第二十三話 思い出のメモリー
これまで宿主に対し、一方的にこちらの要求を送る『送信』ばかりしてきたが、逆に宿主の事を知るための『受信』はしてこなかった事に気づいた。
まあその必要が無かったから、試す機会も無かったという事もあるのだが、今後も必要無いというわけでもないので、今のうちにできるのならやってみよう。
しかし、身体を操る送信は無意識のようにやってきたが、脳内の情報や容量を調べるような受信は初めての経験だ。
上手くやれるかな……。
おっと、今さら心配しても始まらない。俺は狼の脳に大きな負荷を与えないよう調整しながら、電気信号として残留している情報を抽出する。
意識を集中すると、俺の中にぼんやりとした映像が流れ込んできた。大勢の狼たちが雪の中で狩りをしている場面だ。どうやらこの身体の持ち主である狼の記憶のようだ。
それから場面が何度か切り替わり、いくつかの記憶を見た。比較的新しい記憶ばかりだったのが少々気になるが、これはもしかすると宿主の知能が低いせいかもしれない。
これ以上記憶に関する専門的な試験は、もっと高い知能の宿主の時にしたほうが効率が良さそうだ。
ともあれ、記憶の抽出という受信ができた事に間違いはない。よし、これなら他の『受信』も何とかなりそうだ。
幸先の良い出だしに気を良くした俺は、次に脳自体の性能を計測するのを試す事にした。




