズンが始まって、学園は開店休業状態に入った。
今年はリナもエイリーンも休学届けを出して学園をお休みしている。
婚約者がいる女性は、学園卒業と同時に結婚という方も多いので、その準備という名目でお休みはとれるのだ。
リナたちの結婚の予定はまだ立ってないけど……。
婚約披露夜会が終わった後のちは、女性が社交界デビューしてない場合を除き、各家庭から招待されたお茶会の参加が義務となる。
嫁ぎ先の、家格によって招待される家庭は違うけど、挨拶回りを兼ねているので、そこでの評価によって今後の社交界での立ち位置が決まる。
今日は、マーティンソン公爵夫人シェリル様のお茶会。
リナは、シェリル様、たってのお願いで司令官の礼服で参加していた。
しかも以前、近衛をやったときのカツラ被って……。
「だってアランのところに、とても可愛らしい護衛がやってきたって噂されてて、近衛騎士団の方だからというので諦めていたのよ」
「はぁ。そうですか」
(確かに、この姿で男子っていったら、確実に10歳前後にしか認識されないからねぇ)
「それでね。伺ってもよろしいかしら? リナ様」
「何でしょう?」
「その……アランとは」
(ああ、あれ)
「アラン王子殿下の名誉の為に言いますが、何も無かったですよ。普通に考えて下さい。毎日会うクラスメイトに、手は出さないでしょう」
いくらアランが奔放さを演じていても、そういう信用はあるでしょう? と、リナは言外に言う。
「そうねぇ~。あの子、ああ見えて、そういう事しそうにないものねぇ」
(良かった信用があって)
「あの……リナ様? 今度わたくしのお茶会にも、その格好でいらして下さいませんこと」
他のご令嬢からおずおずと、という感じでリナは頼まれた。
「まぁ、ずるい。わたくしのところにも……」
それを皮切りに、シェリルの取り巻きの方々から口々に、リナはお願いされてしまう。
「はぁ。私は楽だから良いですけど……」
リナは今日、令嬢としての礼儀が何一つ出来ていない。
シェリルを筆頭に、参加している夫人令嬢方から年下の男の子として世話をされている状態だった。
リナは、一応このお茶会の主催者。シェリルの顔を見る。
「行って差し上げて。皆様楽しみにしてますのよ」
この場の決定権は、シェリルにある。リナもシェリルの言葉に従った。
「では、喜んで皆様方」
リナは、令嬢としてでは無く。もう身体になじみつつある、騎士としての礼をとった。
キャーと、小さく歓喜の声が上がったのは気のせいだと言うことにしておこ




