第2章: 雪の約束
第2話 – 8ページ目:散歩と友達の言葉
午後4時18分。
雪が静かに地面に積もっていく。
冷たい空気の中で息は白く染まり、一瞬だけ形を残しては消えていった。
ミヤがカフェを出る。
青いマフラーを少しきつく巻き直した。
ユカが、彼女の隣を歩き始めた。両手はポケットに入れ、視線は前を向いたまま。
「まあ…とりあえず歩こっか。」
ミヤは、小さく微笑んだ。
「うん。」
ハナとリナは先を歩いている。
彼女たちの笑い声が、冷たい風に混ざっていた。
シンプルなことについて話している。まるで世界が、今よりもずっと軽いかのように。
ユカとミヤは、ゆっくりとした足取りで歩いていた。
雪の上に、足音が残る。
しばらくの沈黙が続いた。
それからユカは、ミヤをあまり見ずに言った。
「ねえ…アイロってさ。」
間を置いて。
「ただの店員って感じじゃないよね。」
ミヤは、少しだけ眉を上げた。
「どういうこと?」
ユカは、肩をすくめた。
「なんか…落ち着いてるっていうか。」
ミヤは、手袋の上に積もる雪を見つめた。雪は、やがて静かに溶けていった。
「…そうかもね。」
少し間を置いて、彼女はさらに静かに続けた。
「でも今は、それでいいの。」
彼女の視線は、一瞬だけ遠くへ向かった。
「誰かが何者かより…そこにいることの方が大事だから。」
ユカは、しばらく彼女を見つめていた。
それから、そっと微笑んだ。
「…そっか。」
「じゃ、信じる。」
数歩の沈黙。
風が、より冷たくなった。雪は少しいくつか、急ぎ足で降り始めていた。
それからユカは――何かを軽く言うように――言った。
「ね、ミヤ。」
「ん?」
「卒業したらさ。」
短い間。
「夏祭り、あるじゃん。」
ミヤは、少しだけ彼女の方に顔を向けた。
「うん。」
ユカは、微笑んだ。
「あの時…アイロ、誘ってみなよ。」
ミヤは、一瞬、何も言えなかった。
ただ、その視線は雪の上に留まったままだった。
「…私が?」
ユカは、笑った。
「あんた以外に誰がいるの。」
ミヤは、そっと息を吐いた。
白い息が、空気の中に広がる。
「…考えとく。」
「いいえ」でもなければ、「はい」でもない。
ただ、それだけだった。
ユカは、満足そうにうなずいた。
「うん。それでいい。」
前から、ハナの声が聞こえた。
「おーい!置いてくよー!」
リナも手を振っている。
ユカが、ミヤを見た。
「行こ。」
ミヤは、うなずいた。
三人は先へ進んだ。
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雪が、ミヤの青いマフラーの上に静かに積もり、そして溶けていった。
ミヤは空を見上げた。
白かった。
音もなく。
そして、彼女の心の中に――ごく静かに――ただ一つの言葉が浮かんだ。
「夏祭り…」
それから、願ってもいないのに:
「アイロと。」
その笑顔は、とても小さかった。
しかし、確かだった。




