メープルシロップを大量ゲット?!
楓に似た木は、トンデモナイ木だった。
「おい。お前のそのトラブル体質。問題ありすぎだぞ!」
え?俺のせいなの??
最強からの命令で付き添ってくれたガラさんのツッコミに眉間に皺が寄る。
元来、メープルシロップは冬のある時期に流れるメープルウォーター(樹液)採取によって原液を手に入れる(蜂蜜よりもメープルシロップ派の俺としては嬉しいのは間違いないのだが)何故こうなった…。取り出し口から滝も真っ青の激流が見えるんだけど…。
「おい。池より大きくなる気だぞ。このままじゃ森が沈む。いいか、このまま動くなよ。とにかく父さんを呼んでくるから!」
駆け出す彼を止める間なんてない。まぁ、当たり前か。家のすぐ側だもんな。
は!!
天才かも、俺。。
名案を思いついたよ。これだよ、これ!!
前にレナトゥスから貰った鞄の事だよ。えーとこっちの世界ではマジックバックとか言うヤツ。
中に入れ放題だと言ってた。
ここにメープルを詰めればOKじゃん。
ほら、上手くいって…ゆ、揺れるよ。何故か地面がグラグラする。
身構えた俺が突然空いた穴に真っ逆さまの寸前、救いの主は現れた。
ヒーちゃん!!
じゃない??似てるけど違う。
真っ赤な羽を広げたヒーちゃんより一回り小さい真っ青な鳥。(もしかして幸せの青い鳥か?)
他,助かった。
「何故開けてのだ。いや、どうやって開けたのだ?」
目つきの悪い鳥って、オッカナイ。。上空じゃ逃げ道がないし、どうすりゃいいんだ?
「もちろんお呼びください。私の出番ですね。オーツ。その方を下ろしなさい。」
真っ赤な鳥になったヒーちゃんの身体がいつもの数倍に見える。出会った頃よりすげーよ。もしかして、本当の姿か?と目を離せないでいる俺はあっという間に放り出された。
す、捨てたな。
人間は飛べないんだぞ!!!
の、はずなんだぞ…。
ん?
「ご主人様。私が掴んでますよ。もうすぐ着地します。」
地面に降り立つ俺たちの前に青い鳥が羽を広げて降りてきた。
「例え貴方様でも、理に逆らえぬはず。加担するとは…」
穴…。
無くなってる?
「見てみろ。既に修復が始まったのだ。世界が選び出したのだよ。それが分からぬか…」
歯切れが悪いよ、ヒーちゃんってば。
意味不明で。
でも、分かった事がある。
穴の後には…念願の枝豆が生えていた。
キターーーー!!!
大豆。
全ての母…大豆よ。愛してるよーー!!
***
この世界にたどり着いた瞬間に消えた記憶があった。
それは見た事のない美しい風景の中での事。
「綺麗でしょ。昔はこんな風だったのよ。でもいつの間にか。」
鈴のような声がした途端、風景は一転する。
あれは何だ?
荒れた大地。
立ち枯れる樹々。
洪水、竜巻、山の噴火。
そして黒く膨れ上がった動物達。
「あれこそ、この世界の終わりの始まり。あれが溢れたらもう止められない。」
逃げ惑う人々。取り残された子供に牙を剥く動物に思わず手が伸びたら、パン!!
風船が破れた音がして辺りが真っ白に変化した。
「戦う事は出来る。何人もの異世界人を送り込んだモノ。でも、退治だけじゃ。止められるのは貴方しか居ない。」
え?俺…。
単なるサラリーマンの(しかもブラック企業で働く俺なのか?)俺なんて無理無理。
「もちろん協力はするわ。だからお願い。この世界の○○を止めて。」
でも…。
「貴方の底知れない食欲に賭けてるのよ!!」
え?食欲…。
何を言ってるんだ?俺はサラリーマンで。
「思う様に生きてね。いつも見守ってるから。でも突然の異世界で大変だから○○を授けるから。」
全く噛み合わない会話は頭に残る事はなかった。
いや、それどころじゃない。
自分で閉じた記憶を取り戻したら大変だ。
アイツらに気づかれたら…。




