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第二話 アイロボバトル!


 しかし技術屋としての自分が冷静に分析してしまう。何が原因かにもよるけど、アイロボの記憶欠損はデータ損傷だ。十中八九戻らない。

 ということは謎を残していったハヤテさんと会って話すしかない。しかしこの流れで彼と悪役に繋がりがないわけがないよね。ハラハラする。

 数手先のエピソードを予想しながら、私はチラリとカケルくんを見る。初めましての第一声は最悪で、拒絶された彼だけど、記憶が無いと苦悩するジャスティスを心配そうに見ていた。

 主人公の器だぁ。なら私はそんな優しいカケルくんのためにフォローをしよう。


「ハヤテさんはどこにいるか全くわからないんだよね?」

「う、うん。少なくともオレは知らない」

「それならカケルくんの側にいるほうがいいと思うよ。なんたってハヤテさんの家族だからね。何があったのかは直接ハヤテさんに聞くしかないし」


 少なくともここで議論して答えが導き出せるタイプの疑問ではない。


「カケルくんもどうだろう? 相棒だけがアイロボの関係じゃない。友達から目指してみるのは?」


 実際アイロボはかなり柔軟だ。子供と思って接すれば子供になるし、兄と思えば兄にもなる。アイロボと結婚した人もいるって聞いたこともある。

 狙い通りカケルくんは一も二もなくうんと返事をした。カケルくんに妥協させたのだ。ジャスティスもチャンピオンの相棒機になれるほど長い間過ごしたのなら、譲歩くらい身につけているだろう。

 逡巡の後、ジャスティスは渋々「わかった」と答えた。よし。


「ところでカケルくん、アイロボが手元にあるのならやることは一つ! だよね?」


 カケルくんが「えっ」と戸惑う声を上げた。

 元チャンピオンの息子で、そのチャンピオンの相棒機が手元にあって、弱いわけない。いや何事にも初めてはある。だから私が! 導いてあげなくては!

 いや〜テンションあがるなぁ! 主人公のチュートリアル役をやらせて貰えるなんて!! 張り切っちゃお!


「まずカスタマイズについてなんだけど……」


「それからレアリティについてで……」


「だからだからこうして……」


「止まれお節介女」


 ジャスティスがものすごく嫌そうな顔でストップをかけてきた。何だいこれからカスタムパーツの属性とそのコンボパーツについて説明しようとしていたのに。


「カケルがついて行けていない。見ろ、頭から煙が出てる」


 言われて見ると、比喩でもなんでもなくカケルくんの頭から煙が出てた。わーなにそのマンガ表現おもしろーい! じゃなくて。


「ごめんごめん突っ走っちゃって! 大丈夫?」

「うん、なんとかぁ……」


 ダメそう。えぇと私の所為だよね。ちょっとテンション上がりすぎちゃったかな。ハートちゃんも呆れた顔してる。

 正直まだまだ説明し足りないけど、軌道修正を掛けなくちゃ。えーと、そうだ。


「じゃあバトルしようよ」


 何事も実践に勝るものはない。目を回していたカケルくんもパチッと目を覚ます。



 アイロボバトルは本物のアイロボが物理的に戦うわけではない。データ体になって仮想現実内でバトルをするのだ。


「あの全身入りそうなマシーン何?」

「あれはVRコクーン。世界の何処かの見知らぬバトラーとネットワーク越しに戦うのに使うんだ。顔を見合わせている相手とローカル通信でバトルをするのならこっち」


 大体卓球台くらいのテーブルに相対するように立ち、専用ユニットにハートちゃんを接続する。するとテーブル上にハートちゃんが現れる。そう、ローカル通信は複合現実の方で戦うのだ。


「ホントはゴーグルとか必要なんだけど裸眼で視認できるホログラムを使用しているからバトラーはそのままでバトルを見ることが出来るんだよ。

 ふふ、これだけは言わせて。科学の力ってすげー!」


 この世界に生まれ落ちてから日々感激してたからね、こっちは。私の謎テンション慣れているハートちゃんは全く気にせずに「よろしくお願いしまーす!」と挨拶していた。うん、挨拶も大事だ。えらいよハートちゃん。


 対してカケルくんも専用ユニットにジャスティスを接続させた。ジャスティスのホログラムが写し出される。オッケーバッチリだね。


「それでは手元にご注目」


 同時にバトラーの手元にはそれぞれコマンドが表示される。


「バトルはいわゆるリアルコマンドバトル形式だよ。ぼーっとしてたらラッシュ叩き込まれて負けちゃうから注意してね。

 だけど初っ端からスキルを使えば良いってものでもない。コストを消費し切ったらその時点で何にも出来なくなっちゃうからね。状況を見極めてコマンド選択をするんだよ」


 しかしジャスティスの初期コスト上限は20か。流石は元チャンピオンカスタム、高い。ハートちゃんは15だから純粋に一、二回多くこちらよりスキルが使えるってことだ。レアリティの高さで上限値が変わるから、こういうところでもカスタムパーツのレアリティは重要になる。


「とりあえずそっちからスキル使ってごらん」


 促すとカケルくんが何かしらのコマンドを選択した。瞬間ジャスティスの右手から剣のような物が現れ、その剣でハートちゃんに斬り掛かってきた。

 特に回避行動をしなかったのでハートちゃんは斬りかかられるまま斬られる。

 うーわ痛ったぁ。ハートちゃん別に防御が低いわけでも、体力が無いわけでもないのにごっこりHP持ってかれた。盤上のハートちゃんも「いったーい!」と反応している。


「わぁ! ハートちゃん大丈夫!?」


 まともに受けたのでカケルくんが慌てている。無抵抗の相手に攻撃したわけだからちょっとびっくりもしたのかもしれない。しかし実際にやったジャスティスの方が油断なくハートちゃんを睨みつけていた。


「リジェネ……また尖った構成だな」

「アイロボの構成なんて尖らせてナンボみたいなとこあるでしょ。ジャスティスこそ随分攻撃特化だね」


 ジャスティスに応じると、カケルくんの方がポカンとしているのに気が付く。いけない。今はカケルくんのための実戦なわけだからちゃんと説明しなくちゃ。


「スキルにはコマンドから選択するスキルと、バトル始まった直後から発動するパッシブスキルがあるんだ。ハートちゃんはあらかじめコストを5支払ってリジェネ……体力継続回復のスキルを発動させてたってわけ」


 そう、ハートちゃんはその名の通り体力回復特化構成なのだ。攻撃方法は相手の攻撃をそのまま返すカウンターが主だ。自分から攻撃を仕掛けない代わりに重たい一撃を後から叩き入れることができる。可愛い顔して起死回生を狙って来るゴリゴリ構成だ!

 対してジャスティスは高い攻撃と機動力で上から殴ってくる純粋なアタッカーと見た。そういうのも単純に強いけど、一撃で仕留められなかった分、もしハートちゃんがカウンターを使っていた場合、今頃倒されていたはずだ。しないけどね。これはあくまでチュートリアル戦闘だから。


「回復するよ、ハートちゃん!」

「これで全回復だよ!」


 ハートちゃんはめちゃめちゃ回復するから場持ちがいいぞ! ただし先ほど言ったとおりコストがあるので回復スキルも有限だ。


「さて説明はここまで。手元のコマンドを見比べてながら好きにスキル使ってきていいよ!」


 先程ジャスティスのダメージ量は見た。あれと同程度が飛んでくると見れば二発くらいは問題ない。回復に専念して様子を見てあげよう。


 と思ったんだけどな。


 コマンドを読んでいたカケルくんがポンポンと二つスキルを選択した。ん、二つ? 次の瞬間、ジャスティスが剣を銃に持ち替えていた。あ、やべ。


「か、回避ー!」


 ジャスティスの火力で連続攻撃はダメでしょ! わああハートちゃんの回復が間に合わない!


 結局ハートちゃんはハチの巣にされてしまった。

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