閑話 カケルとレン
レンはシャドウを労りながら対戦相手を見た。カケルとか言ったか。受ける印象よりも冷静に勝利を噛み締めていた。思い切り喜ばれるのは腹が立つが、勝って当然と受け止められるのもムカつく。思わず不審の目で見ていたが、レンの様子に気付いたカケルは困ったように頬を掻いた。
「少しは喜んだらどうだ?」
思わず口出ししてしまう。しかしカケルはやはり曖昧に笑うだけだ。
「いや色々改善点があるなぁと思ってさ」
「改善点?」
どう見てもレンは完敗だったと思うが。しかしカケルは事も無げに首を振った。
「だってサヤカちゃんは通じないもん」
「……」
サヤカの名に、レンは思わず黙る。サヤカ。レンの準決勝での対戦相手だ。じっくり攻めるタイプの、堅実なバトラーだった。レンは勝ってこの戦いに挑んだが、それでサヤカを弱いと思ったわけではない。次も確実に勝てるかと言われたら少し怪しいだろう。
レンの沈黙をどう取ったのか、カケルは言葉を続けた。
「サヤカちゃんってさ、しっかり見えてるんだよな。レンは相手してて怖くなかった?」
「まあ……ヒヤッとはしたな」
特にシャドウの必殺技を見てすぐさま前に出た時。彼女はあの場で見てすぐさま後退は不利だと悟った。それまでのレンの対戦相手達はみんな成す術が無かったのに。
「多分オレの戦い方もすぐに見破られていたと思う」
カケルはそこまで言って、パッと顔をレンに向けた。
「オレ、サヤカちゃんの前で負けらんないんだよね!」
「は? ……なんで」
「だってあんまカッコ悪いとか、思われたくないじゃん?」
なんか今までカッコ悪いと思われていたような言い草だな。レンは首を傾げた。




