表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
10/31

第10話 デビュタント 謁見の間での出来事

 リナは、しずしずと謁見の間の中央まで進み出た。

 作法は、事前に身体にたたき込まれた。

 膝を少し折り、令嬢としての最上級の礼を執る。


 玉座に王様、すぐ横に王妃様が座っている。少し後ろに下がって側室の方々。

 両横の壁には側近だろう貴族たちが立っている。各扉の近くには近衛騎士団の方々、謁見の間の後方に使用人たちが控えている。

 目だけで見渡して、配置を確認するのは、前の世界からの習慣になってしまっている。


 後は、お言葉を待つばかり。

 すると国王陛下の口から

「リナ・ポートフェン。近くに……」

 と言うお言葉が……。

(……今……なんとおっしゃりました?)

 リナは、反応できずその場で固まってしまった。


 王の後ろに並んでいる、側室の方々はざわついている。

 他が無反応なのは、知っていたからなのか。

 もしくは、不敬に当たるからスルーしているのか。

 時々、値踏みするような視線も感じるけど。

 一瞬、リナもスルーして『お言葉、有り難く頂戴いたします』って言って退出して良いかなぁって、思う。

(何のギャグだよ)心の中で突っ込みを入れた。


「リナ・ポートフェン。余の近くに参られよ」

(聞き違いじゃなかったか……どうしよう)

「国王陛下。発言のお許しを願います」

 礼を執ったまま言う。

(お願い不敬って言わないで……今の時点で、アウトって分かってるから)


直答(じきとう)を許す」

「恐れながら申し上げます。わたくしは、子爵令嬢としての礼儀しかわきまえておらず。身も凍る思いで、身動き一つ取れません。どうか、お許し願えないでしょうか」

「学園や家庭での教育か」

 国王陛下は、ゆっくりと不穏なことを言い出す。

(まずい。このままじゃ、学園の教師や家に迷惑がかかる)

「とんでもございません。一重にわたくしの勉強不足に存じます」

「そうか……。それでは、この時限り、無礼、不作法な振る舞いがあっても許す。こちらへ……」

 伯爵家令嬢と間違えている訳では無いらしい。諦めて、そばに寄る。

 もう一度、同じ礼を執った。


「顔を上げよ」

 リナは、ゆっくり顔を上げた。国王陛下に向かって微笑む。

「宰相……これへ」

 国王陛下が指図すると宰相と呼ばれた男性が、リナの横に立った。

「ご相談したいことが、ございます。こちらに一緒に来て頂けますか?」

(嫌です。拒否権下さい)

「わたくしのような、礼儀もままならぬ子どもに……で、ごさいますか?」

 大変無礼だ。下位貴族の令嬢風情が、国王陛下に次ぐ地位の宰相閣下に口答えしている。

 だけど、先程、国王陛下の言質はとれている。

 無礼、不作法な振る舞いがあっても許す……と。

 宰相は、さすがに一瞬も表情を崩さなかった。嫌な顔した貴族もいるのに。


「ずいぶんと、頭の良い方だ」

 と、ため息交じりに宰相が言う。この声の大きさなら、周りには聞こえてないだろう。

(ん? 頭の良いやりとりを交わしたつもりは無いけど……?)

「ポートフェン家当主も呼んでおります。支度が済み次第、こちらに向かうはずです」

(良かった、夜伽命令とかで無くて)

 デビュタントの謁見もまだ後がつかえている。

 これ以上、ごねても仕方無いので、大人しく宰相に連れられて謁見の間を後にした。

(お父様も呼ばれているって、何だろう? 私、また何かやらかしたかしら? やっぱり、付いていった先が王様の寝室とかだったら笑えない。国王がロリ趣味じゃ無いことを祈ろう)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ