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織田信長という謎の職業が魔法剣士よりチートだったので、王国を作ることにしました  作者: 森田季節
征西へ

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149 キタノショウ城を作る

 小シヴィークの軍は敵方の領主たちを一つずつ確実に排除していき、ヤグムーリ城に籠もるヤグムーリ氏もさほどの時間も置かず降伏させた。

 ナルグスト県の敵の士気はさほど高くない。すでにいくつもの自分たちの側の県が蹂躙されていて、とても自分たちが急に勝てるとは思えないのだろう。


 しかも、前王派の主力の兵も温存のためか、本格的な援軍を送ってくる様子はない。見放されたと考えてもおかしくない。そして、それは事実と言っていい。


 前王パッフスはすでに王都のある本大陸の維持を諦めて、海峡をはさんだ巨島部側の支配を深化させる方針に転換している。巨島部を一つの国家と見立てて、亡命政権を維持するつもりだ。


 それ自体はそんなに悪い選択肢ではない。もし、ハッセの王国軍を数回にわたり、追い返すことができれば、巨島部のほうは独立国という意識が広く共有されることはありうる。かつて、巨島部のほうが別の国だったこともある。


 それに巨島部の二大諸侯、タルムード伯・サミュー伯は自分たちの土地を守ることに血道を上げているはずで、パッフスもそれを無視することは立場上できない。

 俺の攻撃で本大陸側の自分たちの味方が駆逐されていっている時点で、その方針は確定されたはずだ。


 もっとも、そんな前王派の都合は俺には関係のないことだ。

 俺は小シヴィークに案内されながら、ヤグムーリ城を見学した。といっても、小さな城だから、たいして時間もかからない。


「敵はすぐに降伏したので、縄張りなども破壊されずにそのまま残っております。あまり技巧的なものとも言えないのですが、おそらく前時代からたいして変化もしてないのでしょう」

 小シヴィークは父親の老将シヴィークと比べると、あまり覇気のようなものがない。ただ、無能というわけではなく、自分の職務を忠実にまっとうしていた。

 二代目というのは、えてえしてこういう行儀のいい人間が多くなる。もしかすると、親が無茶をしているのを見て育ったから、堅実な性格になるのだろうか?


「なつかしいな。ネイヴル城もせいぜいこの程度の規模だった。土塁も低かったし、まともに敵と戦うことを想定していない縄張りだったな」

「自分は閣下の故地を貶める意図はありませんので……」

「わかっている。ここも、故地もたいした城でなかったのは事実だ。とはいえ、このままでは話にならない。まず、こもれる人数が少なすぎる」


 ――いっそ、ここを安土城のようにできれば楽しいのだがな。


 アヅチ城っていうのは、オダノブナガの居城だったっけ?

 その自慢話は過去に何度も聞かされている。あまりにもこの世界の城と雰囲気が違うらしいので、具体的なイメージはできないが、このオダノブナガの趣味なら派手だろうということは想像がつく。


 ――安土城はそれは、それは豪華絢爛なものだった。あの時代、日本一の代物であっただろうな。焼けてしまって実に不憫だ。せめて、あのまま残っていれば、ワシの偉大さもより後世に残っただろうに。ああ、惜しい、惜しい。


 悪いけど、そんな人に見せつけるような城を作る気はないぞ。今から作るのは、戦争のための軍事拠点だからな。


 ――わかっている。安土城の知識がお前にそっくりそのままあっても、そんなものを今から作ることはないさ。なにより時間がない。


 城というのは大きく二種類ある。

 といっても、軍事的な意味合いのない城は存在しない。ただ、大領主や王城はある種の首都の要素を持つ。そこが戦争だけでなく、政治の中心になる。


 俺のマウスト城や王城は、そういうところだ。庶民がお姫様がダンスをしているところをイメージするほうの城と言えばいいだろうか。もちろん、きらびやかに、立派にするのが基本になる。


 どんなに質実剛健を謳う領主でも、そこはケチってはいけない。権威の象徴は目立たなければ意味がない。ボロボロの衣服でダンスパーティーに入ってくれば、それはただのマナー違反の変人なのと同じだ。


 そして、今から作る城は純粋に軍事的にすぐれたものであればなんだっていい。敵を寄せつけず、敵を多く殺せれば、どれだけ不格好でもかまわない。そんなことは覇王であるオダノブナガも百も承知でいる。


 ――しかし、よい城は作りたいものだな。安土城は無理でも越前の北之庄城ぐらいはどうにか作れるのではないか。


 キタノショウ城? またよくわからない地名が出てきたと同時に、頭に久しぶりに能力追加の声が響いた。


 ――特殊能力【覇王の縄張り術】獲得。築城の際にオダノブナガの知識やセンスを流用できる。


 あっ、これは便利なものかもしれない。

 脳内によくわからない城の名前のリストが浮かぶ。中からためしに選択すると、その城の基本的なデータが表示された。

 そこには、石造りの城は全然ない。大半が土で、それでを穴を掘ったり、道をふさいだりして対抗している。


 俺はその中からキタノショウ城を選択する。

 見たことなどあるわけじゃないのに、俺の頭にその城の構造が流れこんできた。


 はあはあ。西側は大河をそのまま濠に使っているのか。これはナグラード砦と同じ発想だな。攻め手が一箇所減るからどこの世界でも効果的だろう。


 だが、何より目を引くのは、要塞のようにそびえる高層建造物だ。塔ほどの高さはないが、石垣はかなりの高さで広がっているし、よほどの数がないと見上げただけで圧倒される。


 悪くないな、キタノショウ城とやらを作ってやるか。


 ――当たり前だ。ここは北陸を押さえるための大事な点だからな。敵はすぐに行詰まるはずだ。まあ、これを落とせるにはよほどの権力がないと不可能だろう。



 よし、オダノブナガの知識で、最高の軍事施設を築く。

 俺は小シヴィークに言った。


「工作部隊をできるかぎり用意してくれ。あと、大きな石も早目に集めたい」

「石造りの城になさるのですね。では、石工を呼んできましょう」


「厳密には、少し違うんだが、まあ、石工はいてくれていい」


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― 新着の感想 ―
[良い点] コミカライズから入り一気読みしました。面白かったです。 不快なキャラも特に居なくストレスフリーに読まことができました。 [気になる点] 全体を通して起承承承といった印象を受けました。おっ、…
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