職業神様
男は死後の世界で、みんなとは違う所に案内された。
みんなが行く方向に合わせて歩いてると、見知らぬ老人から「こっちに来い」と案内され、誰もいない所を歩かされた。
男は地獄行きを覚悟したが、そこまで悪い事をやった覚えは無い。犯罪もやってないし、人にも迷惑をかけていない。脇役の大人Aみたいな人生だった。
部屋に案内されると、老人が5人いて、みんな真顔でめちゃくちゃ恐かった。
「……おめでとう!」
急に祝福された男は驚きながら「えっ?」と聞き返した。
「そこまで運に恵まれない人生で、報われない人生でよく否定的にならなかったね!」
「えっ?普通にしてただけですが」
「周りの人より勉強頑張っても偏差値50を超えれない!スポーツもそんなに出来ない!文才も音楽の才能も無い!宝くじも1000円しか当たらない!会社もクビになり30歳から50歳までの20年間ワーキングプアだったのに政府も会社も恨まない!」
「だって仕方ないじゃないですか。あんだけやって偏差値50超えれないなら仕方ないじゃないですか。会社クビも仕方ないでしょ」
「いや、普通ここまで恵まれないなら悲観的になって周りの人のモチベーション下げるイヤな奴になるはずなのに、ならなかった。これは我々サイドからすると脅威だ。尊敬もした」
「まぁ、周りのモチベーションを下げる人間は賢い大学行ってた奴にいましたね」
「それは傲慢言うやつやね」
「僕は傲慢になるほどの人生じゃ無かっただけですよ」
「まぁ、100人いたら100人全員が腐る人生を歩んどいて、腐らなかった君を神様にしようと思う」
「…ところであなた達は誰ですか?」
「神様だよ」
かくして、男の来世は神様に決まった。前世の記憶は抹消された。
神様になった男は誰かをラッキーに出来るらしい。
しかし、その権利を持って分かったのは、人間と言うのは欲まみれな事。
受験受かりますように
就職試験受かりますように
出世できますように
こんな願いをよく聞くが、願うなら勉強したらどうだ?
可愛い彼女が出来ますように
俺に頼まず、合コンなり婚活行って来いよ
健康でいれますように
定期的に医者行けアホ
競馬当たりますように
知らんがな
お金持ちになれますように
ダブルワークせえ
玉の輿に乗れますように
お前が稼げ
ひどいのは正月で何の理由も無く頼みに来る奴。
目をつぶってるだけで何の願いもしない。
何やそれ。
神社以外で、自分が幸せにしたい人を探しに行っても良いらしい。
しかし、人間は欲だらけで助ける気になれない。
けど、せっかく幸せにする権利があるので適当に「こいつで良いわ!」と目をつぶってワープした家や職場の誰かに運をあげる。
もうこれは遊びみたいになってる。
運ってのは神様の遊びかもしれません。




