↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/39

第23話 草太、知らない方が良かった真実を知る。

チェンソー怪物との戦いから、数日経ったある日。


俺は薬草園でスキル【植物おせわ係《がかり》】を使い、日課である奇妙な形の希少薬草を成長させる。

シナモン臭めいた香りの花々を満開にさせた後、隣りの畑に移動。


そこは種用の畑だ。数日前に薬草を開花させたまま、あえて刈り取らずに残してある。

風や昆虫などによる受粉をさせるためだ。

受粉が完了した薬草を種が実るまで成長させ、居候《いそうろう》としての義務を果たした。


その後、薬草畑のさらに隣。トマト畑に向かった俺は、


「美味しく♪ 美味しく♪ 美味しくな~~~~れ♪」


と美味しくなる呪文を唱えつつ、【植物おせわ係】の「植物の成長促進」と「うま味成分爆増」をトマトに使う。

赤い宝石で彩られたシャンデリアの様に、完熟トマトが畑中に吊り下がった。


トマト畑を見渡すと、最初は10坪だったのに、いつの間にか100坪を超えている。


希少薬草を毎日ガンガン育てた結果、供給過剰になってしまい、薬草畑は縮小、代わりにトマトを栽培しているのだ。


俺のトマトはエルフの皆さんに大変好評で、すぐに捌ける。

このままでは、本当にトマト長者になってしまうかもしれない。

まあ、一円ももらってないが。


「いや~~~、なかなか良い土ぢゃあ~~ 極楽、極楽 」


畑の一角で、くつろぐ俺の従属魔物《じゅうぞくまもの》が、年寄り臭い感想を言っている。

植物系魔物であるマンドラゴラの特殊上位種こと、セクシー大根魔物のゴラコだ。

下半身が土に埋まった状態で、温泉に浸かるがごとく、だらけていた。

何故か頭に手ぬぐいを載せている。


真価の指輪に念じて、自分のスキルを確認する。

 ――――――――――――――

  【植物おせわ係】 

  

  ・植物の成長促進 

  ・うま味成分爆増

  ・蔓操作

  ・植物系魔物とお話

 ――――――――――――――


ゴラコを従属魔物にした影響なのか、

いつの間にか「植物系魔物とお話」が能力に加わった。


植物系魔物と会話が出来る能力の様だが――


ゴラコは普通に人と話せるので、検証にならない。

なので、具体的な効果や発動条件などは不明だ。


樹海に行って、普通のマンドラゴラにでも、試してみるしかないのか?

と思案していると――

聞きなれた、二足騎乗竜のリズミカルな駆け音が、近づいてきた。


「草太《そうた》殿《どの》! 今日も精が出ているな!」


羽毛恐竜めいた騎乗竜に跨り、白銀の髪をなびかせる、ミニスカ姫騎士姿のセラフィー姫ちゃんだ。

いつもの例によって、俺のモノ(トマト)を おねだりしてくるかと思いきや、今日は違っていた。

 

「先日の、オオノコギリ角《づの》の討伐協力。及び、子供らを救った褒賞《ほうしょう》を持ってまいった!」


「おお! なんだ!? 現金でもくれるのか!? 」


セラフィーちゃんは シュタッと騎乗竜を降り、俺の前に立つ。


「先日の魔物討伐のいきさつを女王陛下にご報告したところ、草太殿の勇気ある行いにいたく感心なされ、褒賞を贈与することとなった」


お姫様が、両手で恭しくソレを掲げる。


「エルフィア女王陛下より、この度の活躍の褒賞として、

草太殿に “最高級《さいこうきゅう》魔法鞄《まほうかばん》” を下賜《かし》するものとする! 謹んで受け取られるが良い!」


(魔法鞄…… だと……!?) 


現金より遥かに良いものだった!!!


俺は震える手でそのショルダーバッグ型の鞄を受け取る。


「こ、こ、これって! 見た目より沢山、物が入る鞄だよね!!」


「そうだ、その魔法鞄の容量は荷竜車《にりゅうしゃ》二台分だ」


俺は小躍りし、その鞄に頬ずりする。


「やった~~~!! これですよ! これ、これ! これ~~~~~~!

異世界で絶対手に入れたい物ランキング、不動のNO1!

魔法鞄ゲット~~~!! チュッ チュッ チュ~~ッ!」


「喜んでもらえて何よりだが、少し大袈裟過ぎないか?

確かに安い物ではないが……」


俺の歓喜の舞いを見ながら呟くお姫様。

残念ながら、現地人は魔法鞄の便利さに慣れてしまっていて、この圧倒的な感動を共有出来ないようだ。


「では使い方を説明するぞ、草太殿」


セラフィーちゃんの説明によると、

細長い物は入るが、鞄の口より大きな物は入らないとの事。


ベルトの所に小さな金属の箱が付いていて、中には魔結晶《まけっしょう》が入っている。

その魔結晶が電池の様な役割をしており、魔法鞄を使っていると、

魔結晶が小さくなっていき、なくなると鞄の機能が一旦停止するそうだ。


魔結晶を補充すれば再び機能が回復するそうだが、気を付けないとならないのは、魔結晶切れの時だ。

鞄の中にその容積を超える荷物が入っていると、鞄を突き破って実体化するそうである。


鞄が壊れるのは勿論だが、怖いのは大量の荷物が入っていた場合だ。

お腹の上で抱えて寝ているときや、狭い部屋でそれが実体化すると――


最悪、圧(・)死(・)する!


ナヴィア国では滅多にないが、他国だと年に何人も、死亡事故が起きているらしい。

便利な道具にはリスクが伴うのは世の常だ。

兎に角、大量に荷物が入っているときは、絶対に魔結晶を切らしてはならないのだ。



「その魔法鞄の中に予備の魔結晶を入れておいた。

当分は大丈夫だが、気を付けるのだぞ、草太殿」


ありがたや、ありがたや、気遣いに感謝。

これから俺の相棒となり苦楽を共にするアイテムである。

やはり名前を付けねばなるまい。

魔法鞄をたすき掛けにして語りかける。


「お前の名前は《《バクミ》》だ! 

たった今から俺の身体の一部に等しくなったのだ!」



「ところで草太殿、本日もトマトを頂きたい!」


やっぱりトマトが欲しいらしいセラフィーちゃん。

お姫様でありながら腰を折って、頭を下げた。


俺はそんなセラフィーちゃんを黙って横目でじっと見る。


「無論、お金は言い値で払うぞ、草太殿!」


的外れな事を言うお姫様に俺は答えた。


「この畑のトマトは売り物ではない! 親しい人への贈り物として育てている。

なので いくら大金を積まれても売る気はない!

だが俺に可愛くおねだりしてくれるなら、友人として是非とも進呈しよう!」


「ええ、また……いい加減、恥ずかしいのだが……」


アヒル口でぼやくセラフィーちゃん。


(うむ! アヒル口も良い!) 


セラフィーちゃんはこの前まで、超可愛くおねだりしてくれていたのだが――

そんな自分の姿を客観視してしまったらしく、恥ずかしいらしいのだ。


再び彼女を黙ってじいぃ~~~と見つめる。


「わ、分かった…… おねだりすれば良いのだろう! もう!」


決心した様である。やはり俺のトマトを咥え込む誘惑には勝てないようだ。


「コホン、では、まいるぞ草太殿!」

小さく咳をし宣言した後――


お耳をほんのり赤らめたセラフィーちゃんは、

脇を閉め、軽く握った両手を顎に当て、小首をかしげながら、潤んだ上目づかいで、桜色の艶やかな唇を開いた。


「セ、セラフィーに、い、いっぱいちょうだい♡」


ズギュウゥゥゥ~~~~~~~ン!!

オーマイガ~~~ッ! 

すんばらしい!! チョットぎこちない所がまた良い!!


ちなみに、おねだりの仕草や言葉は俺が教えた訳ではない。

彼女のオリジナルだ。

セラフィーちゃんには、お(・)ね(・)だ(・)り(・)の 天賦《てんぶ》の才があると見た!

16歳の俺は当然ながら夜のお店に行ったことが無いので、あくまでも、あくまでも想像のことではあるが、水商売にこんな娘がいたら相当ヤバい。

客は一夜にして尻の毛まで抜かれて、ツルツルのスベスベになってしまうに違いない!



「は、恥ずかしい~~~!!」


超絶美少女様が恥ずかしがって両手で顔をおおい、身もだえする。

小さめのエルフ耳が、完熟トマトの様にまっ赤である!


勘のいい紳士ならお気付きと思う。


もちろん天才が可愛くおねだりする姿も良いのだが――


俺が本当に見たかったのは、ミニスカ姫騎士美少女が、羞恥心に恥じらう姿なのだ。

鎧とのギャップとモジモジしてスリスリする太腿が、大いなる感動を呼び起こすのだ。


これは金では買えない! 正にプ(・)ラ(・)イ(・)ス(・)レ(・)ス(・)!



「どうぞ姫君、存分にお召し上がりくださいませ!」


大変貴重なものを、拝見させていただいたので、籠にトマトを山盛りにして差し上げた。


「う、うむ。苦しゅうない、良きに計らえ」


セラフィーちゃんは、俺のノリに付き合ってくれる、良い娘なのだ。



お姫様は毎度のように、ほっぺをパンパンにして、トマトをガツガツと平らげた。

そのあと、真顔で提案してきた。


「草太殿、毎日おねだりするのは本当に恥ずかしいので、他の事にしてくれないか?」


(うーん、他のことと言われてもなあ……)


もっと天才の技量を堪能したい。

なので、おねだりを超える条件でなければ意味がない。


(ダメもとで言うてみるか――)


俺は襟を正し、ことさら真剣な表情で、代替案をミニスカ美少女に提示した。


「いまここで、そのスカートをめくって見せてくれたら、

それ以後は無条件で毎日好きなだけ、俺のトマトを進呈しよう!」

 

彼女のスカートを指さし、半分冗談で言ったのだが……

ミニスカ姫様の返事は予想外のものだった――


「まことか! スカートをめくれば良いのだな! 相分かった!」 


(ええ~~~っ!? 見せてくれんの!? マジで~!?) 


信じられないんですけどお!? お姫様のを拝んじゃっていいの~!? ほんとに~~!???


「あまり長々とは見せんからな!」


セラフィーちゃんが両手でむんずとミニスカートの端を握る。


「あっ、できっ」


出来れば、うつむき恥じらいながら、少しずつスカートを、たくし上げて見せて欲しい……

とリクエストする間もなく――


「しかと、その目に焼き付けるが良い!」


言うな否やお姫様が、スカートをがばっと一気にめくり上げた。

そこに見えたのは―― 


提灯《ちょうちん》が二つ並んでいた……。


カワイイ下着でもキワドイ下着でもない。

提灯ブルマーであった!

中世ヨーロッパの王様とかが穿いていたような、

縦のプリーツが付いている奴である。


「その丸く膨らんだ提灯みたいなヤツ、下着なの?」

分かってはいるが一応聞いてみた。


「ば……馬鹿者! 下着の訳ないであろう! 

これは動きやすくするため、ふくらみを持たせた半ズボンだ。

し……下着はこの下に可愛いのを穿いておるぞ!」


下着が可愛いことを、サラッと告白したセラフィーちゃんは、スカートを元に戻した。


「もう良いであろう」 


スカートをめくる前の状態に戻ったお姫様を見る………。


ほんの数秒前と、全く同じ見た目の、ミニスカート姿なのだが……

今は、スカートと可愛い下着の間に、提灯が挟まっていると、認識している。


外見は寸分も変わらないのに、ミニスカート姿の価値が半値以下に、デ(・)ィ(・)ス(・)カ(・)ウ(・)ン(・)ト(・)されてしまった――


ような気がするのは俺だけでは無いハズだ……。


「草太殿。これからは、約束通り無条件でトマトをふるまって貰うぞ! ではまた明日!」


美少女姫騎士様は、騎乗竜に軽やかに跨がると、銀髪を風に散らしながら颯爽と走り去る。

風にひらめくミニスカートの端がふわりとめくれ、隙間から一瞬だけ提灯が顔を覗かせた。


その主張する確かな存在感――


思春期男子の心に秘めた、青春の宝物を失ってしまった……。


胸をかきむしられる切なさに、ただ立ち尽くすのであった……………。


お読みいただきありがとうございます!

続きが気になりましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。

次回もよろしくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。