俺…誘拐されてます?!
オカシイ…。
何でこんなになったんだ。。
目の前にある剣の切っ先に目が釘付けなんですけど、逃げるタイミングすらない。
コレも油断した俺の責任なのかも。
盗賊団らしき人達が要求して袋はとっくに渡したよ、俺。まだダメだとすると。
証拠隠滅なのか?
身体が震えるのは仕方ないとして、鼻水まで止まらないんだけど腕を上げるタイミングもない。もちろん、レナトゥスを呼ぶ暇も。
心の中では何度も呼んでるだけど無理みたい。
「おい、この大金はどんな卑怯なマネをして稼いだんだ!」
剣を構える傷だらけの男の後ろにいるリーダーらし男に凄まれる。答えなきゃ、バッサリだよね。カラカラになった口を開いて出た台詞は。
「ニ、ニワ。ニワのた、卵。がですね。」
ダメだ。口が回らないよ。
こんなの無理!!!
「はぁ?お前何を言ってるんだ?うーん。しかし酷いツラだな。涙と鼻水でぐちゃぐちゃじゃねえかよ。」
向こうの方から半笑いの声が飛んだけど、目の前の切先は変化はなくて。
バン!!!
「お前たち、何してんだい!!!」
ひぃーーー。コレ寿命が確実に縮んだヤツだ。びっくりした。だって今切先が揺れてあと数ミリまで近づいたもん!!
目線をゆっくり出口の方へ向けると、姉御がいた。腕組みして鬼の形相で全員を睨め付けている。けど、そんな顔も驚くほどの美しさで。こんな美人いるんだぁ、のレベル。
こんな危機的状況なのに、嬉しい俺はやっぱり男の子ですな。
「おい、ガラ。お前答えろ。」
美声のドスって迫力がある。そのせいかリーダーらしき人物の顔色はかなり悪い。
「姉さん。俺は間違ったことはしちゃ…」「ふざけんな!!!」
あ、口と手が同時に出るタイプだ。めっちゃ好みの美人なのに、ちょっと残念。リーダーの頬っぺたについた手形が痛々しい。
「で、マルまでついていてこの始末かい?お前くらいは、頭が付いてると思ってたけどこの筋肉バカと一緒とは…」
頭に手を当てて情けないと呟く彼女に、必死に言い訳する優男の(イケメンとか言いたくない…)声が哀れを誘うよ。
「で、結局そこらにいた子供を拾って強盗した挙句脅してるんだな?」
「だって姉さん。コイツの金を見てくれ。こんなの子供で持ってるって事は貴族だ。俺たちの敵だろ?なら…」「バシ!!」
手形2号発生。
もしかしてコイツら全員兄弟なのか?
めっちゃ子沢山の頑張り屋の両親だな。
「おい、お前!!子供だからって言っても腹の中をベラベラ喋るんじゃないよ。うちの両親を笑うならこの鉄拳をお見舞いするよ!!」
ひぃ!ご,ごめんなさい!!
「コイツは兄弟さ。ただし血の繋がらない兄弟だよ。よくある話さ。捨て子を拾っては育てるバカな両親だから極貧でこんな事ばっかりする奴らに…お前泣いてるのか?」
へっ?
本当だ。泣いてたな、俺。
何故だろう…胸の奥が痛いな。心臓がわるあのか?
「まあいい。その涙をみりゃマトモだと分かった。貴族が私ら民の前で泣きゃしないしね。でもね、この金はどうしたんだ?まさかアンタ強盗を…」
「ち、違います!!」
必死に誤解を解こうとこれまでの流れを説明したら、全員がキョトンとしてる。
あれ…姉御さんの様子がオカシイ?
「あたしゃね、嘘つく子は嫌いなんだよ。正直に言えば許してやろうと思ったが…」
「本当の事だから!!レナトゥスさえ居たら…あ、居た。」
「主人よ。呼び方が不十分で最初ヒーの所へ出たぞ。ちゃんと呼べ。」
コレが混沌の始まりだった。
強い姉御。
俺の誘拐犯。
そして、主人第一主義まっしぐらのレナトゥス。
俺。
タンコブと手形だらけの誘拐犯とレナトゥスと意気投合した姉御と今いる場所は。。。
姉御たちの家の台所。
そして俺は…ホットケーキ作成中。。。
ヒーちゃん。
この場所分かるかな?
不安はあらぬ方向で的中する事になるんだ。
(変な予感ばっかり当たるなぁ。。)




