第10話 スキル覚醒!?ついに神能力が生える!
どうも~~眠不足気味の草太で~~すぅ。
己の成長のため、あるいは物事を成し遂げるために、最も大切な事は何か?
やはりモチベーション! 気力である!!
どれだけ真剣に真摯に、物事に打ち込み続けることが出来るのかで、結果は変わるのだ。
わずか2ヶ月で【植物おせわ係】の能力が、飛躍的に向上したのがその証拠だ。
薬草園の脇をズンズン進み、隣接する第二環状暴風林の中に分け入って行く。
俺がこの異世界に落ちた場所は第一環状暴風林。つまり果樹園の方だが。
ここは、建築材料の木材を得るための人工林だ。
植林されているのはアカネスギ。
見た目は針葉樹に近いが、樹皮が鮮烈な朱色で水にも強い。
なので、屋根材としても重宝されている。
赤く巨大な柱が整然と並び立つような壮観な光景だ。
湿った苔の匂いと、時折ギャーギャーと頭上から鳴く鳥もどきの声。
そんなアカネスギの中を進むと、いつも自分が小人になったような錯覚を覚える。
毎日特訓している場所に到着し、周囲を確認。
「よーし、誰もおらんな! 奥の手は、誰にも知られず最後まで隠すのが鉄則!」
拳を握り改めて決意する。
「特にセラフィーちゃんには、絶対に知られる訳にはいかないのだ!
対抗手段を取られたら元も子もない!」
指に嵌めた 真価の指輪 に念を送った……
――――――――――――――
【植物おせわ係】
・植物の成長促進
・うま味成分爆増
・蔓操作
――――――――――――――
【植物おせわ係】の新たな能力は――『蔓操作』だっ!!!
蔓を意のままに動かす事が出来る能力だ。
農園の奇天烈薬草の中には蔓を伸ばすやつも多い。
色々試した結果、新能力が生えてきたのだ。
俺はこの『蔓操作』を見た瞬間に――『神能力』であると確信した!!
意のままに動く蔓。そこから即座に連想するのは……
そう―― 触手だ!
触手といえば――くっころだ!!
美女姫騎士様が何本もの触手に拘束&エロエロされて、それでも誇り高い態度を崩さぬまま、最後に気高く啖呵を切る。
「くっ、卑怯者! いっ、いっそ一思いに、こ、殺せ~~~~~~!!!」
と、様式美あふれる決め台詞を、のたまうアレである。
健康な紳士が選ぶ。
『ファンタジー世界で拝みたいシーンランキング、堂々のNO.1!』
に必ずやなるであろう、アレである!
蔓操作 は、あの王道の神演出が再現できるのだ!
これを神能力と言わずとして、何と言うのだ!!
そして俺には超偶然にも、超絶美少女姫騎士様が知り合いにいるのだ!
仮に創造神が存在するとすれば、俺にこの王道の神演出を極めさせるためだけに、この異世界に転移させたとしか、もはや思えない!!
ポケットから一粒の種を出す。そら豆に黄色の斑点を付けたような見た目だ。
奇天烈薬草の一つでウネウネした蔓をビュンビュン出す。
草というより木に近い蔓薔薇のような感じだ。
名前を知らないので適当に「ウネビュン草」と名付けた。
地面に置いたウネビュン種に指先で触れて念を送る。
やはり直接触った方が、格段に成長が早い。
それに 蔓操作 は蔓を出す植物に身体のどこかが接触していないと、操作できないのだ。
「ハイリハイリフレハイリホ~~♪♪ハイリハイリフレッホッホ~~~ッ♪♪♪ 大きくなれよ~~♪」
鼻歌混じりに魔力を注ぐ。
種が割れて根と芽を出し、面白いように急成長する! 何度見ても飽きない!
最初は、葉っぱが地面に張り付くように丸く広がり、一抱えほどになる。
ついで蔓がビュンビュン、ウネウネ出始める。
そしたら一本の蔓を手に持つ。有線コントローラー方式だ。
あとは全神経を集中して蔓を操作する。
タコの足さながらに蔓がうねる。
アカネスギの幹に巻き付けたり。
落ちている石を使って蔓同士でキャッチボールしたり。
三つ編みを編んだりする。
とにかく操作能力をひたすら上げる練習をするのだ。
操れる蔓の、太さ、数、スピード、パワー、どれをとってもまだまだだ。
しかし日々確実に上達はしている。必ずや奥の手として完成させる決意だ!
そして。
もちろん完成の暁にはセラフィーちゃんに―― 使いませんっ!
使うわけないじゃないですか!
当たり前でしょ。
お姫様にそんな蛮行を仕掛けたら、即打ち首ですよ!
引き裂きの刑ですよ!! 晒し首ですよ!!!
ただし……
あの銀髪美少女姫騎士様が、ご機嫌斜めモードになる時があるやもしれない。
跳ねた寝癖が治らないとか。
朝の動物占いの結果が最悪だったとか。
焼き魚定食の小骨がノドに刺さって取れないとかで。
超不機嫌イベントが発生するかも!
その行き場のない怒りを発散させようとして。
俺を射殺ろそうとする可能性がゼロではない!
『風撃』を百万発撃って来ないともかぎらない!!
その時やはり護衛手段が在ったほうが安心だ。
あくまでも己の生命を守るための特訓であって。
俗物的欲望を満たすためではない――
と、強く主張したい!
*
「ヒッヒッフ~~」バキバキ「ヒッヒッフ~~」ボキボキ「ヒッヒッフ~~」ベキベキ
深夜の第二環状暴風林の中で、俺の呼吸音とアカネスギの枝がへし折れる音が響く。
ウネビュン草の蔓を限界まで成長させ、遥か上空に張り出す枝に絡ませ折っている。
しかも複数のウネビュン草を同時に操っているのだ。
昼間からぶっ通しで特訓している。
普通ならとっくに魔力切れになっている所だが……。
俺は大気に溶け込んでいる魔素を、効率良く体内に取り込む方法を見つけたのだ。
それは―― 呼吸だ!
大気に溶け込んでいるという事は、魔素は肺から吸収している。
取り込むイメージから息を吸うことばかりに囚われがちだが。
重要なのは―― 息を吐くこと!
肺の中に古い空気が残っていると取り込む効率が著しく落ちる。
可能な限り肺を空っぽにしてから新鮮な大気と共に魔素を取り込む。
勿論、最大出力で能力を使えば魔力切れになってしまうが。
ある程度抑えながらであれば、永続的に【植物おせわ係】を使い続けることが出来るのだ。
俺はその呼吸法を――「出産の呼吸」と名付けた!
妊婦さんが赤ちゃんを産むときに用いる、ラマーズ呼吸法からヒントを得たからだ。
さすが、かけがえのない新たな生命を誕生させるために、考え出された呼吸法だけあって、
実に具合が良い。
そしてもう一つ徹夜で特訓が続けられる理由がある。
この世界は深夜になっても、かなり明るいのだ。
空に浮かぶ巨大な赤月―― 赫月のおかげだ。
夜はその赤い光が大地を照らしているのだ。
赫月は沈む事がない。それどころか一切動かない。
満ち欠けはするが空の一点で微動だにしない。
真夜中に満月になり徐々に欠けて、お昼に新月になり今度は太りだし、深夜再び満月になる。
このサイクルを毎日繰り返す。
何故なのかはおおむね察しがつく。以前にも述べたが理系問題は得意だ。
俺のいるこの惑星と赫月は双子星で、お互いに潮汐ロックされていて自転していない。
潮汐ロックというのは、地球の月が地球に対して常に同じ面を向けている現象、あれだ。
この惑星と赫月はお互いの重力で引き合うと同時に、回転して離れようともしている。
つまり重力と遠心力がつり合う点を軸として、一日に一回回り。
さらに、その状態で恒星の周りを年に一回回っている。
四季があるらしい事と、日食・月食が毎日起こらないことから、軸が少し傾いているのが推察されるのだ。
てな訳で、寝る間も惜しんでの特訓が可能なのだ。
この二か月近くの平均睡眠時間――“30分!”
という、超ショートスリーパー状態で特訓を続けている。
短期間で【植物おせわ係】の力が著しく飛躍したのは、まさしく努力のたまものだ。
身体的には確かにきついが、精神的にはこれまでの人生で一番充実している!
『ファンタジー世界で拝みたいシーンランキング、堂々のNO.1!』
という漢のロマンが! 俺を眠らせてはくれないのだ!!!
模様や色がロースハムの断面を思わせる、満月の赫月。
その薄薔薇色の月光で、アカネスギが一段と鮮やかに浮かび上がる中、改めて確信した!
何かを成し遂げるには才能ではなく、やはりパッション!!
モチベーションが最も大切なのだと――
お読みいただきありがとうございます!
続きが気になりましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。
次回もよろしくお願いします!




