目覚め 不滅の刀
充ちた。
記憶の亡霊として、どれ程の時間を過ごしたのだろうか、
"月光のルナ"
思い出せたのは、女神の思し召しか。
ずっと、空いていた大きな記憶の穴に、輝く月の砂が充たされたかのように
それは、欠けたグラスが脆弱であるように
易損であった心の器に、二度と壊せぬ月の結晶が、魂の器と混ざり逢い 不滅になり
私の心へ讃美歌を贈る。
もう二度と、失われない、愛しい記憶と熱い心の焰
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
満たされた心と共に、白昼夢のような甘い意識は、寧謐な心のなか、意識の旋律を取り戻す
「あぁ、目覚めたよ。ルナ」
記憶の廻廊から現在へ、
深山幽谷の龍岩の塔へ
(ふふっ、はりきってるねぇ)
ふと、孤独な森の中、耳許でルナがそう囁いた気がした。
壮大な景色を前にして、俺の心は怯むどころか、俄然、万能感に満ち溢れていた。
無論、この世界の事はなにも、分かってはいないけれど、ただ、ずっと心の奥底で思い出せずにいた記憶を取り戻したのだ。
延いては、俺はかけがえのない強き魂を、幾夜をこえて、手に入れた。
記憶の忘却があったとしても、それは、可能性の道標を失ったことを意味しない。
むしろ、多大なる恩恵と、共に記憶を白紙にして、新たに、この"心結乃熾刀"と共に記憶を紡ぐのだから、これ程心強いことはない。
この心の焰刀は、幾度の困難が襲いかかろうと、篝火を燃やし、天下騒然たる世だとしても、決して不滅であろう。




