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第五話 ライバル登場!?


 カケルくん達が到着すると、私はパパに頼んでそちらに合流させてもらった。三人とも会場のデカさに驚いていた。だよね、わかる。

 ただ合流出来たとしても、開会式が終わればすぐに予選が一斉に始まる。初戦で身内同士当たることは無かったが、ナオトくんは敗退してしまった。

 こう言うとナオトくんが弱いかのようだが、小学生相応だと思う。カケルくんとフトシくんが別格なのだ。私は、まあ、仮にも中身は大人なので。

 そのカケルくんは勝ち残ったが、フトシくんは準々決勝で負けてしまった。それでもベスト8は大健闘だ。

 私もまだ勝ち上がれている。お昼を挟んで午後から準決勝が始まるのだ。


「おいお前ら、絶対勝ち上がれよな!」


 そのお昼休みの間にもう一度仲間内で集まった。私達はフトシくんに力強い激励を受けている。ちょっと前までなら考えられなかった光景だよね。カケルくんと二人、苦笑いをしながら受け取った。


「勝ち残った四人の内、三人が小学生らしいね」


 ナオトくんの情報に「流石ホビー販促用アニメ」と面白おかしく思ってしまう。だってこういう大会で小学生が勝ち残るなんてなかなかないだろう。三人の内二人は当然私とカケルくんだ。他に一人小学生がいるということになる。……新キャラかな。他のバトルは自分のバトルと重なっていたから観戦出来ていないのだ。どんな子なんだろう。


 とまあ、私達は確かに多少騒がしくしていたかもしれない。


「……うるさいな」


 その冷たい言い方に思わず顔を上げる。

 そこには言葉と同じくらい冷たい目をした、男の子がいた。同い年くらいだろう。とにかく綺麗な顔をした美少年だった。


「遠足気分なら早く帰った方がいいんじゃないのか?」


 何だと、とフトシくんが憤慨する。カケルくんもあまりの言い様に眉を顰めた。ナオトくんが首を竦めて様子を窺っている。

 そして私は、内心とても興奮していた。


 う、うわー!!

 この絶妙に主人公キャラより人気が出そうなビジュアルのスカしたクールキャラ!!


 ライバルキャラだ!

 今時珍しいコテッコテなライバルキャラだ!!


「お待ち下さいレン様、あまりその様な言い方はよろしくありません。例え事実だとしても」


 アイロボが、恐らく彼の、レンくんのアイロボが間に入った。しかし諫めているんだか嫌味を重ねているのかわからない。


「フン。迷惑を迷惑と言ってなにが悪いんだ、シャドウ?」


 シャドウ!?

 う、うわー! すごいこんな一聞きしただけで「敵かライバル機かな」って判断出来る名前あるぅ!?

 レンって名前もあまりにも主人公じゃないけど主要人物の名前すぎる!


「言ってねーだろうがよ!」

「そうか。なら迷惑だ、外でやれよふとっちょ」

「あんだと!」


 い、いけないいけない。いつの間にかフトシくんがヒートアップしてきてる。止めなくちゃと席を立とうとしたその時、レンくんの視線がツイっとカケルくんに向いた。

 そして心底バカにしたように鼻で笑う。


「お前は、他人の褌で戦って何が楽しいんだよ」


 その言葉には、はしゃいでいた私の心もスッと冷えた。言われた側のカケルくんはポカンとレンくんを見上げていた。


「俺はレン。名乗る必要は無いぞ、俺はお前らなんかを覚えるつもりはないからな」


 それきり、レンくんとシャドウは立ち去っていった。



 横目でカケルくんを見る。最初はポカンとしていたけれど、今は難しい顔をして考え込んでいた。

 他人の褌。レンくんの指摘は正論だ。彼はチャンピオン・ハヤテを知っていたのだろう。だからチャンピオンカスタムそのままのジャスティスを笑ったのだ。

 アイロボはその無限のようなカスタマイズ性も売りの一つ。逆に言うとそこにこそバトラーのこだわりや個性が出る。

 フトシくんがタンクを重機みたいなカスタマイズをするのはフトシくんのこだわりだ。私がハートちゃんを回復多めで組み立たのは私の個性だ。

 カケルくんのジャスティスは、欠損していた左腕パーツ以外はハヤテさんの設計だ。そこにカケルくんの思想は一つもない。


「気にすることはない、カケル」


 ジャスティスがカケルくんに声をかけた。


「このオレはハヤテの最高傑作。お前が組み替えたって上手くいかないものだからな」


 ……多分、慰めている、よね?

 しかしジャスティスの指摘もまた真っ当ではある。チャンピオンが作り上げたのだ。ただバトルに勝つだけなら現状が間違いなく最高なのである。

 だから私も、このカケルくんの問題に気付いてはいたけれど、大会後でいいと思っていた。


 しかしカケルくんは今まで聞いたことがないくらい静かで、真剣な声で応えた。


「でもオレは、とーさんのお前じゃなくて、オレのお前と戦いたいよ」


 それはそうだろう。カケルくんの目にはいつもハヤテさんがチラついたはずだ。ジャスティスを動かせるようになってからこっち、意識しなかったことはないだろう。

 あるいは、自分でも薄々思っていたのかもしれない。勝ち上がれるのは父親のお陰だ、と。アイロボを始めたばかりのカケルくんにとってハヤテさんを超えるカスタムはまだ難しい。


 そして何より、ジャスティスの相棒はまだハヤテさんだ。それを痛切に感じているのもまた、カケルくんだろう。


 ここは私の出番かもしれない。

 カケルくんがレンくんの蔑みを拭うために戦いたいというのなら、今ここでカスタマイズ環境を整える必要があるだろう。

 そして失礼ながら、まだまだカケルくんのカスタムパーツは潤沢とは言えない。幸い物販があるからそこで買い揃えるのもアリだ。大体が私の家の在庫だから、物販内容も一通り把握している。なんならお金を貸してもいい。


 だけど、多分、カケルくんはそれも嫌っていた。


「サヤカちゃんは自分のバトルに集中した方が良いぜ。オレの方は大丈夫だからさ」


 柔らかな拒絶に思わず固まってしまう。

 カケルくんは変わらず困った顔のままだ。



「サヤカちゃんの次の対戦相手ってさっきのレンってやつだぜ」


 ……えっ?



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