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彼、衝突の際に知る。

「違う、俺は魔物じゃない!」

「価値のない人間が気にすることじゃない」


商人に捨てられた奴隷が大通りで転移者に殺された、だが通行人達は奴隷が死んだとしてもそれはただの見せ物、そんな光景を見てユウガは転移者を殴る。


「お前は転移者、仲間だよな?」

「だから言っただろユウガ、こういう奴を殺す度胸を持つためにスライムくらい殺せば良かったんだ」

「その倫理観やめようぜ?」


ツーは経験値を欲しているのかどうも殺すことにこだわる、ユウガとしてはその考え方を嫌っていてそれを伝えてツーも分かってはくれているが、どうもやめることはしない。


「まさかこの世界に来てまだ何も?」

「いつかはやんなきゃいけない日だって来るだろうよ、でも今じゃないってだけだ」


ツーが少し呆れたように剣を地面に置いて離れた場所から見守っていた、不思議に思っている最中奴隷を殺した転移者は即死能力でユウガを殺した。


「おいおいマジかよ、主人のお前が死んだら分身体の自分だって死ぬんだぞ」


神からの贈り物である転移者の分身体、それは転移者自身が死ぬと消滅してしまう、だがユウガは死んだというのに分身体は消えなかった。


「ユウガ?」

「気絶魔法耐性でも持ってたのかな俺……」


ユウガの能力は不死だった、相手の転移者は相性が悪すぎることにすぐ気づいたのかここで悟られないように脅しをかけることにしたらしい。


「私の能力は即死だ、そんな私に喧嘩を打ったお前にチャンスをやろう!……仲間にしてくれ」

「いやいや、簡単に人殺す奴仲間にしねえよ?今すぐ務所行きだ!」


相手は何度も即死能力をユウガに使うがもう効果はないらしい、彼の不死は耐性なんてないのだが。


「すみません、ここらに犯罪者を扱ってくれる人とかいますか?」

「それならあそこの兵士に頼るといいよ」


近くには軽装鎧を着た兵士がいたのでその人に話しかけようとした瞬間、転移者は即死能力で兵士を殺した。


「お前救いようがないな」

「牢屋に入れられて反省するやつがこの世にいると思うか?罪を犯すような奴は再犯するに決まってるだろう!」


その言葉を聞いてこの街の兵士本拠地前で転移者を殴ろうとしたが、その前にツーがその男の首を剣で切り落とした。


生首の状態の体に怯えて地面に死体を投げ捨てた、それを他の兵士に見つかり銃を向けられた。


「自分のせいでこの街一の悪党はユウガと分身体で決まりだ!」

「そう呑気なこと言えるかよ、何とかならないのか!?」


二人は本気でその場から逃げ出した、街を出て近くにある森に逃げ込むと流石に誰もついてこれなかったはずだ。


「俺が悪いのか?」

「分身体を制御しなかったユウガが悪いよ」

「お前に俺が悪いと言われる筋合いはない」


自分から聞いたクセにツーからはどうと言える立場ではなかった、もうあの街を拠点にはできなくなった転移者は多分ユウガだけだろう。


「やぁユウガ君、あの時は卑怯者だなんて言ってごめんね?」

「うわ、出たよ」


今度はひとつの花が喋り出した、きっと神がスライムの時と同様で何かを伝えに来たのだろう。


「君はこれから魔物達に英雄王の器が現れたと思われる、そして魔物達の住処に案内される、そしたらそこにいる魔物達はみんな殺していいよ」

(またこいつは……ツーも本当は経験値のことで何か隠してるんじゃないのか?)

「天使ってのはよ、まさか神の下僕ってわけじゃないよな?」


そう聞くと分身体は少し嬉しそうで、花は黙り込んでいた。


ユウガの言ったことは当たっていたのだ、何かを殺して得る経験値で天使になれる、それは神に近づくレベルアップという方法で、レベル上限になると天使になれるが神に付き従わなければならない。


転移者達は神に騙されていたのだ。


「だからそうやってお前らは殺せ殺せと!これを知った俺は殺されでもするのかね?」

「殺すだなんてそんな、前にも言ったように自由にしてもらって構わないよ?好きに生きれば良い」

「生きてる間に何かを殺さねえと生きてはいけないんだよこの世界では」


神は全ての転移者に自由に生きろと言っている、この世界は戦争にデモ隊などの概念があり、そんなのがもしも身に近づけば戦わなければいけない、魔物だっている世界で自由に生きろだなんてそれはもう強制的に天使になるのと同じだ。


「ツー、俺にレベルとか天使になれる機会を無くしてくれるか?」

「できるけどその能力だけでこの世界は難しいと思うよ?」

「そうだよユウガ君、本当に君は何も分かってないんだ」

「構わない、やってくれるよな?ツー」


ツーはユウガに触れると神の契約を解除した、すると体からは魔力が抜けて不死の力を持つスケルトンと大差なくなった。


「他の転移者にも伝えに」

「お待ちください英雄王!」

(???)


振り返って街に戻ろうとした時森の方から声が聞こえた、と思ったら足元にスライム達が数匹いたのだ。


「えぇ〜、この俺が英雄王っすか〜?」

「ほらお言ったろ!我達にもちゃんと答えてくれる!!」


魔物の言葉は道具と言われるほど忌み嫌われ、兵士や冒険者は魔物の言葉を聞いた瞬間に敵対心を持っていると考え殺す、だがユウガはあの時魔物が人と同じ言葉を喋ることに驚き、殺すことができず逃したのだ。


「鑑定してみたけど生まれた地はこの世界じゃない、今話題の大量に送り込まれてきた異世界人なんじゃないか?」

(お?なろう主人公ルート行っちゃいます?これ)


かなりの大きな期待を持ちスライム達の話をずっと聞いていると、どうやら本当に魔物達に言語を与えた英雄王の末裔だと思われているらしい。


「その、自分達の新しい村を守ってくれませんか!もう人間に皆んなが殺されてくのが見てられないんです、こんなチャンスもうないんです!」

「……」

(多分俺そんな強くないんだよな)


頭の中ではそもそも人である俺が守っても良いのか、などの考えがあったがやるしかないということでついて行くことにした。


「俺はここに来る前はセコいやり方で戦場を生き抜いてきた最高司令官だった!皆んなが言った通り動いてくれれば絶対に何とかなる!」

「おぉ!何だか強そうですね!それじゃあ自分達についてきてください」


ゲームのランクをとりあえず言ったら好評だった、こんな男が英雄王だったら笑い物だな。


魔物達の村に着く、そこは丘?の上にできた攻められれば終わりの村だった、そして少し偏見だったことが一つ。


スライム達が自分をここまで連れてきてくれたからてっきり、スライムの村かと思っていたが、ゴブリンやスケルトンなどそれなりに種族はいた。


「ゴブリンはともかく、骨は話って通じるのか?」

「あれは召喚物だから気にしなくていいですよ!」


村に入ると大歓喜していた、まさかこれほどまでとは思っていなかったが、逆に責任感がとても大きくのしかかってきた。


「どうも、私がこの村のリーダーです」

「……あっ、こんちゃっす」


黒い鎧を着た普通の人間のようだが魔族、とても威圧感があり一瞬固まってしまった。


「まさか英雄王に来てもらえるとは、心から感謝を」

「違いますよリーダー!キングハートでした」

「え?精神だけですか?ですが異世界人なら心強い!」


カングーハートや英雄王のことを、実はユウガ自身よくわかっていなかった、ちなみにキングハートは英雄王の志を持つ精神の強い生命体の救済者、と魔物達は言っている。


それほど魔物や魔族の余裕は無かったのだろう。


「ちなみに俺はどうすればいいんですか?今近くの街では多分指名手配犯なんですよ」

「何をしたんですか?」

「とある力のために奴隷を殺した人がいて、その人を殺した人が自分の仲間でって感じです」

「仲間の人は少し……あれですね」


結局殺すことに変わりはないからだろう、ただあの場面であの転移者を殺してもらわなければ自分は死んでいただろう、いや不死だけど。


(そういえばツーどこ行ったんだ?)

「本題ですがキングハート様には書いていると思いますが、この村を明日に来る旅人や冒険者から守って欲しいんです」

「任せろってもんよ!まず皆んなは何ができるんだ?」


聞いてみたところ明日の夜に街の人間がこの村に襲撃をするらしい、そんな中こっちの戦力は。


スケルトン:近接(夜中は不死)

ゴブリン:弓兵

ゴブリン:結晶病

魔族

スライム:魔力を扱える者がいないため戦力外


「まず結晶病は何だ?」

「結晶魔法や結晶のように硬い体を使って戦えるんですが、余命が短く結晶に体が蝕まれていく呪い持ちです」

「本人に戦う意思があるならなるべくスケルトンを前に立たせて後ろから結晶魔法を使って欲しい、そのうしろから弓兵の皆んなに前にいる仲間に多少当たってもいいから下手でも撃ち続けるように言って欲しい」

「私は何をすれば?」

「リーダーは死なないように後ろから見守っててくれ、俺は本当にまずい時に前に出ようじゃないか!」


そう伝えるとリーダーは死なないスケルトンや硬い体に弓が当たっても大丈夫なことに気づき、そして後ろから一方的に弓で何とかできることに安堵した。


ユウガは戦のことよりゴブリンの顔が案外人に似ていることに気づいた、どうせ人を捕まえて孕み袋にでめしたのだろうという現実の残酷さが伝わってきた。


「なぁリーダー、この戦いが終わったらここに住んでもいいか?」

「それは全然構わないのですが、思っているより家の中は満足できないかもですよ?」

「なら俺が皆んなの家の技術を少し高めてやる!」

「おぉ!ありがとうございます」

(……やべぇ、どうするよ?戦うよりキツくねぇか)


無茶なことを言ったことに気づいたが撤回もできそうにないこの雰囲気、流石にこの戦いのあとは詰んだことに確信した。


いやそもそも後があるかすら怪しい、こんな駄目な転移者の指示に従っているのだから。

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