「落ち葉の約束」
第4話 – 2ページ目:学校での噂
翌日 – 学校、休み時間
廊下は、いつもより賑わっていた。
笑い声、ロッカーの開閉音、生徒たちの会話が入り混じっている。
ミヤは、本を抱え、静かに廊下を歩いていた。
窓辺を通りかかったとき、ふと耳にした言葉に足が止まった。
「カフェ…」
無意識に歩調が緩む。
数人の生徒が集まり、興奮したように話し合っていた。
一人の男子が言った。
「知ってる?『ムーンライトカフェ』、なくなるらしいよ。」
女子が驚いて尋ねる。
「えっ、本当に?どうして?」
男子は肩をすくめた。
「詳しくは知らない。でも、建物を壊して建て替えるって。」
もう一人の男子が、声を潜めて言った。
「しかも、『白鷺グループ』が関係してるって噂。」
ミヤは、その場に立ちすくんだ。
「白鷺……?」
聞き慣れない名前だった。しかし、その口調の何かが、彼女の心臓に冷たいものを落とした。
図書館 – 数分後
図書館は、静けさに包まれていた。
秋の日差しが、木製の机の上に柔らかく落ちている。
ミヤはスマホを取り出し、検索した。
「白鷺グループ」
多くの結果が表示される。
大手企業。
投資。
不動産。
高級ホテル。
建設プロジェクト。
しかし――
イロのあの小さなカフェに関する情報は、どこにも見当たらなかった。
ミヤはため息をつき、スマホを机の上に置いた。
唇が、そっと動く。
「何も出てこない……」
しばらく、暗い画面を見つめていた。
それから、静かに呟いた。
「でも……」
「ただの噂とは思えない。」
彼女の視線は、窓の外へと向かう。
黄色く色づいた葉が、一つまた一つと枝を離れ、地面へと落ちていく。
秋は、まだ始まったばかりだった。
しかし彼女は感じていた――
自分が追い求めている真実が、日ごとに遠ざかっていくことを。




